全教(全日本教職員組合)は、11月1日、書記長談話「子どもを殺すな、直ちに停戦を、憎悪の連鎖ではなく平和共存の実現を」を発表しました。
10月7日、パレスチナ自治区のガザ地区を本拠地とするイスラム組織ハマスがイスラエルを奇襲攻撃し、住民を殺害し、民間人を拉致したことは許されないことです。いかなる理由であれテロ行為は正当化できません。
一方、これに対する報復としてイスラエル政府が、ハマスをせん滅するとしてガザ地区に連日空爆をおこない、学校・病院などの民間施設も攻撃対象とするとともに、食料や水、電気、燃料などを遮断して、人々のいのちとくらしを奪っていることは重大な戦争犯罪です。さらに圧倒的な軍事力によって大規模な地上侵攻も準備していると報じられていますが、地上侵攻はいっそうの人道的惨事を引き起こすだけでなく、紛争が中東地域全体に拡大するおそれがあります。地上侵攻は中止すべきです。
すでに子どもを含む多くの市民が犠牲となっています。全教は世界中の人々とともに「子どもたちを殺すな」の声をあげるものです。
暴力の応酬は憎しみの連鎖を生み、憎しみは新たなテロの温床となります。ハマスとイスラエル双方が自制し、直ちに停戦することが必要です。
イスラエルはガザ地区に防護壁をめぐらせて、パレスチナの人々の行動を制約し続けてきました。この国際法違反の行為を国際社会は黙認してきました。国際社会はいまこそ、国連決議にもとづきイスラエルが中東戦争の占領地から撤退すること、オスロ合意にもとづきイスラエルがパレスチナの人々の自治を認めて、互いに隣人として共存することを追求するよう求めるべきです。
国連安全保障理事会が、アメリカやロシア、中国が拒否権を発動し機能不全に陥る中、10月27日、国連総会でアラブ諸国が提案した人道的休戦を求める決議案が121か国の賛成で採択されました。この決議にはアメリカやイスラエルは反対し、日本政府は棄権しました。イスラエル・パレスチナ双方と外交関係を持ち、平和憲法を持つ国の政府として、日本政府は、即時の停戦に向けて全力の外交努力をすべきです。
ロシアのウクライナ侵攻の長期化、イスラエルとパレスチナの軍事衝突という事態を前に、武力の応酬は、子どもと市民のいのちとくらしを奪い、分断と対立を深めるだけであることが改めて明らかになっています。人類の英知を結集し、歴史的な経過を共有し、冷静な話し合いによって平和な国際社会の構築をめざすいとなみこそ重要です。一貫して「教え子を再び戦場に送るな」を掲げてきた全教は、すべての人が平和に生きることができる社会の実現をめざして力を尽くす決意を表明します。