5月31日、全教北九州市教職員組合は、北九州市人事委員会に「北九州市教職員の賃金・労働条件の改善を求める要請書」を提出しました。要請では、人事委員会が労働基本権制約の代償機関としての役割を果たし、物価上昇を上回る月例給改定・ボーナス引き上げ、非正規の教職員に対する公正な待遇、実効性のある「働き方改革」を勧告するよう求めています。
物価上昇を上回る月例給改定とボーナス引上げを
物価上昇に賃金の伸びが追いつかない
2022年4月の労働者一人当たり現金給与総額は、2021年年前と比較して1.7%の増加でした。一方、物価変動分を反映した実質賃金は、1.2%下回りました。厚労省も認めるように、物価上昇に賃金の伸びが追いついておらず、家計の負担が増しています。
北九州市職員の場合、過去3年間で、平均年間給与は0.79%(5万2千円)、ボーナスは0.15%、引下げられています。
全教北九州は、正味の物価上昇率を上回る実質賃金の実現と、教職員の専門性、長時間労働を加味した月例給の引上げを勧告するよう要請しています。なかでも待遇が低く抑えられている再任用教職員や臨時教職員、会計年度任用職員については、職務給の原則、同一労働同一賃金を踏まえた公正な待遇の確保を勧告にもりこむことを今年度も要請しています。
教職員から期待される人事委員会勧告を‼
2019年4月施行された「働き方改革関連法」では、労働者の保護、労働時間の適正化のための措置などがもられました。その柱として
- 長時間労働の是正
- 多様で柔軟な働き方の実現
- 雇用形態にかかわらない公正な待遇の確保
が挙げられています。
ここ数年、人事委員会勧告は、教職員に限った働き方の事項で「長時間労働改善」を取り上げています。そこでは、
「長時間労働改善に向けた教職員の意識の醸成・改革が必要」(令和元年)
北九州市人事委員会勧告より
「教職員が担うべき業務とそうでない業務の整理」
「これまでの取組の実施成果や課題の検証と今後の取組の活用」
「長時間労働の改善やワークライフバランスの実現」(以上、令和2年・3年)
などの必要性が勧告されています。文科省や教育委員会が、教職員の働き方改革実現は喫緊の課題という割には、「業務の整理・精選などによる長時間労働の是正」「定額働かせ放題の改善」「公正な待遇の確保」などどこを見ても一向に「改革」できていません。
人事委員会は、これまでの組合との意見交換で教育現場の実態を把握しており、検証を踏えて「働き方改革」の実効を勧告する思いがあれば、その内容は変わるのが必然です。しかし、この2年は勧告内容が同じというのはどういうことでしょうか。これは教職員の長時間過密労働の改善などの働き方改革が進んでいないことを認めているも同然です。これでは労働基準監督機関としての責務を果たしているとは思えません。
全教北九州は、市人事委員会が教職員から信頼される機関になることを要望します。そのために今年度の勧告が、労働者に寄りそった勧告になることを期待します。