全教(全日本教職員組合)は、4月10日、書記長談話『これでは学校がもたない!政府の給特法等改定法案廃案と長時間過密労働解消につながる改正の実現に全力をつくそう』を発表しました。
4月10日、第217回通常国会本会議において、「公立の義務教育諸学校等における教育職員の給与等に関する特別措置法(以下、給特法)」をはじめ、学校教育法、地方教育行政の組織及び運営に関する法律(以下、地教行法)」、教育公務員特例法(以下、教特法)」等の一部を改定する法案が審議入りしました。
全教は、残業代支給を可能とする給特法の改正、教職員の大幅増員を実現することおよび「主務教諭」を導入しないことを求めてきました。この政府の給特法等改定法案では、現行の無定量な時間外勤務が放置され、長時間過密労働や教職員不足の解消には全くつながりません。また打ち出された処遇改善案は極めて限定的で、教職員の序列化・階層化を一層すすめ、職場を分断するものです。すべての教職員の処遇改善が重要です。
法案は、教職員定数増など、長時間労働縮減のための具体的な支援策は示さず、教育委員会と校長に、時間外在校等時間減少の改善計画策定と公表、実施状況の公開を義務づけています。時間外在校等時間を減らすために、いわゆる時短ハラスメントの横行や持ち帰り仕事の増加が懸念されます。
処遇改善として、教職調整額を4%から10%まで段階的な引き上げをおこない、2026年1月には4%から5%にするとしていますが、幼稚園教諭は4%の現状維持、指導改善研修を受けている教員には教職調整額を支給しないとしています。さらには学級担任手当として月額3000円を加算するとしていますが、その原資は、現在一律に支給されている義務教育等教員特別手当を来年度1.5%から1.0%に削減して充てるとしています。しかも特別支援学校および特別支援学級の担任は対象ではないことに加えて、2026年度以降、特別支援教育にかかわる「給料の調整額」の見直しが検討されていることも明らかになっています。
教諭の上に「主務教諭」という新たな職の創設により、賃金の階層構造が持ち込まれ、トップダウンの学校運営が強まり、集団的な協力共同の関係が阻害されることが危惧されます。文科省が中教審に示した「教師の『働きやすさ』と『働きがい』実現プラン」と称する資料からは、主務教諭に様々な仕事が押しつけられることが想定されます。新たな職の創設は、競争と管理、自己責任と能力主義に苦しむ教職員をうみ、言われたとおりにやればよいという政策の押しつけで、教員の自主性・創造性を奪い、教職員の共同を破壊するだけです。これでは学校がもちません。
野党が結束すれば要求が実現できる国会情勢の中、全教は、給特法等改定法案廃案のため、委員会審議の傍聴行動や国会前集会、議員要請などの国会行動を強めていきます。広く社会的にアピールするために、この法案の問題点を職場の仲間と学び合い、いま「政府案の給特法“改正”案に私たちは反対します!」署名を、多くの広範な人々に共闘を呼びかけ、緊急に広げていきましょう。全教は、4・16定時アクションをはじめ、職場でできることや街頭宣伝、SNSデモへの参加など、さまざまな方法を模索し、給特法等改定法案廃案のために全力をつくす決意です。