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北九州市教職員の賃金・労働条件等の改善を求める要請書(2025年)

より良い教育現場を未来へ

北九州市人事委員会への要請(2025)

公正な待遇の実現

  • 生計費をふまえた賃金改善と、再任用職員の賃金格差解消。
  • 会計年度任用職員の均等待遇(期末勤勉手当の支給など)。
  • 専門性や労働実態を考慮した給与勧告。

長時間労働の是正

  • 時間外手当制度の創設と、正規教職員の増員。
  • 「1年単位の変形労働時間制」など実態に合わない制度は導入しない。
  • 持ち帰り残業も含む、適切な労働時間管理の徹底。
  • 全校への事務補助の配置。

多様な働き方の支援

  • ジェンダー平等推進のため、育児や介護に関する休暇制度を拡充。
  • 不妊治療など、長期治療と仕事の両立を支援する制度の拡充。
  • 誰もが休暇を取得しやすい職場環境と人員体制の整備。

公平な制度設計

  • 教職員の分断を生む制度(主務教諭創設など)への反対。
  • 政府の干渉を受けない、人事委員会の独立性の確保。
  • 組合との協議に基づき、現場の声を反映した勧告の実施。

日頃から北九州市教職員の勤務条件の向上に努力されていることに敬意を表します。

学校現場は「ブラックだ」との見方が広がり、教員不足を生み出し、さらに現場教員が疲弊し、長時間過密労働が促進される悪循環を生み出しています。有為な人材を確保し、安心して働き続けられる職場環境をつくることが求められています。そんな中、衆議院文部科学委員会は5月14日、給特法改定案を可決し、翌15日の衆院本会議で可決しました。しかし、このこの法案では、長時間過密労働は解消できない!と怒りの声が組合に寄せられています。人事委員会のみなさまには、労働基本権制約の代償機関としての役割を果たしていただくよう強く求めます。

まず、賃金改善が必要です。いわれる物価高は落ち着く兆しはありません。5月9日、厚生労働省が発表した3月の毎月勤労統計調査では、物価上昇の影響を差し引いた労働者の賃金は、前年同月比2.1%減でした。マイナスは3カ月連続で、減少幅は2月の1.5%から拡大しました。コメや食料品の値上がりが家計を直撃したためで、物価高に賃上げが追い付かない状況です。地方経済の活性化と教職員の奮闘に報いるため、初任給をはじめ、再任用職員の賃金の引き上げるとともに、処遇改善を実施するよう求めます。同時に地域間較差の是正に向けて、国に対する要請を行うよう求めます。

会計年度任用職員は、日数制限はあるものの、病気休暇が有給となりました。しかし、無給の休暇はまだまだあります。均等待遇の観点からまだまだ改善が求められます。広島県の人事委員会が、暫定再任用教職員の賃金改善の勧告を出し、年間約27万円の改善につながったことが組合の全国会議で報告されました。北九州市人事委員会も賃金・労働条件改善に向けた勧告を行うよう求めます。

最後に、労働時間管理についてです。際限のない時間外労働が続くことは、職員の命と健康にかかわる重大な問題です。給特法により時間外手当が出ない教員は、「定額働かせ放題」になっており、使用者に業務そのものを抜本的に改善しようとする責任を放棄させています。業務量に見合った教職員の配置をすみやかに行うことを強く求めます。

第一線で奮闘する教育公務員の労苦に報い、ゆきとどいた教育をすすめるためにも、北九州市人事委員会が労働基本権制約の代償機関としての責務と役割をふまえ、下記の要求の実現に尽力されることを要請します。

  1. 子どもたちの教育のために、日夜献身的に奮闘している教職員を励ますとともに、職務に専念できるように、生計費原則をふまえ、正規、非正規を問わずすべての教職員の賃金・労働条件の改善に向けた勧告を行うこと。また、定年年齢の引き上げにあたっては、生計費をふまえた所得水準を確保するとともに、安全配慮の徹底をはかるなど、65歳まで安心して働き続けられる職場・仕事となるよう人事委員会としての役割を果たすこと。特に再任用教職員については、職務の内容に基づき、定年延長者との賃金較差を解消するよう勧告すること。
  2. 会計年度任用職員については、合理的な説明のつかない時間短縮(15分カットで非常勤扱い)を早期にやめ、賃金をはじめ休暇制度など労働条件の改善、雇用の安定・均等待遇の実現などに向けて必要な対策を行うこと。さらに、均等待遇に向けた必要な意見表明を行うとともに、賃金・労働条件の改善に向けた勧告を行うこと。すべての会計年度任用職員に期末勤勉手当を支給すること。
  3. 民間給与実態調査をもとに人事委員会勧告を出すにあたっては、単に民間の賃金水準と機械的に比較するのではなく、教職員の専門性や労働実態を十分加味すること。また、人事行政調査が指摘しているように、従業員100人以上の企業とすることや1000人以上の企業を視野に入れ研究すること。
  4. 給特法の改定については、現在国会で審議中の政府案「給特法改定案」では学校がもたない。学校現場と教職員の実態をふまえた、教育現場にふさわしい時間外手当制度創設と教職員定数の抜本的改善などを国に求めること。
  5. 教職員の分断を生む主務教諭の創設や、政府、人事院による給与制度改悪に反対するとともに、昨年度から始まったいわゆる評価の賃金リンクについて問題点を人事委員会として意見表明すること。
  6. 「1年単位の変形労働時間制」は教員になじまない制度であり、導入を行わないよう、使用者に意見すること。
  7. 教員の異常な長時間過密労働を解消するために必要な正規の教員を増員する勧告をすること。また、労働基準監督機関として違法な昼休みが取れていないにもかかわらず一律に45分全員が取ったことになる昼休み時間管理システムや把握されない持ち帰り残業等適切な労働時間管理が行われているか監督するとともに、適切でない事象が明らかになった場合は必要な措置を講じさせること。児童生徒数300人以下の学校から事務補助を剥がすのをやめ、事務補助を全校配置すること。
  8. ジェンダー平等推進・働き方改革の立場から、不妊治療、妊娠、出産、育児、看護、介護に関する休暇・休業制度等を拡充させるとともに、男女ともに取得しやすい職場環境と人員体制を整備するよう勧告すること。
  9. 病気の治療と仕事の両立支援の立場から、長期治療を必要とする者への休暇・休業制度を拡充させるとともに、休暇・休業制度が取得しやすい職場環境を整えさせるよう勧告すること。また、治療継続中の教職員の労働条件・職場環境も整えさせるよう勧告すること。
  10. 勧告に係る内容については、政府・総務省の不当な干渉に屈することなく、第三者機関としての独立性を守り、公平・公正な立場で勧告作業を進めること。
  11. 人事委員会の勧告に向けた調査や作業にあたっては、全教北九州市教職員組合との交渉・協議、合意にもとづいてすすめ、組合の意向を充分反映し早期勧告に向けて努力すること。
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