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(談話)文部科学省「令和4年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果について」に対して

全教(全日本教職員組合)は、11月2日、書記長談話「文部科学省「令和4年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果について」に対して」を発表しました。


10月4日、文部科学省は「令和4年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果について 」を公表しました。小・中学校の不登校児童生徒数が前年度を5万人以上上回り、約29万9千人となったことが衝撃を持って受け止められました。他にも、小中高の児童生徒の自殺者数が400人を超え一昨年に迫る数となっていることなど、子どものいのちと安心・安全をめぐって危機的な状況が改善されていないことが明らかにされました。

不登校については、中学校が深刻で、とくに公立中学校では16人に1人(6.3%)が不登校で、どのクラスにも2人いることになります。国公私立合わせた学年別不登校児童生徒数は、中学に入ると急激に増加し、2~3年生では約7万人ずついることがわかります。その上、不登校の状態が前年度から継続している生徒も学年が上がるごとに増加え、中学3年生では68.4%となっています。さらに、高校の不登校も2021年度以降増加率18%台で推移し、6万人を超えました。不登校児童生徒数がすべての学校段階で増加し続けていることが明らかにされ、きわめて大きな課題となっています。

自殺については、調査開始以来過去最多となった2020年度より減少したとはいえ、それに迫る数となっています。2022年度調査の「自殺した児童生徒が置かれていた状況」に初めて「教職員による体罰、不適切指導」の項目が追加され、2名計上されたことも社会に衝撃を与えました。文科省自身も「極めて憂慮すべき状況」としています。

暴力行為の状況については、小中高における暴力行為の発生件数は9万5千件(前年度比24.8%増)と増加傾向が続いています。特に低年齢化が顕著です。1000人あたりの暴力行為発生件数は、小学校9.9人、中学校9.2人となり2年連続で小学校が中学校を上回っています。

いじめについては、認知件数の増加が止まるところを知らず、2022年度には約68万2千件(前年度比10.8%増)となっています。とくに小学校の増加が激しく、2022年度には1000人あたり89.1人と初めて80人を突破し、35人学級で考えると平均3.1件となりました。また、年度末でいじめの解消が確認されていないものが22.8%あり、長引くいじめの解消の難しさが表れています。

文科省はこうした課題に対して、2024年度概算要求に「学びの多様化学校(旧・不登校特例校)」の設置促進など「不登校の児童生徒全ての学びの場確保」や、スクールカウンセラー・スクールソーシャルワーカーの拡充を計上しています。一方で、「1人1台端末等を活用した『心の健康観察』」の導入や「SNS等を活用した教育相談体制の整備推進」など、過剰なほどにICT頼みの施策を展開しようとしています。

しかし、いま、本当に求められているのは、学校で、地域で、子どもたちや保護者、そして教職員に寄り添い、声を聴き取り、支える人の存在ではないでしょうか。そのために教職員を増やすことはきわめて重要なことです。

さらに、競争と管理で子どもたちを苦しめる学校教育を改めなければ、子どもたちがえがおで学校にやってくることはますます難しくなります。不登校数の激増が表すものは、子どもたちがそんな学校は嫌だと拒否しているものと受け止める必要があります。 全教は、子どもたちがえがおでのびのびと学び、遊び、生活することができ、一人ひとりが大切にされ、成長と発達が保障される学校づくりのために全力をあげてとりくみをすすめる決意です。

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