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(全教談話)深刻化する教室不足を放置せず、解消のための実効ある施策を今すぐに ~「公立特別支援学校教室不足調査」結果をうけて~

全教(全日本教職員組合)は、4月10日、書記長談話『深刻化する教室不足を放置せず、解消のための実効ある施策を今すぐに ~「公立特別支援学校教室不足調査」結果をうけて~』を発表しました。


文科省は2年ぶりに実施した2023年度「公立特別支援学校教室不足調査 」の結果を3月26日に公表しました。

前回調査結果と比較すると、公立特別支援学校に在籍する児童・生徒数は5083人増加しています。2年間で増加した学級数は880学級。あらたに880教室が必要になったことになります。一方、学校はこの2年間で2校廃校になり、新設された学校は22校にとどまります。この数値だけみても、児童・生徒の増加分に学校建設が追いついておらず、教室不足はこの2年間でもさらに深刻化していることになります。

今回の調査結果では、全体の教室不足数は2年前の3740教室から3359教室と381教室減っています。一方、教室が不足しているために学校としてやむを得ず行う「一次的な対応」(転用教室・間仕切り教室・倉庫の転用など)の総数は7125か所から352か所も増加し、7476か所にのぼっています。この調査の集計においては「一次的な対応」をしている箇所数から、自治体が「支障がない」と判断した数を差し引くことになっています。2021年度 「支障がない」と判断した数は4264か所で一次的な対応数の59.9%でした。しかし2023年度の「支障がない」数は4808か所で、64.3%と割合が上がっています。転用教室や、間仕切り教室などの総数は増えたのに、その環境を学習に「支障ない」と判断したケースが大幅に増え、「教室不足数」から除外されたことになります。公立特別支援学校は122の分校を含め1118校しかないにもかかわらず、7476か所もの「一時的な対応」という大変劣悪な学習環境が常態化していることを直視すべきです。

また、学部別に見ると小学部の教室が大幅に不足しています。小学部の児童が増えているのは全国的な傾向です。小学部の児童は向こう約10年間、特別支援学校に在籍します。このことからも児童・生徒の総数が当面、減らないことが想定されます。

教室不足の現状が国会でとりあげられたのは、1990年です。すでに30年が経過しています。特別支援学校なら、特別教室をつぶしても、カーテン教室でも「支障がない」と自治体や文科省が判断することは、明らかな人権侵害といえます。

国が設定した教室不足解消のための「集中取組期間」は2024年度が5年目の最終年度となります。今年度中に、教室不足が解消する数は481で、不足数3359の14.3%しかありません。それにもかかわらず、「今後の対応」として文科省から示されたのは、自治体へ通知を出すことと、自治体の「集中取組計画」の進捗状況のフォローアップのみです。今の国の施策では教室不足が解消しないことは明らかです。

かつて養護学校義務制実施の1979年を目前に「公立養護学校整備特別措置法」が国会で改正され、補助率を3分の2に引き上げ「7か年計画」で250校をはるかに超える数の養護学校が建設されたという歴史があります。近年の新校建設にかかる費用はおおよそ1校あたり40億円余と言われています。一方防衛予算は昨年からの増額分だけでも4兆円になります。「防衛費」に費やすのではなく教育予算を拡充させ、「集中取組期間」を延長すること、国庫補助率を大幅に引き上げて、適正規模の学校を必要な地域に建設することを強く要望します。

全教は、憲法と障害者権利条約 第24条「教育」でうたわれている、障害のある子どもたちの豊かに学ぶ権利の保障をめざして、引き続き全力を尽くす決意です。

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