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子どもの生活及び教育条件の改善、高校生・青年の就職・修学、進路の保障を求める要請書(2017年)

この要請は全日本教職員組合(全教)、教職員組合共同闘争推進連絡会(教組共闘)と共同で行ったものです。


貴職におかれましては、児童・生徒・青年の未来を励ますために日頃よりご努力されていることに、敬意を表します。

子どもたちの笑顔があふれ、豊かな学びができる学校は、私たちの願いです。ところが、貧困と格差の拡大が、家庭を直撃し、子どもたちの教育にも影響をおよぼしています。憲法が保障する教育の機会均等を保障し、誰もがお金の心配なく、安心して学べる環境が必要です。

国と県、政令市の責任で、幼児教育から大学教育まですべての子どもたちの学ぶ権利の保障、教育の機会均等・教育費の無償化をすすめるためにも、「就学援助制度」の充実と高校生への拡充、高校生・大学生への「給付制奨学金」の拡充が求められています。

多くの地方自治体では父母、地域住民、子どもたちや教職員の願いをもとに少人数学級の前進を独自にすすめ、子どもたちによりきめ細やかな対応や、よりゆきとどいた教育がめざされています。

北九州市でも、少人数学級実施の拡大を求めます。小学校から高校までの少人数学級を実現するとともに、特別支援学校、特別支援学級の過大・過密の解消のため、新たな教職員定数改善計画もすすめるべきです。そのための措置として、大幅な教育予算の増額を求めます。

児童・生徒・青年の就職・修学と進路をめぐる実態の解決は、国や地域の将来にもかかわる重要且つ緊急の課題です。そして、誰もが人間として大切にされる学校、地域をつくるために、また就職・修学、進路保障に責任をもつ立場のものとして、ともに知恵を出し合い児童・生徒・青年の未来のために、以下の要請をします。誠実な対応をお願いします。

目次

小・中・高校生の就職・修学保障に関すること

  1. 国に対して以下のことを強く要請してください。
    1. 教職員が子どもたちとしっかり向き合えるように、小・中・高等学校における35人以下学級を国の責任で早期に実現するよう要請すること。また、幼稚園や特別支援学級・学校の学級編成標準を引き下げるよう要請すること。
    2. 特別支援学校の過大・過密問題を解消させるため特別支援学校の「設置基準」の策定を要請すること。
    3. 義務教育の国庫負担を2分の1に戻すよう要請すること。
    4. 全国学力学習状況調査は廃止するか、数年おきの抽出調査にするよう要請すること。
    5. 小・中学校における就学援助制度、特別支援学校における就学奨励費制度を充実させるよう要請すること。また、高校就学援助制度の創設を要請すること。
    6. 小学校、中学校、高校の教育活動に必要な教材費や給食費など、学校納付金を無償にするよう要請すること。
    7. 「高校無償化」復活するよう要請すること。
    8. 私学助成を増やし、父母負担の軽減をすすめるよう要請すること。
    9. 現行の「高校生等奨学給付金(奨学のための給付金)」拡充、改善するよう要請すること。また、高校生、専修学校生、大学生、短大生に対する給付制奨学金制度を創設するよう要請すること。
    10. 「学び直しの支援」(高等学校修学支援事業費補助金)については、高校中退者の再入学者だけでなく「標準就学年限を超えるすべての生徒」に対して卒業まで支援するよう要請すること。
  2. 北九州市として以下の施策を検討、実現してください。
    1. 小・中・高等学校における35人以下学級を早期に実現すること。
    2. 独自の予算措置で幼稚園や特別支援学級・学校の学級編成標準を引き下げること。
    3. 一方的な学校統廃合及び小中一貫校の新設は行わないこと。
    4. 正規・専任の教職員を増やすとともに、臨時教職員、再任用教職員の待遇を改善すること。
    5. 義務教育における就学援助制度の拡充を行なうこと。
    6. 独自の予算措置により小学校、中学校、高等学校の教育活動に必要な教材費や給食費など、学校納付金を無償にすること。
    7. 経済的に困窮している家庭に、教科書代や副教材費、実験実習費、制服や体育用品、修学旅行費、通学費などの補助を拡充する市独自の「高校就学援助制度」を創設し、公費負担すること。

高校生・青年の進路・就職保障に関すること

  1. 3年以内の既卒者を採用する企業への奨励金制度を引き続き措置することや、「高校・大学新卒者雇用特別対策」などを国に要望すること。
  2. 教育・福祉・医療等の公務公共分野において、高校生・青年の雇用創出をはかること。また、地域における高校生・青年の雇用確保の条件整備をはかるため、必要な財政的措置も含め、中小企業や地域の振興策を強化すること。
  3. 新卒未就職者に対して、公的職業訓練事業の一層の充実、強化をはかるとともに、高等技術専門校の定員の拡充を行うこと。
  4. 特別支援学校就職者の雇用を確保するため、障害者の法定雇用率以上の採用を行うこと。また、法定雇用未達成の企業に対する指導を強めること。
  5. 特別支援学校 高等部を卒業する重度障害者が、その個性に応じて生活を送ることができる入所施設を増やすこと。
  6. 青年労働者が経済的に自立し、健康で文化的な最低限の生活を送ることができるよう、最低賃金の大幅な引き上げ、偽装請負やサービス残業根絶、派遣労働の規制強化など、非正規雇用労働者の労働条件を改善し、正規労働者との均等待遇実現など働くルールを確立するための対策を講じること。
  7. 短期の離職者が多い企業について調査して指導すること。
  8. 高校生・青年に、労働者としての権利と人間らしくはたらくルールを学ぶ機会を提供するとともに、労働者保護法制、労働者の権利などについての啓発学習資料等を作成し、すべての生徒に配布し、権利教育を行うこと。

教職員の教育条件改善に関すること

  1. 国に対して以下のことを強く要請してください。
    1. 教員の長時間過密労働の温床となっている給特法を改正し、労働時間に見合った残業手当を支給することができるよう国に要請すること。
    2. 憲法とILO勧告に基づいた労働基本権の回復を国に要請すること。
    3. 国の責任で義務制のすべての学校に図書司書を配置するよう要請すること。
    4. 教員免許の失効=失職の制度をやめるよう国、文科省に要請すること。
    5. 事務職員の負担が増えないよう事務定員を増やすよう要請すること。
  2. 北九州市として以下の施策を検討、実現してください。
    1. 「教育に穴があく」といわれている教員未配置問題解決のための具体的、且つ有効な施策を早急に検討、実施すること。
    2. 専科教員をすべての小学校に配置すること。また、その場合定数外で配置すること。
    3. 生徒が心身ともに休養できる日にするため休養日(ノー部活動)の日を増やすこと。また、全校一斉に実施できるよう職場環境を整えさせること。 
    4. 児童・生徒の健全な発達・成長を保障するため、学力・体力テスト体制の過熱した施策、取り組みを改めること。
    5. 職場の協力・協同の破壊にもつながる「人事評価制度」は実施しないこと。
    6. 新学習指導要領の改訂による教科書採択にあたっては、子どもと直接向き合う現場教職員や保護者、市民の意見を尊重し、その意見を反映させること。
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