全教は、4月6日、成立した給与法一部改定案の成立に抗議する書記長談話を発表しました。
本日、第208通常国会において、「一般職の職員の給与に関する法律等の一部を改正する法律 案」が可決成立しました。本来、給与の取り扱いを決定する給与法は、その年度内に成立させ調整することが大原則です。法案成立により、昨年度の一時金切り下げ相当分を、6月の期末手当から0.15月分(平均6万円近く)が減額されることになります。また、今年3月で定年退職した職員で引き続き4月から再任用される職員の6月支給の一時金からも減額調整するとしており、在職時の身分に付随する不利益措置を退職後まで引き継ぐものとなっています。法律案は、全国の公務員・教職員の現場実態を顧みない極めて不当なものであり、強く抗議します。
岸田首相は、ケア労働者の賃上げを皮切りに民間企業の賃上げを支援するとした賃上げ方針を打ち出していました。それにもかかわらず、給与法の取り扱いを後回しにし、これまで前例のない給与法成立の年度またぎをさせた上、一時金切り下げを強行した責任は重大です。ロシアによるウクライナ侵略などにより、原油などのエネルギー価格の上昇と円安が進行し、急激な物価の上昇が国民の生計費を圧迫しています。この状況下で一時金を引き下げることは、家計や地域経済に大きな打撃を与え、今後の民間一時金にも悪影響を及ぼすことが懸念されます。生計費原則の立場からも、景気回復のための経済対策として一時金切り下げは撤回し、今年度の一時金の減額調整は少なくとも凍結すべきです。
文部科学省が公表した「教師不足」に関する実態調査 の結果によれば、昨年度開始時点ですでに1897校、2558人が不足していました。配置されなかった教員分の仕事は校内で分担され、現場はさらなる長時間過密労働にさらされています。「病気休職の欠員が来ず、校内で負担を抱えた教員がまた病気休職になった」という悪循環が後を絶ちません。こうした事態への対応策さえ打たないまま、今回の給与法案を成立させたことは、教職員の労働条件をいっそう悪化させ、教職志望者の減少傾向に拍車をかけるものです。ゆきとどいた教育をすすめるための条件整備の点でも、重大な問題です。
全教はこの間、全労連 公務部会・公務労組連絡会に結集し、国会議員要請や官邸前行動、春闘要求書にもとづく内閣人事局交渉など、廃案に向けたとりくみを展開してきました。今後は2022人事院勧告にむけて、22春闘を官民一体となってたたかい、すべての公務労働者の賃金改善と諸要求の実現のため、総人件費削減政策の転換、公務・公共サービス、教育の拡充をはかり、国民・住民本位の政治への転換めざし、奮闘する決意です。