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小中一貫教育と一貫校を考える

新聞全教北九州2022年11月号より


11月5日(土)ウェルとばたで、「小中一貫教育」をテーマに「秋の共育集会」(主催・北九州子どもと教育のために手をつなぐ会、共催・全教北九州)が開催され、教職員や保護者・市民が参加し、小中一貫教育について学びました。

目次

複線型の制度と学校間競争

小中一貫校は「中一ギャップの解消」「子どもの発達の早期化」などが設置の理由にあげられますが、公教育に複線型の学校制度を持ち込み、学校間で競争をさせることも目的のひとつです。東京都品川区が学校選択制と合わせて「小中一貫校」をつくりエリート教育を持ち込んだのがその象徴です。

自治体には魅力的な小中一貫校

小中一貫校の設置は、学校統廃合と抱き合わせで行われます。21年度に開校した「香春町立香春思永館」は小学校4校と中学校2校の統廃合によってできた義務教育学校です。学校統廃合は、施設費・人件費が大きく節約できます。また、自治体の「公共施設の床面積削減」の施策により、大きな施設の中に、小中学校の他、幼稚園・保育所などの幼児施設、老人施設、役所の一部、観光施設などが同居しているケースもあります。

自治体には魅力的な一貫校ですが、子どもたちや私たちにとっても魅力的なものでしょうか。

小中一貫校の子どもたちへの影響

子どもたちは、統廃合によって通学の距離と時間が長くなり、友達と放課後遊ぶ機会が減ってしまいます。

茨城県つくば市には4校の義務教育学校があり、児童生徒数が2000人を超えている学校もあります。規模が大きくなりすぎて、ひとり一人を丁寧にみる教育ができなくなったという声も聞きます。

教員の多忙化は解消できるか

義務教育学校となると、従来の6・3制から4・3・2制になり、小学校高学年の教科担任制、小学校から中学校、中学校から小学校への乗り入れ授業が容易になります。これは教員の多忙化の解消につながるでしょうか。

小中間の授業の乗り入れに人が配置され授業時間の上限の保障がされたとしても、小中学校間の打ち合わせ、教材研究・子どもの理解に時間が取られ多忙化は改善できません。慣れない状況に心身がついていけない教職員が現れるかもしれません。

北九州市も小中一貫教育にシフトか

2021年度「北九州市小中一貫教育基本方針」が改定され、小中一貫教育は「連携」から「一貫」に変わりました。これを受け、22年度から八幡東区で八幡小学校と中央中学校(隣接型)、皿倉小学校と尾倉中学校(分離型)の二つのモデル校がスタートしました。また北九州市の今年度の採用試験では、小中の両方の免許保持者を対象とする特別選考枠で25名の採用があることからも、北九州市も今後、小中一貫教育に大きくシフトする可能性があります。

もっと議論が必要

小中一貫教育と一貫校に関しては、もっと地域や職場で論議する必要があります。決まったことだから実施ではなく、自分たちの校区でできることとできないことをはっきり見極めることが大事です。

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