全教(全日本教職員組合)は、9月6日、書記長談話「教師を取り巻く環境整備について緊急的に取り組むべき施策(提言)について」を発表しました。
8月28日、中教審「質の高い教師の確保特別部会」は、「教師を取り巻く環境整備について緊急的に取り組むべき施策」(提言)を下記の3点を中心に永岡文科大臣に提出しました。
- 学校・教師が担う業務の適正化の一層の推進
- 学校における働き方改革の実効性の向上等
- 持続可能な勤務環境整備等の支援の充実
業務の適正化の一層の推進について「『学校・教師が担う業務に係る3分類』を徹底するための取組」をあげ、「3分類」に沿った「働き方改革」を推しすすめようとしています。しかし「3分類」が示された2019年中教審答申からすでに4年が経過し「改革」は遅々としてすすんでいません。その要因をあきらかにするとともに、地域ボランティアなど外部への丸投げでなく、条件整備のための具体的な予算確保が求められます。
処遇改善については「職務の負荷や職責を踏まえ、先行して、主任手当や管理職手当の額を速やかに改善」としています。いわゆるメリハリある賃金制度を持ち込むものであり、長時間労働を解消するための処遇改善とは異なるものであり、教職員の共同のとりくみを阻害し分断するものです。
また、「給特法等の法制的な枠組みを含めた具体的な制度設計は、今後、議論を深めていく」とし給特法についての議論の方向は示されていません。超過勤務手当不支給を定めた給特法が無定量な長時間労働をまねいている大きな要因であることはあきらかです。長時間労働解消のためには、やむを得ず生じた時間外勤務に対する手当支給のしくみを構築するための給特法改正が欠かせません。
年間標準授業時数について触れている点は重要です。教育課程の編成権は各学校にあることをふまえ、授業時数が標準を大幅に上回っている学校に改善を求めることは大事です。しかし、そもそも時数確保が至上命題であるかのように、教育委員会に圧力をかけてきた文科省の責任は重大です。
また、「持続可能な勤務環境整備等の支援の充実」として教職員定数改善について言及したことは教職員の増員を求める声を反映したものであり重要です。支援スタッフや教員業務支援員、スクールカウンセラー・スクールソーシャルワーカー、学習支援員などを拡充することが明示され、現場からの期待に一定応えたものとなっています。しかし、現場の教職員がもっとも強く求めているのは、フルタイムの正規教職員であり、標準法改正を視野に入れた抜本的な教職員定数の改善が急務です。
全教は、2023年度の最重要課題として、長時間過密労働の解消を求め、給特法の改正と教職員の大幅増員を求める大運動を展開しています。深刻な教員不足問題の解消と合わせ、教育の危機的な状況を打開するためには、教職員だけでなく広範な保護者・国民と課題を共有し世論を広げていくことが求められます。
全教は、ひきつづき教職員の長時間過密労働を解消し、ゆきとどいた教育を実現させるため奮闘する決意です。