全教(全日本教職員組合)は、10月17日、書記長談話『日本被団協のノーベル平和賞受賞を歓迎します』を発表しました。
10月11日、ノーベル賞委員会は2024年のノーベル平和賞を日本原水爆被害者団体協議会(日本被団協) に授与することを発表しました。
日本被団協のノーベル平和賞受賞にあたり、全教はあらためて被爆者の方々が、長年にわたって核兵器の非人道性と核兵器廃絶を訴えられてきたことに、心からの敬意と祝意を表します。
被爆者の方たちは、自らが体験した核兵器が使われた瞬間の壊滅的な惨状や、その後の身体的・精神的な苦難を語りながら、二度と誰にも同じ体験をさせないためには、核兵器は廃絶しなければならないと訴え続けてきました。その運動が、世界の市民と政府を動かし、2021年の核兵器禁止条約発効まで導いてきました。
ノーベル賞委員会は授賞理由を、「ヒバクシャ(被爆者)としても知られる広島、長崎の原爆生存者による草の根運動であり、核兵器のない世界を実現するための努力と、核兵器が二度と使われてはならないことを目撃証言を通じて示してきたこと」としています。ロシアやイスラエルが核使用について言及するなど、核兵器使用の危機が迫る現在、日本被団協への平和賞の授与は、核兵器保有国とその傘下にある国への大きなインパクトとなるとともに、核兵器廃絶のたしかな歩みをすすめるものです。
ノーベル平和賞選考委員会が、約80年間核兵器が使われてこなかった事実とともに、「日本被団協と被爆者の代表らによる並外れた努力は、核のタブーの確立に大きく貢献してきた」と指摘していることは重要です。核戦争を阻止してきたのは、核保有国のいう「核抑止」の成果ではありません。日本被団協をはじめとした被爆者の草の根運動の広がりこそが抑止力になってきたのであり、被爆者の思いを引き継いだ広範な市民とともに、全国の教職員の平和教育の実践や高校生・学生平和ゼミナール等のとりくみもその一端を担っています。
また選考委員会は、今このタブーが圧力にさらされていると警告し、核兵器が「世界がかつて経験した最も破壊的な兵器」であることを思い起こそうと喚起しています。
今こそ私たちは、被爆者の声を世界の核保有国と「核の傘」に依存する国々に向けて届け、核兵器禁止・廃絶の声を上げなければなりません。唯一の戦争被爆国・日本政府は、「核共有」にまで言及しアメリカに追随した核政策をすすめようとしていますが、日本が取るべき立場は「非核3原則」の堅持です。まずは、核兵器禁止条約に一刻も早く署名・批准することが、被爆者と国民のねがいです。
全教は「教え子を再び戦場に送るな」をスローガンに、戦争や核兵器の実相を学び教育実践に生かすとともに、原水爆禁止世界大会への代表派遣や、全国各地での署名や戦争展のとりくみ等、核兵器のない平和な社会を子どもたちへ手渡すための学習や運動をすすめてきました。
これからも、被爆者のみなさんに連帯し、核兵器廃絶をめざす世論を大きくする運動を強める決意です。