北九州市は2月17日、総額6421億円の2021年度の一般会計当初予算案と総額263億円の2020年度の一般会計補正予算案を発表しました。補正予算案で、小学校全学年での35人以下学級の実現に8100万円を計上。これは学級数増加に伴う教室改修やエアコンの設置に利用されますが、教員を増やすためには利用しない模様です。
北九州市4月から小学校全学年で35人学級実施へ
北九州市では、独自予算も使い既に小学校1年生から3年生と中学校1年生で35人以下学級を実施していました。他の学年では学校長裁量で35人以下学級にすることもできる、となっていましたが、教員不足などを理由に実施できない現場も多数ありました。
21年度からは、36人の1クラスであれば18人の2クラスになり、充分に身体的距離が取れゆきとどいた指導ができます。しかし、35人であれば1クラス。教室に35人では感染予防と指導の両面からみてもまだまだ児童生徒数が多すぎます。昨年12月に市議会に請願を行った際も、議員から「20人程度が理想」という発言もありましたし、教育次長からも「できるだけ早い時期に30人程度学級への移行が望ましい」という趣旨の答弁がありました。
少人数学級を求める運動は、教員増による実施と20人以下学級を目指してまだまだ続きます。
職場の声
- 今年度は40人の3学級だった。密を避けるため、空き教室を利用して30人の4集団をつくった。学習集団が増えても担任の配置がないので、担任外の先生に協力してもらい教科担任制で授業をする苦肉の策だった。来年度は担任も配置される。子どもたちも保護者も教職員も皆喜んでいる。
- 今年は3学級だが、転出が決まっている子どもが数人おり、40人の2学級になるものと思っていた。この措置で、来年度も3学級が存続できることとなり、安心した。
- 35人学級以下学級になり、喜ばしい限りだ。しかし、自分のクラスは33人で変更はない。では充分かと言われれば、まだまだ多い。一日も早く30人以下学級へと移行していき、分散登校のときのような20人規模の学級ができるようにしてほしい。
- 35人学級は嬉しい。ただ教員の配置は見通しがある、というところが不安。現在の定数のまま、専科教員や少人数授業担当の担任外教員の枠を担任に回すなら、学校全体に余裕がなくなってしまう。教員増により35人以下学級を措置してほしい。
少人数学級、中学も検討 菅首相、衆院予算委員会で明言
2月15日、菅首相は国会で、学校でも少人数学級の実施を検討すると明言しました。
15日の衆議院予算委員会質疑で、畑野君枝議員(日本共産党)が世界の流れは30人、20人程度学級だ。日本も小学校にとどまらず、中学校でも35人に進むべきだ、と質問したのに対して、菅首相は、小学校で実施する35人学級の教育効果などを検証し、その結果も踏まえ、望ましい指導体制のあり方について引き続きしっかりと検討していきたい、と答弁。さらに畑野氏がその検討対象に中学校が入っているのかと質すと、中学校を念頭に申し上げた、と答弁しました。
中学校での35人以下学級が、現実のものになりそうです。