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(全教のアンケート)総選挙に向けた各政党の教育政策についてのアンケート

全教は、10月27日(日)投開票の衆議院議員選挙にあたり、主要政党に対して、教育政策に関する5つの質問を行いました。設問と、期日までにお返事をいただいた各政党の回答は以下の通りです。また、後日回答をいただけた場合は随時更新していきます。


目次

設問

  1. 日本政府が2012年に留保撤回した、国際公約である国際人権規約A規約第13条2項(b)(c)もと、高等教育まで学費などの無償化、給食費や教材費も含めての、全般的な教育無償化が求められています。貴党はこれについてどのようにお考えか、教えてください。
  2. 私たちは、教職員の働き方に関して、給特法を改正し、時間外労働に対して残業代を支給できる仕組みにして、長時間労働に対する法的歯止めをかけるとともに、業務量に見合った教職員の配置を求めています。貴党はこれについてどのようにお考えか、教えてください。
  3. 私たちは、「教育に穴があく」(教職員未配置問題)の解消に向けて、義務標準法を改正し、教員定数を基礎定数から抜本的に改善することが必要と考えています。貴党のお考えを教えてください。
  4. 私たちは、子どもたちにゆきとどいた教育を保障するとともに、教職員の処遇改善など教育条件整備をすすめるために、教育予算の公財政支出対GDP比をOECD平均並みに引き上げることが必要だと考えています。これについての貴党のお考えを教えてください。
  5. 私たちは「教え子を再び戦場へ送らない」のスローガンのもと、日本国憲法9条をそのまま残し、平和主義を堅持すべきと考えています。貴党の憲法に対するお考えを教えてください。

アンケートを送付した政党

よせられた回答

空白は掲載時点で未回答です。

日本政府が2012年に留保撤回した、国際公約である国際人権規約A規約第13条2項(b)(c)もと、高等教育まで学費などの無償化、給食費や教材費も含めての、全般的な教育無償化が求められています。貴党はこれについてどのようにお考えか、教えてください。

自由民主党

家庭の経済事情にかかわらず、子供たちの誰もが、質の高い教育を受けることができるチャンスが平等に与えられ、個性や能力を最大限伸ばせるようにすることが重要です。

また、少子化対策の観点からも、教育に係る経済的負担を軽減することは重要です。

これまで、幼児期から高等教育段階まで、切れ目のない教育費の負担軽減策を進めてきており、特に、高等教育段階においては、令和6年度から、多子世帯等の中間層への支援拡大等を行い、令和7年度からは、多子世帯は所得制限なく、一定の額まで、大学等の授業料・入学料を無償とすることとしています。これらの施策を着実に進め、引き続き、教育費の負担軽減に係る取組の充実を進めていきます。

また、学校給食費の無償化については、本年6月に公表された学校給食に関する実態調査の結果を踏まえ、今後、児童生徒間の公平性や国と地方の役割分担、政策効果などといった観点や法制面から、課題を整理することとなっています。

公明党
立憲民主党
国民民主党

「教育国債」の発行で、教育や科学技術など「人への投資」を倍増し、経済全体の生産性を向上させて日本の国際競争力を強化します。幼稚園・保育園から高校までの教育完全無償化とともに、出産・子育て・教育にお金のかからない国を実現します。

すべての子どもが人生の平等なスタートラインに立つため、0~2歳の幼児教育・保育無償化の所得制限を撤廃するとともに、義務教育を3歳からとし、高校までの教育や子育てにおけるあらゆる施策を完全無償化します。

  1. 0歳児の見守り訪問無料(おむつ・ミルク定期便)
  2. 18歳までの医療費無料
  3. 小中学校給食無料(地産地消や有機食材を推進)
  4. 公共施設入場料無料
  5. 第1子からの保育料無料
  6. 産後ケア無料
  7. 乳幼児育児中の休息支援サービス(レスパイト)無料
  8. 障がい児福祉無料
  9. 妊婦健診(オプション検査)無料
  10. 新生児スクリーニング検査無料
  11. 学童保育・おやつ代無料
  12. 教材費や修学旅行費等無料。また、塾代等の民間教育費を税金から控除する「塾代等控除」を創設します。
日本維新の会
日本共産党

