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(全教中央執行委員会声明)これでは学校がもたない!-第217国会に提出される給特法等改定法案について-

第217国会に提出される給特法等改定法案について、2025年2月12日、全教(全日本教職員組合)は中央執行委員会声明を発表しました。


2月7日、政府は、第217回に提出する「公立の義務教育諸学校等における教育職員の給与等に関する特別措置法(以下、給特法) 」をはじめ、「学校教育法 」、「地方教育行政の組織及び運営に関する法律(以下、地教行法) 」、「教育公務員特例法(以下、教特法) 」等の一部を改定する法案を閣議決定しました。中教審答申にもとづく法案の内容は、労基法 第37条適用除外をそのままにし、無定量な時間外勤務を放置するとともに、「新しい職」を創設し、職場に分断を持ち込み、上意下達型の学校運営に道を開くものです。これでは、長時間過密労働解消・教員不足の解消にはならないばかりか、教育現場へのさらなる管理統制強化をすすめることになります。

教員の処遇改善として給特法第3条を改定し、教職調整額を10%まで引き上げるとして、2026年1月から5%とすることは、一律の処遇改善として重要です。しかし教職調整額増額に長時間労働を抑制する効果はありません。むしろいっそう長時間労働につながる危険性があります。給特法改正にあたっては、超過勤務禁止の原則を守りつつ、やむを得ず生じた時間外勤務に対して残業代を支給する内容を盛り込み、長時間労働を抑制することが必要です。

教特法の一部を改訂し、義務教育等教員特別手当(以下、義務特手当)を校務類型に応じて条例で支給額を定めることとしました。義務特手当を一律に引き下げ、その原資をもとに学級担任に3000円程度加算することが想定されています。そもそも義務特手当は人材確保法にもとづく手当であり、その趣旨から手当額に差をつけることは不当です。

新たに給特法第8条を設け、教育委員会に業務量管理・健康確保措置実施計画の策定・公表、計画の実施状況の公表を義務付けました。加えて学校教育法、地教行法を改定し、校長が学校運営協議会で承認を得る「基本的な方針」に、教育委員会が策定する計画の内容を含めることを求めています。

教職員定数の抜本的な改善を図ることなく、国が地方教育行政や学校に「教員の業務量の適切な管理」を強要し、公表させることで「成果」を煽ることは、管理職による退勤強要や時短ハラスメント、教職員の持ち帰り業務の増加を招く危険性があります。

学校教育法を改定し、すべての校種に「新たな職」として、「主務教諭を置くことができる」としています。そして、教諭と主務教諭の間に6000円程度の賃金格差を設けようとしています。教職員の差別化と階層化をすすめることで、教育活動に不可欠な教職員どうしの共同性が破壊されるとともに、さまざまな業務が「主務教諭」に押しつけられることも危惧され、いっそう職場の矛盾が広がります。

この法案では長時間過密労働・教職員不足は解消できないことはあきらかです。全教は、教職員の声を聞いて、国会で徹底審議により法案の問題点を明らかにし、残業代支給を可能とする給特法の改正、教職員の大幅増員を実現することおよび「主務教諭」を導入しないことを求めます。

                                       

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