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新聞全教北九州2025年8月号

「物価上昇を上回る賃上げの実現」に到底及ばず

8月7日、人事院は国家公務員人事管理に関する報告、給与勧告・報告を、内閣総理大臣と両院議長に対しておこないました。昨年水準を上回るベア勧告で、かつすべての世代の改善となりました。しかし、石破首相が目標とする「物価上昇を上回る賃上げの実現」には及ばす、国民のいのちとくらし・教育のため、長時間労働のもとでも必死に奮闘する公務員の労苦に報いるものとはなっていません。

中高齢層を含むベースアップは運動の成果

今年の勧告は、昨年水準を上回るベースアップ、かつすべての世代の改善となります。一時金は、勤勉手当と期末手当あわせて0.05月分の引上げ勧告となり、1年間で現在の4.60月分から4.65月分となりました。

昨年の1万1183円(2.76%)を大きく上回るベースアップや中高齢層においても昨年を大幅に上回る勧告は、今年の春闘での粘り強いたたかいと8万筆を超える「公務労働者の大幅賃上げ等を求める署名(人勧署名)」のとりくみなど、官民一体となった社会的な賃金闘争の成果と言えるものです。しかし人事評価制度の悪影響を少なくするためには勤勉手当は圧縮し、引上げ分は期末手当に配分すべきです。人事評価の業績評価が良好でないとされた場合、北九州市では次年度2回の勤勉手当が100分の70から100分の90に減額されるためです。

「物価上昇を上回る賃上げの実現」に到底及ばず

ところが、モデル試算による定期昇給分を加えた給与水準は、月収で5.1%増にとどまり、25春闘の民間賃上げ率5.52%(厚労省調査)や、8月4日に示された最低賃金引上げ目安額63から64円(6%)を下回っています。さらに、物価が46か月連続して上昇している現状では、石破首相が目標とする「物価上昇を上回る賃上げの実現」には到底及ばず、国民のために、長時間懸命に働いている公務員の労苦に報いるものとなっていません。

臨時・非常勤、再任用は業務と責任に応じた賃上げが必要

臨時・非常勤職員については、常勤職員に連動して賃上げとなることが想定されますが、その他はゼロ回答です。 再任用職員については、一時金が常勤職員と同じ0.05月の改善となったものの、そもそも支給月数が常勤職員の約半分に抑えられている実態は解消していません。60歳前後の給与水準(給与カーブ)については、「民間企業の高齢期雇用の状況を注視しながら定年引き上げが完成する2031(令和13)年までに必要な措置を講じるよう引き続き検討する」と言及するのみです。 生計費原則及び現場が担う業務と責任に応じた賃上げが必要です。

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