全教(全日本教職員組合)「障教部ニュース5」より
6月24日 法案が成立しましたのでタイトルを改めました。
欠陥だらけでも可決された「給特法等改正案」
2025年6月10日、給特法等改定案が参議院文教科学委員会で、21の附帯決議がついて可決されました。衆議院に続き、立民民主党、日本維新の会、自民党、公明党など、賛成多数での可決でした。翌11日、参議院本会議にて法案は可決され成立しました。
修正案で一部が上書され、21もの附帯決議がつくということは、この法案が欠陥だらけであることを露呈しています。
委員会の採決で、この法案に反対したのは吉良よし子議員(東京・日本共産党)と宮口はるこ議員(広島・無所属)だけでした。全教は有楽町駅(東京都)で可決に抗議する宣伝行動を10日17時よりおこないました。
委員会質疑を傍聴した方はつぎのように宣伝で訴えました。
立民の方が法案のここが問題だといいながら賛成している。この改定法案は何がしたいのだろう?
おかしいことはおかしいと言い続けていきたい。
「給料の調整額」の削減に反対する有志の会、署名を提出と議員要請
6月4日、特別支援学級と特別支援学校の保護者・研究者らで結成された「給料の調整額」の削減に反対する有志の会は2万2751筆の「給料の調整額」削減反対オンライン署名を文科省に提出、あわせて議員への要請をおこないました。
保護者は「特別支援の教員は、障害や個々の子どもに応じた指導や命に関わる判断など、高い専門性が求められる教育を担っている」と発言。保護者は、こうした教育現場の努力を切り捨てるような施策に対し、文科省へ見直しを求めました。教員全体の処遇改善のために特別支援教育の教員の処遇を下げるのは反対、障害のある子の教育を軽視しないで、と訴えました。
議員要請では、6月5日の委員会質疑で「給料の調整額」削減反対の立場を明確にし、文科大臣に削減見直しを求めるよう要請しました。
吉良議員、宮口議員の6月5日の質疑より
6月5日の参議院文教科学委員会での吉良よし子議員、宮口はるこ議員の質疑の一部を紹介します。
吉良よし子議員の質疑

給特法等改定案は、教員の処遇改善を目玉にした法案である。
特別支援学校、支援学級、通級指導担当の教員への「給料の調整額」を引き下げることは、公正な処遇と言えるのか?



一般の教師と特殊性の差が相対的に縮まったことから負担と処遇のバランスに配慮して見直した。



どんなに対象が広がったとしても、特別支援に携わっている教員の皆さんの負担が減るわけではない。
視覚障害の場合であれば、点字の教科書、教材、テストの用意をしなければならない。全盲の方への歩行訓練の対応も必要。
聴覚障害であれば手話を覚える必要もあり、知的障害であれば言語以外のコミュニケーションの手段でやり取りをするなど、障害に応じて様々な専門知識を身につけなければならない特別支援の教員は実際に様々な民間の研修セミナーなど受けて対応している。
それを全て自腹で受講している教員の方もいる。その様々な特殊性を踏まえたのが「給料の調整額」。
特別支援教育に携わっている教員の皆さんの努力や負担、本当に分かっているのか。
調整額をひき下げる行為は差別そのものじゃありませんか?



特殊性が相対的に縮まったことを勘案。
特別支援教育の重要性が低下しているとは考えてない。



重要性が低下したわけではないといくら言葉で言われても、実際に調整額が下げられ、学級担任手当の対象外になっているのは本当に不公平としか言いようがない。
この間、保護者さんはじめ「給料の調整額」削減に反対するオンライン署名が 2ヶ月で2万2000 筆を超えて集まり、文科省にも提出された。
特別支援学校の保護者の方の声を紹介する。
「障害のある子どもを1人育てるのも大変で、そのような子が 6 人もいるクラスを見ている先生はどれだけ大変なんだろうといつも思います。給特法法案を聞いて、障害のある子どもたちの教育をとっても軽んじていることの表れだと、大変憤りを感じました」
この声に大臣は向き合わなきゃいけないのではないですか。
特別支援教育に携わる教員の「給料の調整額」の引き下げ、「学級担任手当」の不支給、これはもうやめるべきであると、強く申し上げたいと思います。
宮口はるこ議員の質疑



神奈川県では特別支援教育に係る給料の調整額にあたるものとして特別支援学校教員業務手当として一律月額1万8600円が支払われている。
これが半減された場合、3年後の令和10年には特別支援学校の学級担任は給与月額が例えば30万円の場合で教職調整額が3%増えてのプラス9000円と義務特手当が0.5%減ってのマイナス1500円で給料の調整額が半減のマイナス9300円で月々1800円の減額になる。
そうでなくても、特別支援学校の先生たちは業務的にも生徒の特性を掴むことも大変、教員の未配置率が小中高と比較しても数倍高いという状況の中で、給与の引き下げ額の差が出るということは、教員間の分断を招くことになり大問題である。
支援学校の教員の成り手不足にも関わってくる。学級担任手当もない。改めて給料の調整額の引き下げの再検討をお願いする。



給料の調整額については、他の職員と比較して著しい特殊性がある場合に給料法に定められた給料月額を調整するもの。
一般教師との特殊性の差が相対的に縮まった。具体的には、10 年前と比べ、通常の学級に在籍する特別な教育的支援を必要とする児童生徒、通級指導の児童生徒、特別支援学校に就学する対象となる児童のうち小学校へ就学した割合等が増えている。
特別支援教育の教師は他の教師と比較し、一定の特殊性を有してることから廃止でなく半減とすることとし、一般より高い処遇が保たれる。



同じような答弁しか戻ってこない。残念です。