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新聞全教北九州2023年3月号

教職員の仕事は、児童・生徒、保護者との対応において人間的な理解や共感を抜きにして成り立ちません。心身の健康は労働の質と強く結び付いています。より良い教育のためにはより良い労働環境が必要不可欠です。しかし、教育現場ではそれとは真逆の実態があります。健康に不安を感じながら働かなければならない職場で、落ち着いて教育実践に集中できるはずもありません。

目次

年度初めは「日頃の思い」を発言して職場の合意づくりをめざそう

ブラックな働き方の背景にあるもの

北九州市は、校務支援システムにより正確な勤務時間の把握に努めています。しかし長時間勤務の実態を隠すための管理職による不正な退勤操作や産業医面接を避けたいがために本人による虚偽の打刻も多くあり、組合では是正を求めてきました。

現在、退勤の管理には一定の改善がみられますが、勤務時間上限規定をうけた管理職による時短ハラスメントが増えてきました。

また、休憩時間が取れないことも問題です。本来法律で与えなければならないはずの休憩時間が、普段全く取れていない教職員が約6割、残りは10分未満という、一日中働き詰めの職場環境が放置されている実態があります。

このような実態の背景には、教育内容などが大きく変化するなか、業務削減が全く追いついていないことがあります。さらに、周囲への相談や弱音を吐くこともできず、多忙な仕事も相まって精神疾患などによる病気休職、病気休暇に教職員が追い込まれていることも一因です。

安心して働くことができる環境が教育の質を向上させる

仕事の中で、想定を超えた出来事や問題に直面し、心が折れそうになった経験は誰にでもあると思います。そんな時に安心して悩みを相談したり守ってくれたりする存在が必要です。

教育の質を向上させ、さらに充実させるために、まず「安心」して仕事ができる環境を整備する必要があります。私たちは、このことを毎回の交渉で教育委員会に訴えていますが、そのような観点から「教育環境」をとらえていないのは残念です。

職場環境をよくするための発信をしよう

私たちが長時間労働や働き方に見合った適正な賃金の改善を要求するのは労働者として当然の権利です。思いや気付きを職場で発言するのも少し勇気が必要ですがまったく問題ありません。

以前は職員会議でこのようなやり取りが当然のように交わされ、職場の合意づくりが行われていました。これは、労働者の権利を守るという意味だけでなく、子どもたちにより良い教育を行うためにも必要なことだからです。ところが最近はこのような大事な話し合いが職場から消えています。

年度初めの職員会議では、「長時間労働をどのように削減するのか」「日頃取りたくても取れない休憩時間をどうやって確保するのか」「勤務時間内にどうすれば教材研究、授業時間の確保することができるのか」など職場の課題や問題を管理職と共有し、ともに知恵を出し合い、働きやすい職場を実現しましょう。

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