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2024年秋の共育集会「子どもたちの性の現状と性教育part2」レポート

この記事は、「北九州子どもと教育のために手をつなぐ会」の会報「手をつなぐ」2024年11月号に掲載された「秋の共育集会(要旨)」に補足を追加したものです。


春の共育集会に続き、秋も山崎(崎は立に可、以下同じ)さんに鹿児島より来ていただき、性教育について学習しました。

今回は、前回のアンケートにあった質問等を予め山崎さんに伝え、お話の中に加えていただくという形をとりました。前回もお聞きした「包括的性教育」のおさらいをした後、「性の権利」の話がありました。 少々難しいですが紹介します。このような視点がもっと広がるべきだと考えます。

目次

性の権利宣言(要約)

1999年8月26日に香港で開催された第14回世界性科学学会総会において採択された.。2014年に改定。

  • 性の健康とは、セクシュアリティ(性のあり方全般)に関する、身体的、情緒的、精神的、社会的に良好な状態(ウェルビーイング)にあること。
  • 性の健康には、セクシュアリティや性的関係に対する肯定的、かつ敬意あるアプローチと同時に、強要・差別・暴力を被ることなく、楽しく、安全な性的経験をする可能性をもつことが求められる。
  • 性の権利は、すべての人間が、人間としてもって生まれた自由・尊厳・平等に基づき、危害からの保護に対するコミットメントを含むものである。
  • 平等と非差別は、すべての人権の保護と促進の基盤であり、人種、民族、肌の色、出生時およびその他の状況(障がいの有無・年齢・国籍・婚姻状況・家族関係・性的思考(好きになる性)やジェンダー・アイデンティティ(自分の性をどうとらえるか)・健康状態・居住地・経済的および社会的状況)に基づく、あらゆる区別、排除あるいは制限を禁じるものである。

「性知識」「スキル」となるような学びとは

  • 例えば、コンドーム。避妊具だと知っていても、持っていても、それだけでは駄目だということ。コンドームを財布にしまい「備えて」いても、袋の外からの刺激で傷つくこともあるし、正しい使い方をしないと「避妊」できないこともある。
  • からだを、いつ、どこで、だれが、どんなふうにさわることができるか、決める権利があるのは自分。
  • 自分の、他人の、「プライベートパーツ」を大事にする。絵本「からだうた」 等を活用し、体の名称を覚え、大事な部分を体感する。
  • からだ、こころ、持ち物の境界線があることを知り、ここちよい距離を取ることができるようにする。
  • 嫌な時は「いや」と言っていいし、言われても、「そのとき」「そのこと」がいやなのだ、ということを知る。
  • 性的同意をしっかり考える。
  • 妊娠したくないときは、避妊をする。
  • 緊急避妊ピルのことを知り、万が一の場合は利用する。しかし、繰り返すことは体に良くないことも知る。
  • 妊娠経過と選択する期間について知る。
  • 望まない出産をすることになったら、公的支援機関に相談することもできる。
  • デートDVについて知識を持つ。
  • ネットトラブルに巻き込まれたら、相談機関に相談する。
  • 性について知識があると、自分を(家族や 友人を)守る術となる。

支援機関・相談機関

この項目は、全教北九州が独自に追記したものです。

性的同意について考える動画の紹介

セックスについて同意が大事だということを、紅茶を飲む・飲ませるという例え話を用いてわかりやすく説明しています。 ぜひ、ご視聴ください

Q&Aより

知的障害、発達障害を抱えた思春期の子どもに座学でどう性教育を行うのか?

確かに難しいが、考えられる最大限の努力をしている。繰り返しが大事なので、家庭、学校、支援者と連携を図る。

性教育(講演)は、どんな風に?

講話前にアンケートを実施し、対象の子どもたちの実態を把握。理解しやすい資料、スライド、動画などを準備。 自分の考えを記入し、グループワークで交流。体験学習や寸劇、ふれあいゲームなども取り入れる。適切な相談先も提示。

性加害児童生徒への支援、再犯を起こさないための指導は?

良い悪いとジャッジすることではなく、何が問題なのかを一緒に考える。その背景に何があるのかを知り、軌道修正していくことが大事

性的問題行動への対応は?

その子が見せる「行動」の背景に、どんな「思い」があるのかを把握。子どもの「内なる思い」の発露として受け止め、「意味のある行動」だと理解できると対応できる。

性の多様性に関する指導は?

もっと時間が必要。今回の時間では伝えることができない。

自分の子どもとどう話すか?

私は、自分の子どもが自分らしく素敵な人生を送ってほしいと思う。そのうえで「性=人権」のことは避けて通れない、大事なこととして伝えている。

教員にしてほしいことは?

まず、先生方の性意識を変えていただきたい。「性トラブル」を起こさないために、「性を遠ざける/禁止する」ことに重きを置き、「子どもにとって最も良いことは何か?」が置き去りになっているように感じる。

中学生が安易に性のことを話しているときに、どう対応したらよいか?

何故そのような態度をとるのか聞く。楽しく性(下ネタでも)を話すのはOK。だが、そこに聞きたくない人がいれば、それは言葉での性的嫌がらせともなる。

声掛け・指導の際の注意点

  • その声掛け・指導は、個人の価値観に拠るものではなく、「人権」をもとに考えられたものであるか?
  • 子どもの最善の利益は何か?に基づいたものであるか?
  • 「いやらしいもの」「汚らしいもの」など、ネガティブイメージを植え付けるような声掛けになっていないか?または、脅かしになっていないか?
  • 性を肯定的に受け止められるような声かけを!
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