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新聞全教北九州2023年4月号

文科省は、人材確保のための待遇改善について本格的に検討を始めました。4月13日有識者会議は、残業代を認めない代わりに、給与を4%上乗せする制度が今の教員の働き方に見合わないとして、約50年ぶりの見直しや新たな手当を創設する案を示めしました。改正の方向性を見守るだけでなく、教職員自ら法改正の在り方を考え、意見を発信していくことが大切です。

目次

「給特法」の改正で働きがいのある職場環境の実現を!

有識者会議での二つの待遇改善の論点とは

有識者会議での待遇改善の論点は、今の教職員の給与が働き方の実態に見合っていないということで、まず4%の教職調整額の見直しを論議しようというものです。そもそも4%の根拠は、57年前(1966年)の平均残業時間が8時間だったことから算出されたもので、2016年度の平均残業時間の実態(小学校で59時間、中学校で81時間)とかけ離れていることや、約50年間このことが放置されていたことも問題です。

もうひとつの論点が、職務や勤務の実態を踏まえた「新たな手当」を創設するというものです。学級担任、研修主事、情報教育担当主任などの職務に対して手当をつけるものです。しかし、この職務手当、当然職務に就かなければ給与は増えません。この「職務や勤務状況に応じた給与のメリハリの強化」は、教育現場で大切にされてきた協働性の崩壊や職員間の分断を招き、教育現場の混乱や教育力の衰退にもつながりかねません。

給与を増やすだけでは「教職の魅力向上」「人材確保」にはつながらない‼

全教北九州は、教育委員会との交渉の際、毎年教職員の待遇改善を要求しています。その中で「教職員の働きに見合う適正な賃金」も要求してきました。一方で、「賃金の問題だけでは人材確保につながらない」ということも話しています。先に全教が行った勤務実態調査「長時間過密労働解消に必要な施策」の質問項目で、「時間外手当ての支給」を要望する声は46.4%でしたが、それ以上に「教職員の数を増やす」(89.7%)や「全体的な業務縮減」(66.1%)「受け持ち授業時数の削減」(62.5%)など仕事量を削減し、ゆとりある職場環境の実現のための施策の方が上位を占めています。北九州の教育現場では病気休職・病気休暇の教職員も増加傾向です。決して働きやすい労働環境とはいえません。一方、実効ある働き方改革推進や職場環境改善の実現は、法改正を待たなくても北九州独自でもできることはいくらでもあります。教職員の要求に根差した的確、適正な待遇改善の実現を望みます。

将来の充実した働き方のイメージを持つことができる労働環境整備を

論点整理は、教職調整額をわずかな引き上げで「残業代なし」は維持し、「給与のメリハリ」の強化でもっと働かせ、しかも教員同士がまとまらない状態をつくる方向にむいています。このまま中央教育審議会での議論が、論点整理の方向性のまま進めば、私たちが望むような待遇改善は期待できません。

文科省は、2022年度の勤務実態調査を踏まえ、給与制度の見直し案を6月の「経済財政運営と改革の基本方針」に盛り込むことを目指しています。さらに中教審に具体案を諮問後、25年の通常国会で法改正を行う予定です。

法改正までは2年足らず。全教とも共闘し、魅力的で、充実した働きがいのある職場の実現のための提案や要求を強め、法改正議論に参加していきましょう。

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