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(全教談話)子どもたちとともに多文化共生社会をめざそう 一人ひとりが大切にされる教育の実現を求めて―2025年参議院選挙の結果を受けて―

全教(全日本教職員組合)は、7月30日、書記長談話『子どもたちとともに多文化共生社会をめざそう 一人ひとりが大切にされる教育の実現を求めて―2025年参議院選挙の結果を受けて―』を発表しました。


第27回参議院選挙は、7月3日公示、20日投開票の日程で実施されました。昨年の衆議院選挙に続き、自民党・公明党の議席数が過半数を下回る結果となり、参議院でも少数与党となる歴史的な結果となりました。衆・参両院で自民党政権が過半数割れとなるのは、1955年の自民党結党以来初めてです。政治とカネの問題に決着をつけようせず、30年にわたる賃金の抑制、歯止めなき物価高への無為無策など、自公政治の失政に対する国民の審判です。政治への怒りと消費税減税を求める願いが投票率を押し上げ、前回3年前の選挙より6.46ポイント増の58.51%となりました。42人の女性が当選し、過去最多を更新。22人中12人の立憲民主党をはじめ、参政党、日本共産党、れいわ新選組は当選者の半分以上が女性でした。

一方、その自公政権の補完勢力や、排外主義、女性蔑視、事実に基づいないフェイクで世論を誘導する勢力が、自公政権批判票の受け皿の役割を果たしたことは看過できません。本来の争点は、いかに物価高騰から人々の暮らしを守り、社会保障をどうするのか、だったはずです。ところが、ファクトチェックが必要なほど、偏見や差別を煽るような情報があふれ、外国人政策が主たる争点だったかのように描かれたことは、選挙のあり方そのものが問われています。

そのうえ改憲勢力が3分の2を大きくこえるという結果となったことには強い警戒が必要です。とりわけ参院選で14議席を獲得して躍進した参政党の憲法構想案は、国民主権を無視し天皇を元首として位置づけ、現行憲法の「戦争放棄」「基本的人権の尊重」「思想・良心の自由」などの記載がありません。教育においては、「歴史と神話、修身、武道及び政治参加の教育を必修」「教育勅語、愛国心などを尊重」とし、現憲法の「すべての国民は教育を受ける権利を有する」「義務教育の規定」とは大きく異なるものです。

今回の参議院選挙にあたり、全教は選挙闘争方針を確立し、「政党支持の自由、政治活動の自由を堅持し、教職員組合としての選挙闘争を前進させ、長時間労働解消!新自由主義的政策の転換!戦争する国づくり反対!憲法をいかし、いのちとくらし、教育を守る新しい政治を実現しよう!」と呼びかけました。多くの組織が職場で政治を語ろう、選挙に行って職場の要求を実現しようと呼びかけるとりくみをすすめました。

全教が実施した政党アンケートでは、回答したすべての党が教育無償化、教育予算増額に積極的です。核兵器廃絶、気候危機への対応、選択夫婦別姓制度の実現、多文化共生社会へのあゆみ、国際平和の構築など、政治が向きあうべき課題は山積しています。現在の国際情勢において、政府はトランプ氏の自国第一主義にふりまわされることなく、憲法の平和主義に基づく対話による外交を貫くべきです。

全国知事会 は7月24日、「青森宣言 」を採択し、将来世代につけを回す代替財源なき減税に異を唱えるとともに、「排他主義、排外主義を否定し、多文化共生社会を目指す」との立場を明確にしています。

8月1日から臨時国会が召集されます。今後想定される総選挙に向け、政党の政策全体を見極め、日頃から各政党・各議員の言動を注視する政治的な学習を進めていくことが重要です。

全教は「教え子を再び戦場に送るな」を高く掲げ、改憲ではなく、憲法を守りいかし、排外主義と差別を許さず、一人ひとりが大切にされる社会の実現を求める運動と、教育予算を拡充し、ゆきとどいた教育を実現する運動に、引き続き全力をあげる決意です。

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