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(全教中央執行委員会声明)2025年人事院勧告について

人事院が2025年8月7日におこなった人事院勧告 に対して、全教(全日本教職員組合)は中央執行委員会声明を発表しました。


  1. 人事院は本日、公務員人事管理に関する報告、給与勧告・報告を、内閣総理大臣と両院議長に対しておこないました。
  2. 4月23日~6月13日まで実施された職種別民間給与実態調査(以下: 民調)の結果にもとづき、今年4月における月例給の民間給与との較差は、民間給与が国家公務員給与を上回っており、1万5014円(3.62%)の改善を勧告しました。 初任給は一般職について高卒1万2300円、大卒1万2000円引き上げるとともに、若年層の給与改善に重点を置きつつも、すべての職員を対象に俸給表全体の引上げ改定となり、中高齢層職員においては昨年を大幅に上回る改定額となりました。 一時金については、直近1年間(昨年8月から今年7月まで)の民間の支給割合が4.65月分であるとして、現在の4.60月分から0.05月分の引き上げを勧告しました。 今年度については12月期の期末・勤勉手当に配分し、来年度以降は、6月期及び12月期で均等になるよう配分します。
  3. 昨年の1万1183円(2.76%)を上回るベースアップや、中高齢層においても昨年を大幅に上回る勧告は、25国民春闘の粘り強いたたかいと8万筆(全教分2万2420筆)を超える「公務労働者の大幅賃上げ等を求める署名(人勧署名)」のとりくみなど、官民一体となった社会的な賃金闘争前進の成果と言えるものです。
  4. しかし、モデル試算による定期昇給分を加えた給与水準は、月収で5.1%増にとどまり、25春闘の賃上げ率5.52%(厚労省調査)、8月4日に示された最低賃金引き上げ目安額63~64円(6%)を下回っています。 さらに、物価が46か月連続して上昇している現状では、石破首相が目標とする「物価上昇を上回る賃上げの実現」には及ばす、国民のいのちとくらし・教育のため、長時間労働のもとでも必死に奮闘する公務員の労苦に報いるものとはなっていません。
  5. 臨時・非常勤職員については、常勤職員に連動して賃上げとなることが想定されますが、その他はゼロ回答です。 再任用職員については、一時金が常勤職員と同じ0.05月の改善となったものの、そもそも支給月数が常勤職員の約半分に抑えられている実態は解消していません。 60歳前後の給与水準(給与カーブ)については、「民間企業の高齢期雇用の状況を注視しながら定年引き上げが完成する2031(令和13)年までに必要な措置を講じるよう引き続き検討する」と言及するのみです。 生計費原則及び現場が担う業務と責任に応じた賃上げが必要です。
  6. 私たちはこの間、人事院が2006年に100人から50人に引き下げた民調の民間比較企業規模の引き上げを強く求めてきました。 今回の勧告で100人以上に引き上げたことは、この間の粘り強い要求が動かした成果であり、私たちの要求を反映したものとして一定評価できますが、人事行政諮問会議 の「最終提言」にもとづき、本府省に勤務する職員の比較企業規模のみを1000人としたことは到底容認できません。 本府省業務調整手当の支給対象に新たに幹部・管理職員を加え5万1800円を支給すること、課長補佐級の手当額を1万円、係長級の手当額を2000円引き上げたことは、本府省と圧倒的な人数の地方の格差をさらに拡大するものであり容認できません。 本府省・地方を区別することなく、私たちの要求である100人以上にしなければ、民間相場に公務員賃金が追いつくことは制度的に困難であることはあきらかです。
  7. 国公労連 の職場からの強い要求があった通勤手当の自動車使用については一定の改善がはかられました。 65km以上から100kmまでの区分(5km刻み)を新設(来年4月から)し、現行(60km以上)の距離区分についても引上げの改定を行い(今年4月遡及)、駐車場等利用(勤務地周辺に駐車場を確保している場合)の通勤手当(1ヵ月上限5000円)を新設します(来年4月から)。 また、月の途中で採用された職員等に対しても、採用日等から通勤手当を支給する(来年10月から)としています。
  8. 今後、各地で人事委員会に対し、実質賃金引き上げにつながる勧告を求めるとりくみがすすみ、確定闘争がスタートします。 再任用職員や会計年度任用職員をふくむ臨時・非常勤教職員の待遇改善、ハラスメントの根絶、「先読み加配」をはじめ妊娠、出産、育児等と仕事の両立支援の前進など、教職員が生活の不安なしに、力を合わせ、子どもたちの教育に専念できるよう、深刻な長時間過密労働と教職員不足の解消と待遇改善を地方教育委員会にあらためて求めるものです。
  9. 全教は、新自由主義的政策から憲法が生きる社会への転換をめざし、長時間労働の解消のため教職員定数の抜本的な改善とあらためて残業代を支給可能とする給特法の改正、能力・実績主義賃金の拡大を許さないたたかいに引き続き全力を挙げる決意です。
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