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(談話)2023年度文科省概算要求について

全教は、9月8日、書記長談話『2023年度文科省概算要求について』を発表しました。


2023年度概算要求が8月31日に締め切られ、各省庁からの概算要求総額は過去2番目の規模となる110兆484億円になることが明らかになりました。

文部科学省概算要求は、一般会計で2022年度当初予算比約11.6%増の5兆8949億円、文教関係予算は約8.8%増の4兆3589億円ですが、2022年度の概算要求額を下回っており、ゆきとどいた教育実現のため、教育予算増をもとめる国民の要求に背を向けるものです。

小学校4年生での35人以下学級の前進やスクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカー等の配置拡充、教員業務支援員、学習指導員等、部活動指導員の大幅増員など示されましたが、保護者、教職員、地域の願いである、小学校から中学校、高校での少人数学級の前進、教職員の定数改善、「教職員未配置」の改善・解消等には程遠い要求となっています。

教職員定数は「小学校における35人学級の推進」3283人、「教育課題への対応のための基礎定数化関連」425人、「小学校高学年における教科担任制の推進」950人等を含め、5158人の定数増に対して、自然減等6132人、差し引き974人の定数減となっています。大きな定数改善の要求はなく、「小学校における35人学級の推進」は少人数学級等のために措置している加配定数を一部振替えるなど「純増」ではないばかりか、教職員定数を減らしており、深刻さを増す「教職員未配置」や過労死ラインを越える教職員の長時間過密労働の改善・解消につながるものではありません。

「GIGAスクール構想の着実な推進と学校DXの加速」や「教育DXを支える基盤的ツールの整備・活用」としてCBTシステム(MEXCBT )の「改善・活用」推進、「次世代の校務デジタル化推進実証事業 」など、デジタル化に伴うさらなる予算拡充を求めています。端末や通信費等の保護者負担の大きさ、端末使用による健康・学習面への影響、「活用」の押し付け、子どもや教職員等の情報が集約され、紐づけられる問題、個人情報保護や情報流出への対策など、課題は山積しており、対応が求められます。また、多くの施策で民間事業者を「活用」するとしており「教育の市場化」がいっそうすすめられ、課題が深刻になることが懸念されます。

障害児教育関係では、医療的ケア看護職員の配置拡充、通級指導の充実として664人の基礎定数化、特別支援学校教室不足解消に向けた環境整備等への補助率引上げを維持するなどとしていますが、特別支援学級、特別支援学校に通う子どもの急増に対応しているとは言えません。長年の運動で実現した「特別支援学校設置基準」をいかし、早急に改善をすすめるためにも、特別支援学校の新設への補助率をさらに引き上げるなど、国による財政支援を強めることや特別支援学級の編制標準を6人に改善することが求められます。

高校生等の修学支援として、2022年度並みの4313億円が要求されています。高等学校等就学支援金 は、公私ともに支給対象者を年収910万円未満世帯に制限し、私学の加算支給の対象は年収590万円未満世帯までとしたままで、改善要求はありません。今回、家計急変世帯への支援の仕組みを創設するとしていますが、所得制限の撤廃や私学の加算支給世帯の対象拡大など高校無償化へ向けたさらなる改善が求められます。高校生等奨学給付金 では、引き続き第一子で大幅に増額される等、評価できるものとなっています。就学支援新制度については、個人要件・機関要件によって、対象者が限定されること等、問題は解消されないままです。制度の改善・拡充をすすめるとともに、大学等学費の引き下げ、給付奨学金の拡充など、教育無償化のための施策が求められます。

国公立に比べ耐震化等が遅れている、私立学校施設・設備の整備の推進として、耐震化等の促進やコロナ対策等含めた施設環境改善設備が要求されていることは重要です。

全教は、「戦争する国」づくりのための軍拡予算を大幅に削減し、国の責任による35人以下学級早期実現、20人学級を展望した少人数学級のさらなる前進、正規・専任の教職員増、給付奨学金制度拡充、公私ともに学費無償化など、子どもの権利が保障され、子どもが安心して学べる教育予算への抜本的な転換を求め、全国の保護者・教職員・地域住民とともに、政府予算編成に向けて全力を上げ奮闘する決意です。

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