私たちは、教育は憲法に保障された国民の基本的人権の一つであり、全般的に無償化すべきだと考えます。ところが、歴代の自民党政権、自公政権は教育予算を低く抑えたため、世界に例のないような学費負担も生じています。それは、学生たちや保護者の生活を圧迫するとともに、子どもを産み育てることを難しくしてきました。

私たちは教育の完全無償化に向け、当面、以下の教育無償化にむけた政策にとりくみます。

【高等教育の分野】

  • ただちに授業料を半減し、入学金はゼロとする(専門学校含む)
  • 給付中心の奨学金を創設する
  • 奨学金返済を半額免除する

【初等・中等教育の分野】

  • 高校無償化の所得制限を撤廃し、私立高校の授業料無償を年収910万円以下の家庭まで広げるなど拡充する。
  • 義務教育の給食を無償化する。学習ドリルなどの学用品の無償化をすすめる。
社会民主党
れいわ新選組

教育は未来を担う人々への投資であり、受益者は社会全体と考えております。

高等教育の学費無償化政策は、今回の衆院選マニフェストに記載されております。また、そのほかの給食費等の無償化も必要不可欠なものです。教育費などの負担を家計に押し付け、財政支出(国債発行)を絞ってきたこれまでの財務省主導の政策は誤りです。

私たちは、教職員の働き方に関して、給特法を改正し、時間外労働に対して残業代を支給できる仕組みにして、長時間労働に対する法的歯止めをかけるとともに、業務量に見合った教職員の配置を求めています。貴党はこれについてどのようにお考えか、教えてください。

自由民主党

給特法は、教師の仕事が日々の研究や自己研鑽の積み重ねの上に成り立っていることを踏まえ、教師の裁量性を尊重するために制定されたものですが、今日においても先生方が学校内外で大変なご努力を重ねておられることには変わりあ
りません。給特法の目的を踏まえつつ、時間外在校等時間の縮減を徹底して進めるとともに、先生方が児童・生徒に向き合う時間を確保するため、教職員定数の改善など指導・運営体制の充実と合わせ、ICTを活用した業務効率化などの働き方改革の加速化と、教師の処遇改善を一体的に進めます。また、優秀な人材が学校現場により多く集まるよう教職調整額の大幅な引き上げを行います。

公明党
立憲民主党
国民民主党

学校教員の長時間労働の是正等、働き方改革に取り組むとともに、給特法(給料月額4%の教職調整額を支給する代わりに、超勤手当を支給しないと定める法律)は、廃止を含め、見直します。

日本維新の会
日本共産党

ご指摘の課題は、教員の異常な長時間労働をもたらした根源である、国の法制度を改めるものとであり、私たちも重視しているものです。

残業には割増の賃金を支給する⎯⎯残業代制度は、コスト面から長時間労働を抑える世界共通のルールで、労働基準法にも明記されています。ところが公立学校だけ、給特法により残業代制度が不適用(国立と私立は適用)です。残業代がない
ため、残業時間も計られず、労働時間は野放しになりました。裁判所さえ「給特法は教育現場の実情に適合していない」と判じています。しかし国は、「国立や私立と違って公立は異動がある」など意味不明な理由で残業代ゼロに固執しています。私たちは国の姿勢を変え、残業代制度を適用させるために力をつくします。

慢性的な長時間労働は、仕事にくらべ教職員の定数が少ないためです。次の設問に書かせていただく教員一人あたりの受け持ち授業の量の多さとともに、子どもと家庭の変化は、そのケアにあたる教職員の増員をもとめています。業務量に見合った教職員の増員に大賛成です。

