年金支給年齢の引き上げに伴い、雇用と年金の接続のための段階的な定年延長制度が始まります。この間、制度設計に関し教育委員会と交渉し、6月30日に制度改正の最終回答が出されました。交渉により一部成果はあったものの、いくつかの部分で組合の要求との隔たりが大きく、納得できる最終回答ではありませんでした。
定年延長による給与3割削減は若い世代にも大打撃
一部改善はあったが隔たりは埋まらず
全教北九州市教職員組合は、交渉で「専門職性に基づく適正な賃金等の労働条件」「職務給の原則」を理由に、60歳以降の給与の3割削減は納得できないこと、長時間過密労働の改善・軽減策の取組、管理監督職の降任後(役職定年)の格差待遇、教員不足問題への対応などを論点に交渉しました。
その結果、暫定的な再任用教職員の現行給料月額の約2%(6300円程度)の改善などを実現することができました。しかし、いくつかの部分で組合の要求との隔たりは大きく、納得できる最終回答ではありませんでした。
定年延長制度完成後は40歳代の賃金が押さえつけられる‼
政府は定年制度が完成するまでの間に賃金カーブの見直しを進めるとしています。これによって、特に40歳代ぐらいから賃金が押さえつけられてしまいます。生計費が一番かかる世代の賃金が大きな影響を受けることとなります。給与の3割削減などを「当分の間」としているのはこのためです。
定退職手当を引下げは許されない
退職手当は、勤続年数や退職時の俸給月額を基に算出されます。段階的定年延長期間中は「ピーク時特例」により現行の水準は維持されます。しかし、定年延長完成時には、賃金カーブフラット化の影響を受けピーク時の賃金水準も引下げられます。これを退職手当算出基準にした場合、現行の3割減もあり得る話です。退職手当は賃金の後払い的性格をもつものであり、専門職性もふまえた水準が確保されるべきです。
将来にわたって適正な賃金の保障を
教職員の適正な待遇は、より良い教育の実現とも密接な関係があります。しかし労働力の対価としての適正な賃金が支払われていません。
将来を見据え、教員への残業手当支給の制度を創設し「定額働かせ放題」の状態を解消するなど「給特法(公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法)」の改正は喫緊の課題です。
教育委員会には、教職員の働く意欲の維持・向上のため、長期的な視点での待遇改善のための施策の検討を望みます。