北九州市人事委員会は9月15日、「職員の給与に関する報告及び勧告」をおこないました。会計年度任用職員への勤勉手当支給が実現する一方で、深刻になっている教員不足・長時間過密労働の解消や教職員の待遇改善などに前向きな勧告とはなりませんでした。
教員不足の解消・教職員の待遇改善とはかけ離れた勧告
物価上昇に追いつかない給与改善
勧告では、1997年以来26年ぶりの高水準の俸給表引上げ改定、及び一時金の引上げ分の期末手当への配分がおこなわれます。これは今年の春闘で「物価高騰に対応する緊急勧告を求めるとりくみ」など生活を守る大幅賃上げの運動を官民一体でおこなった成果です。
しかし、月収で約2.7%、年収で約3.3%にとどまる給与改善では、前年同月比3.5%の上昇となった4月の消費者物価指数にはとどかず、生活改善にはつながらない不十分な内容です。
会計年度任用職員への勤勉手当が実現したが
報告では、組合が長年要求し続けてきた会計年度任用職員への勤勉手当支給が実現します。その一方で、問題が多い人事評価による賃金リンクも来年度から導入されます。その他、在宅勤務等手当、「これからの給与制度の在り方」の調査・研究、「多様で有為な人材の確保」など教育・労働条件にも深いつながりがある内容も散見されます。
「付け焼刃」な制度変更では改善できない
教員希望者の減少や教員不足の背景として教員の長時間労働や低賃金など劣悪な労働環境・待遇などあります。また、これまで行われた改善策が奏功しているとは言えません。
報告でも、教職員が担う業務の明確化など業務改善に取組むよう指摘されています。また、今回はじめて「勤務間インターバル時間」確保に言及しましたが、それ以外の具体的報告はありませんでした。
文部科学省も認める危機的状況の解決には、「付け焼刃」の制度改正では改善できません。
教育委員会の姿勢を問う
今後の給与改定交渉では、「学校における業務改善プログラム〈第3版〉」が示す、長時間勤務改善など働き方改革、業務の考え方の明確化と適正化などの具体化を迫るとともに、使用者としての教育委員会の姿勢を問います。