社会民主党
れいわ新選組

いわゆる「給特法」は廃止したうえで、通常の時間外労働の考え方に基づいて、教員の残業代を支払う制度に変えるとともに、一人一人の教員の担当コマ数を削減できるように、定員増・採用者増を図って、教員が報われる職業にすることで、現在の教師不足を解消していく必要があります。これらのためにも国の財政出動(国債発行)は必要です。

私たちは、「教育に穴があく」(教職員未配置問題)の解消に向けて、義務標準法を改正し、教員定数を基礎定数から抜本的に改善することが必要と考えています。貴党のお考えを教えてください。

自由民主党

質の高い教育の実現や、複雑化・困難化する教育課題へ対応を図るとともに、学校における働き方改革を推進する上でも、教職員定数の改善は重要であり、小学校における35人学級の整備や教科担任制の拡大などを進めております。引き続き、学校の指導・運営体制の強化・充実に取り組んでまいります。

公明党
立憲民主党
国民民主党

子どもの「見守り」機能の拡充と一人ひとりの子どもがきめ細かい教育を受けられるよう、義務教育における国の学級編制の基準について、見直します。

日本維新の会
日本共産党

いわゆる教員不足、教職員未配置問題は子どもの教育にとっていささかも放置できない問題であり、未配置校での教職員の負担をさらに重くする点も深刻です。

問題の根本には、教員の異常な長時間労働があります。残業が少なかった1960年代、70年代は、教員の授業負担は「1日4コマ」(小学校の例)とされ、それに見合う基礎定数が配置されていました。しかし今は1日5コマ、6コマが当たり前で、これでは長時間の残業が必至です。しかも、「道徳の教科化」「小学校英語」など新たな業務が次々ふえました。

しかし国は、雀の涙の加配定数でお茶を濁そうとしています。全国知事会、小・中学校の全国校長会も基礎定数をふやせと主張しています。私たちは国政の場で、基礎定数の抜本的な改善を求めます。

社会民主党
れいわ新選組

2005年までは「教職員定数改善計画」があったにも関わらず、現在は計画的に教師を育成、採用していく仕組みがなくなったことが問題です。英語の先生が欠員になったのを体育の先生がカバーしたときに、欠員カウントされないなどの問題もあります。改善計画を復活させ、削減されてきた定数を増やし、待遇の改善によって教師という仕事を目指す教職資格取得者を増やすことが急務です。(https://www.oishiakiko.net/2023-02-06-yosan-i-oishi/

私たちは、子どもたちにゆきとどいた教育を保障するとともに、教職員の処遇改善など教育条件整備をすすめるために、教育予算の公財政支出対GDP比をOECD平均並みに引き上げることが必要だと考えています。これについての貴党のお考えを教えてください。

自由民主党

日本の未来を担う子供への教育をはじめ、「人への投資」は、我が国の将来にとって極めて重要であり、少子化対策と経済成長の実現の観点からも教育予算をしっかりと確保していく必要があると考えています。

OECDの調査結果等も参考としながら、教育予算の確保を進めてまいります。

公明党
立憲民主党
国民民主党

「教育国債」で教育・科学技術予算を倍増し、「人づくり」を国の最重点政策として進めます(「人への投資」倍増戦略)。特に、基礎研究振興のための大学運営費交付金を増額し、大学・大学院に研究費や人件費を倍増することで、技術の基礎となる研究力をつけ、新たな商品開発力・品質改善力でのイノベーションを支えます。教育や人づくりに対する支出は、将来の成長や税収増につながる投資的経費です。財政法を改正して、これらの支出を公債発行対象経費とする「教育国債」を創設します。毎年5兆円発行し、教育・科学技術予算を年間10兆円規模に倍増させます。

日本維新の会
日本共産党

自公政権は教育予算を世界最低水準のまま放置しつづけ、ご指摘のように、日本の教育条件は多くの面で貧弱です。

教育は国民のための「百年の大計」です。私たちは当面、OECD平均並みに教育予算を引き上げることをめざします。それは国と地方の教育予算を7.5兆円ほど上乗せすることとなり、教職員定数の改善、少人数学級の推進、大学等の学費半減など教育条件をおおきく引き上げることになります。それにむけて私たちは、自公政権の予算の歪みをただし、教育や福祉に新たにふりむける22兆円の財源をつくる提案をしています。

