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全教(全日本教職員組合)は、11月13日、書記長談話『特別国会の開会にあたって』を発表しました。


10月15日公示・27日投開票でおこなわれた総選挙の結果、自民・公明の与党両党が議席を大きく減らし、過半数を割り込みました。

裏金問題に毅然とした対応をしないことや、旧統一教会との癒着を断ち切ろうとしない自民党への国民の厳しい審判です。

11月11日に召集された特別国会で石破氏が首相に指名されました。新政権は衆議院において少数与党となります。憲法などで衆議院の優越が規定されているもとで、法案や予算案などの審議において、これまで常態化していた与党による採決強行や、閣議決定で重要政策を事実上決めてしまうことはできません。常に内閣不信任決議案が可決される可能性があるとともに、野党が連携すれば、法案は廃案になり、野党案が成立する可能性もあります。

政府が国会を軽視することは許されなくなります。国会には国権の最高機関に相応しい、論戦の活発化、与野党協議の透明化が求められ、国民の要求が国政を動かすという情勢の大きな変化が生まれています。改憲勢力が衆議院において3分の2議席を失ったもとで、改憲策動をきっぱりと断念させ、立憲主義を回復し、民主主義を発展・深化させる大きなチャンスです。

国民の力で、自公政権の新自由主義的政策がもたらした、自己責任論による社会の分断、貧困と格差の拡大から、憲法をいかし、軍拡・大増税の「戦争する国づくり」から、一人ひとりが大切にされる社会と国民が主人公の政治が実現できます。

当面、これまで自民党が拒んできた、政治資金規正法の見直し、企業・団体献金の禁止、選択的夫婦別姓制度、従来の(健康)保険証の存続、消費税率引き下げ、最低賃金1500円への引き上げ、核兵器禁止条約への参加・批准などの実現を迫ることが重要です。

全教は、今回の総選挙にあたって、有権者である私たちの投票行動によって議席構成を変え、政策転換を実現しよう、そして、通常国会を教職員の長時間過密労働の解消を議論する「教職員の働き方国会」にしようと呼びかけてきました。今回の総選挙結果はその可能性も大きく広げています。

総選挙に向けて、全教がおこなった教育政策アンケートには、自民・維新・国民民主・共産・れいわの各党が回答を寄せました。回答を寄せなかった立憲民主党の選挙公約も含め、教育無償化や少人数学級、教育予算増については各党とも肯定的であり、直ちに具体化させるべきです。また、長時間労働に法的な歯止めをかける残業代支給のしくみについては多くの野党が給特法の廃止または見直しを表明しています。

11月4日、共同通信は政府が公立学校の教員に残業代を支給する検討を始めたと報じました。文科省は報道内容を否定しましたが、11月11日に財務省が財政制度等審議会に示した資料 で、財務省案が明らかになりました。財務省案は、教職員定数の改善をすることなく、教職員の処遇改善を後回しにして、外部対応や事務作業、部活動などをやりがいが少ない業務と決めつけその縮減によって時間外在校等時間削減を迫るという点で、現場の実態を顧みないものです。「所定外の勤務時間に見合う手当」の内容も不明確です。

一方、中教審答申・文科省案の教職調整額13%増だけで長時間労働はまったく解消しません。長時間過密労働と教職員未配置の解消は、文科省案と財務省案のいずれも不十分です。あたかも二者択一であるかのように政府内で議論を矮小化させるのではなく、現場の声に耳を傾けさせることが求められます。国会情勢の変化のもとで、国会での審議もきわめて重要です。

全教は現在、各地で11月27日と1月15日の全国一斉定時アクションの準備を進めています。

教育予算増、基礎定数の改善、そして残業代支給のしくみを求めて大いに声を上げ、幅広い共同の力を結集し、要求実現のために奮闘する決意です。

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