組合の力を大きくして、さらに賃金と待遇を改善させよう
2024年12月25日、多くの教職員に「差額支給」が行われました。ボーナスとは別に支給されたこの「差額」、思わぬ収入に驚いた方もいたかと思いますが、いいことばかりではないようです。
若年層は40万円近い「差額支給」が実現!
12月の北九州市議会で、9月に出された北九州市人事委員会勧告に基づく給与改定が議決されました。その結果、4月に遡って給与が引上げとなるため、既に支払い済みの4月から12月までの給与とボーナスの差額が支給されました。組合が粘り強く交渉してきた結果、今年の引上げは大幅なものになりました。若年層は40万円近い差額支給が実現しました。
30年ほど前までは、「差額支給」は毎年のようにありました。3月にも期末手当(0.5月分)が支給されていました。その後財政難を理由に20年近く昇給が抑えられていました。
組合は毎年、「生活実態に見合った給与を」と粘り強く交渉しています。来年度以降も、物価高に負けない賃上げが実現するよう、皆さんに組合加入を訴えます。組合の力を大きくして、交渉でさらに要求を実現させましょう。

採用試験前倒しと初任給アップで教員の魅力は増すか
文部科学省は今年度から採用試験日程の前倒し(試験日を今年は6月実施、来年は5月実施)を指示しました。しかし、試験日程を前倒しした自治体の約85%で受験者数が前年より減少したことが明らかになりました。この結果は、文科省が求めた教員のなり手確保策としての試験前倒しが、実際には効果を発揮していないことを示しています。
今年度の当局提案で全世代での給与増を勝ち取りました。特に初任給は2万円を超える大幅なアップとなりました。学校現場が過酷であるというイメージから教員採用試験の受験者数が減少するなか、給与を引き上げで教員の魅力をアップさせることがねらいです。
しかし、給与の引き上げが長時間労働や過密な業務負担といった職場環境の改善に直結するわけではありません。
また給与が上がることは嬉しいことですが、年代が上がるにつれて増額の幅が小さくなっていることは問題です。4年制大学の新卒者をモデルにした給与表に基づく差額を試算してみましたが30代から急速に減少し、40代以降はほぼ一定となります。さらに現在の制度で給与は、60歳を超えた時点で7割減額され、定年延長後の再任用ではさらに5割台に減額されます。このような制度はただちにやめるべきです。

どの世代でも、経験や働きに見合った待遇となることが大切です。私たちは子どもたちのためにも、すべての教職員が生き生きと働ける魅力あふれる学校現場をとなることを求めていきます。
大綱提示・当局提案に対する交渉の成果
今年度も教育委員会は大綱提示(組合の要求に対する回答)を行いました。これを受けて全教北九州は、24年9月から11月にかけて交渉を行いました。
私たちは「待遇の改悪となる提案は受け入れられない」として、「配偶者対象の扶養手当の廃止」の撤回と会計年度任用職員の処遇改善、常勤講師の2級適用などを求めました。
残念ながら、国の人事院方針に他の都道府県・政令市も概ね従っていることや、財源が確保できないことを理由に当局提案を覆すことはできませんでした。しかし、配偶者対象の扶養手当の廃止については、1年としていた経過措置を2年に延ばすこととし、減額の金額も少なくすることはできました。
その後、会計年度任用職員の処遇改善については、国にならって病気休暇の有給化が実現しました。