社会民主党
れいわ新選組

財務省の進める長年の緊縮財政によって、日本の教育予算の公財政支出は常にOECDの平均を下回るばかりか、最下位を争っています。国債発行によって教育分野の公財政支出を抜本的に増やさなければ、どんな素晴らしい教育改善計画も絵に描いた餅です。

私たちは「教え子を再び戦場へ送らない」のスローガンのもと、日本国憲法9条をそのまま残し、平和主義を堅持すべきと考えています。貴党の憲法に対するお考えを教えてください。

自由民主党

「国民主権」「基本的人権の尊重」「平和主義」の3つの基本原理は堅持し、憲法改正実現に向けて、取組みを更に強化します。技術革新、安全保障環境、時代や社会生活の変化など、時代の要請に応えられる「日本国憲法」に改正するために、力を尽くします。自民党は現在、憲法改正の条文イメージとして、

  1. 自衛隊の明記、
  2. 緊急事態対応、
  3. 合区解消・地方公共団体、
  4. 教育充実

の4項目を提示しています。国民の皆様の幅広いご理解を得るため、全国各地で対話集会などを積極的に開催し、憲法改正の必要性を丁寧に説明していきます。衆参両院の憲法審査会において憲法論議を深め、憲法改正原案の国会提案・発議を行い、国民投票を実施し、「日本国憲法」の改正を早期に実現します。

公明党
立憲民主党
国民民主党

なお、憲法9条については、これまで9条が果たしてきた役割にも配意しつつ、

  1. 自衛権の行使の範囲、
  2. 自衛隊の保持・統制に関するルール、
  3. 戦力不保持・交戦権の否認を規定した憲法9条2項との関係

の3つの論点から具体的な議論を進めます。私たちはこれからも、護憲と改憲の二元論に停滞することなく、支援者に限らず幅広い国民との憲法対話を続け、国会で建設的な憲法論議を進めていきます。

日本維新の会
日本共産党

日本国憲法は、侵略戦争とそれをもたらした専制政治への痛苦の反省から生まれたものであり、主権者を天皇から国民に転換させ、日本の政治・社会に画期をもたらしたものです。

私たちは、「憲法の全条項の前文を含む全条項を守り、とくに平和的民主的諸条項の完全実施をめざす」(日本共産党綱領)ことを党の基本的な立場に掲げています。もちろん、憲法9条の平和主義を堅持します。

私たちは、自民党が憲法改正案に盛り込んでいる「9条への自衛隊の明記」と「緊急事態条項の創設」につよく反対します。「自衛隊の明記」は、「戦力をもたない」、「交戦権を否認する」という憲法9条の根本を空洞化させ、海外での無制限の武力行使を可能にするものです。「緊急事態条項の創設」は大災害、テロなどを口実に政令で国民の自由や権利を不当に制限するものです。衆議院議員の任期を延長する仕組みづくりも提起されていますが、国民の参政権を奪う暴挙というべきものです。

社会民主党
れいわ新選組

賛同します。自民党とその補完勢力が提案する緊急事態条項(国会議員任期延長条項など)などの憲法改悪に反対するとともに、9条だけでなく13条、25条含めて今ある憲法を守れと訴えています。

人口減少社会を日本が本格的に迎えるにあたり、教育、介護、ケア、物流、農業などの私たちの社会を維持するために必要不可欠な分野に、労働力や資源のリソースを配分する必要があり、自公政権が一部の野党の賛同を得て進めている、5年間で43兆円以上もの軍拡計画や軍需産業主体の経済成長戦略に割くための資源はありません。

近隣諸国とは徹底した平和外交で関係を悪化させないことを第一に、「大砲よりバター」の原則で国民生活の向上を実現していくべきです。

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