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新聞全教北九州2022年1月号

2021年8月、北九州市教育委員会は、有識者会議である「北九州市小中一貫教育検討会」の報告を受け、「北九州市小中一貫・連携教育基本方針」を改定しました。方針では従来の「小中連携教育」から「小中一貫教育」への転換を図り、義務教育学校・小中一貫型小学校・中学校も視野に入れたものになっています。また2022年度から「小中一貫教育」モデル校区での検証もスタートします。この方針で「働き方改革」は実現できるでしょうか。

目次

「連携教育」から「一貫教育」へ 2022年度「小中一貫教育」の検証スタート

2022年度から「小中一貫教育」の検証がスタート

北九州市は平成25年度よりすべての学校で学力・体力向上、中1ギャップ解消などを目的に中学校区での「小中一貫・連携教育」を実施してきました。

この取り組みでは各中学校区の児童生徒の学習指導・生徒指導上の課題や指導内容・指導方法などの相互理解のための情報交換や交流、小中相互の授業参観などが行われてきました。

教育委員会は、「連携教育」は概ね定着したとしながらも、その目的・理念の達成、成果は十分ではないと評価しています。この評価は、当初から「連携教育」の実効性に対する懐疑的な意見が多かったこと、多忙な業務の合間にやらされている感が払拭できなかったことが原因ではないでしょうか。

そうしたなかで、2021年8月に「小中一貫教育」への転換を図る新しい「基本方針」が策定されました。2022年度から改定された「基本方針」をうけて「小中一貫教育」モデル校区を指定し、検証が始まります 。

「働き方改革」実現できるか

「小中一貫教育」モデル校区では、次の観点から検証がおこなわれます。

①校区児童生徒の学力の実態・傾向、地域の特色などの分析、その課題の設定作業
②その特色を生かした9年間の教育課程の編成作業
③小学校高学年における一部教科担任制や持ち合い授業の推進のための計画案づくり

モデル校区では、教育委員会の定める「小中一貫教育ガイドライン」に従って多くの作業や会議、研修などが必要となります。

慣れない教科担任制や持ち合い授業の打ち合わせなどで多くの時間が割かれ、軌道に乗るまでにどれほどの時間が必要か、どれほど心身を消耗させられるのか、考えただけでもぞっとします。「小中一貫教育」実施の目的のひとつに「働き方改革の推進」があげられていますが、改革が推進できるのか疑問です。

校種間異動は本人の意向を尊重すること

2021年度末の人事異動では、「小中一貫教育」モデル実施のための人事配置が行われることが予想されます。

全教北九州は、人事要求書で「教職員の生活・健康実態を配慮し、合意と納得の得られる人事異動」や「校種間異動は、本人の意向を尊重する」ことを要求しています。これまでも校種間異動が事前の話もなく、いきなり発令されて大変困ったという話を聞いています。21年度末の異動ではそのようなことがないよう強く要求します。

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