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全教(全日本教職員組合)は、11月1日、書記長談話「第212回臨時国会の開会にあたって」を発表しました。


10月20日、ようやく第212回臨時国会が召集されました。

「コストカット型経済」からの脱却こそ

10月23日の岸田首相の所信表明演説 で「変化の流れを絶対に逃がさない、掴み取る」と強調し、「この30年間日本経済はコストカット最優先の対応を続けてきました」と述べました。その言葉通り、自公政権は人件費までもコストとみなして、日本を労働者の実質賃金が上がらない国にしてしまいました。公務の現場でも、総人件費抑制政策をとり、人員削減と賃金抑制を続けてきました。教育分野では教職員定数改善を怠り、「定数崩し」「総額裁量制」によって、地方教育行政を臨時・非常勤教職員の多用化に誘導してきました。そしていま、教職員未配置問題という深刻な事態を引き起こすに至っています。このような新自由主義的政策を、きっぱりやめることこそ岸田政権がすべきことです。

消費税率を引き上げる一方で、社会保障を引き下げ、労働者・国民のくらしを支えることよりも大企業や富裕層を優遇し続けてきた政策を一刻も早く転換しなければなりません。ところが岸田首相は所信表明演説で、雇用の流動化政策の踏襲にほかならない「三位一体の労働市場改革」に固執する姿勢を明らかにしました。また、物価高騰対策として「供給力の強化」「税収の増収分の国民への還元」と述べていますが、その具体的な内容は明らかにしないままです。大軍拡のための増税、異次元の少子化対策のための増税方針を掲げ、国民に負担を強いる一方で「税収の還元」を掲げることは矛盾しています。

国会論戦を通じて、大軍拡ではなく教育や社会保障に予算を費やす政治を実現するとともに、中小企業への支援を拡大し、最低賃金引上げや消費税率引き下げにより、物価高騰を上回る実質賃金引上げを実現し、経済の好循環をはかる政策が実現されるべきです。

教育と子育てにかかわって

教育と子育てにかかわって「わが国の子ども一人当たりの支援規模をOECD トップの水準に引き上げていきます」と述べています。憲法 子どもの権利条約 にもとづいて、まさに「こどもまんなか社会」を実現するためには、教育無償化をはじめ実効ある子育て支援とすべての子どもたちにゆきとどいた教育を保障できる大幅な予算増額が必要です。

また「教職員の処遇見直し等を通じた公教育の再生にもとりくみます」と述ベています。そのためには、公教育を破壊し、学校で働くことの魅力を引き下げ続けてきた安倍「教育再生」から決別しなければなりません。教職員未配置の大きな要因となっている教職員の長時間過密労働を解消するために、給特法を改正し、教職員定数を抜本的に増やせるよう教育予算を増やす政策への転換を明確に打ち出すことが求められます。

外交・安全保障の課題と憲法の平和主義の重要性

国際情勢にかかわってロシアのウクライナ侵略、イスラエル・パレスチナ情勢に言及し、「世界を分断・対立でなく協調に導くとの日本の立場を強く打ち出していきます」と述べています。そうであるならば、深刻な人道被害が伝えられるガザ地区において一刻も早い停戦に向けた具体的な外交努力を、憲法の平和主義の理念にもとづいてすすめるべきです。ところが所信表明演説では、憲法をいかすのではなく、改憲の国会発議に向けて憲法審査会で「条文案の具体化」の議論を求める、とこれまでよりも大きく踏み込みました。憲法を尊重し、憲法の理念にもとづく内政と外交こそ求められています。

全教は憲法と子どもの権利条約にもとづく教育政策の実現を求めるとともに、憲法を守りいかす野党の共闘を多くの市民とともに後押しし、第212回臨時国会における論戦を通じて、だれもが大切にされる社会が実現されることを強く求めるものです。

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