全教北九州市教職員組合(全教北九州)
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給食費を始めとする学校徴収金の督促で大変な苦労をされた方もいるのではないでしょうか。文部科学省は、給食費などの学校徴収金を、市県民税や国民健康保険料等と同様に地方公共団体が徴収・管理する「公会計化」を推進するよう通知をしています。しかし「国や他都市の動向を注視」している北九州市では公会計化が実現していません。

中教審答申「学校徴収金は地方公共団体が担うべき業務」

平成31年1月25日、中央教育審議会は、「新しい時代の教育に向けた持続可能な学校指導・運営体制の構築のための学校における働き方改革に関する総合的な方策について(答申)」のなかで、学校徴収金は、「未納金の督促等も含めたその徴収・管理について、基本的には学校・教師の本来的な業務ではなく「学校以外が担うべき業務」であり、地方公共団体が担っていくべきである」と答申しています。特に学校給食費は、「公会計化及び地方公共団体による徴収を基本とすべき」と答申しました。

また文部科学省に対して、「給食費の公会計化導入や徴収業務を学校・教師ではなく地方公共団体が担うようにするためのガイドラインの早急な作成と周知徹底」を求めています。この答申を受けて、文部科学省は「学校給食費等の徴収に関する公会計化等の推進について(通知)」を令和元年7月31日に発出しました。

公会計化が進まない北九州市の現状

しかし、北九州市では公会計化の取組が進んでいません。

令和2年度12月議会で、讃井早智子議員の学校給食の公会計化制度導入に関しての質問に対し、「平成29年度には、債権徴収の効率化などを目的に、教育委員会内に公会計化に関する検討会を立ち上げて議論をスタートさせたところです。検討会におきましては、学校給食費の徴収率が99.7%と高いことなどから、この時点での公会計制度の導入は見送りましたが、今後、国や他都市の動向を注視していくとの結論に至ったところです。」と答弁しましたが、その後の進捗状況は不明です。

全国に20ある政令市のうち、給食費の公会計化を導入・決定していないのは、北九州市を含めて6市となっています。

政令市の給食費の公会計化実施状況
政令市名(指定順) 導入年度
大阪市 平成26年度
名古屋市(愛知) 未実施
京都市 未実施
横浜市(神奈川) 平成24年度
神戸市(兵庫) 令和5年度
北九州市(福岡) 未実施
札幌市(北海道) 令和5年度
川崎市(神奈川) 令和3年度
福岡市 平成21年度
広島市 令和4年度
仙台市(宮城) 平成31年度
千葉市 平成30年度
さいたま市 未実施
静岡市 未実施
堺市(大坂) 未実施
新潟市 令和4年度
浜松市(静岡) 令和4年度
岡山市 令和5年度
相模原市(神奈川) 令和5年度
熊本市 令和2年度

千葉市の先進的な取り組み

給食費の公会計化が実現しても、教材費などの徴収金が学校が管理するのでは負担の軽減になりません。

千葉市では、平成30年度から「学校給食費の公会計化」と「公金・準公金一括徴収制度」を導入し「学校給食費(公金)」と「教材費等の学校徴収金(準公金)」を教育委員会が一括管理しています。

千葉市はこの制度の効果として、保護者・教職員の負担軽減のほかコンプライアンスの向上などの効果が見込まれるとしています。

千葉市の「公金・準公金一括徴収制度」により見込まれる効果
項目 具体的な効果
コンプライアンスの向上 現金を取り扱わないことによる金銭事故の防止、収納担当者と支払い担当者の明確な分業による事故防止
債権債務の明確化 保護者に対して千葉市が債権者であることが明確になる
会計事務の透明性の向上 地方自治法・会計規則等に基づき食材等の適正な購入
保護者の公平性確保 負担した給食費分の給食を提供
保護者の利便性向上・負担軽減 日常使用の保護者銀行口座が利用可能、保護者負担(約4,200万円)の振替手数料を市が負担(約800万円)
教職員の負担軽減 事務処理の効率化、教員一人あたり年8時間が生み出され、教員が担うべき業務に専念できる環境を確保
教育扶助関連事務の効率化 公金振替による各区社会援護課・保健体育課の事務負担軽減

現金を扱う業務を解消して学校事務職員の負担軽減を

現在、北九州市では児童生徒数300人以下の小・中学校から雇用期間を満了した市費事務を剥がし、その仕事を学校事務職員に充てています。この施策が将来全職場から事務補助を剥がすかどうかはわかりません。しかし、学校事務職員の負担が増しているのは事実であり、学校から現金を扱う業務を早急に解消するべきではないでしょうか?