2019年6月12日
今夏、来年度から本格実施される改訂学習指導要領にもとづく小学校新教科書の採択が行われます。
今回は、高学年の「外国語」科の教科書が新しく発行され、2年前に採択された「道徳」教科書の採択替えも行われます。新聞報道によれば、各教科ともページ数が大幅に増え、プログラミング教育や授業の進め方に関する記述が数多く見られるとのことです。日本国憲法、子どもの権利条約にもとづいて、すべての子どもがよりよくわかり、より楽しく学習できるよう編集された教科書が採択されることを望みます。
教科書は「教育委員会が採択する」とされていますが、見本本を読んだ地域住民の感想や、実際に教科書を使用して子どもたちと一緒に授業をすすめる教職員の意見が尊重されることが重要です。日本政府も批准しているILO・ユネスコ「教員の地位に関する勧告」は、「教員は、児童・生徒に最も適した教材および方法を判断するために格別の資格を認められたものであるから、……教材の選択と採用、教科書の選択、教育方法の適用について不可欠な役割を与えられるべきである」と述べています。
ところが、今年度、学校現場に全ての教科の教科書見本が配布されていないと聞き及んでいます。
以上のことから、小学校新教科書の採択にあたり、教職員および保護者、地域住民の声を十分に反映した教科書採択が行われるよう、次のように要請します。
- 小学校新教科書の採択にあたっては、各学校の教職員の意見を尊重し、採択に反映させること。
- 各学校への見本本回覧の期間を延長し、教員が勤務時間の中で全ての教科の教科書を検討する時間がとれるような条件を整えること。
- 各学校からの報告書について、「よいことだけを書く」「順位をつけてはならない」などの規制をおこなわないこと。
- 各学校からの報告書を全教育委員に配布し、採択の資料として正式に位置づけること。
- 調査委員等の選出は民主的に行い、恣意的に選出されることがないようにすること。
- より多くの保護者、地域住民が教科書展示会に出向いて意見を出せるよう、展示会の場所をふやしたり閲覧時間を延長したりするなど、条件を改善すること。また、寄せられた意見を全教育委員に配布し、採択の資料として正式に位置づけること。
- 教科書採択に関する教育委員会により多くの人が傍聴できるよう、条件を整えること。