2017年5月24日
日頃から北九州市職員の勤務条件の向上に努力されていることに敬意を表します。
さて、政府が労働者の「賃上げ」を政策課題に据えるなど、日本経済との関係でも賃上げは喫緊の課題になっています。とりわけ、私たち地方の公務員賃金は地場の賃金にも影響し、地域経済と密接な関係にあり、その改善が求められます。
また、私たち市費負担教職員の長時間過密労働はますます拡大し、精神疾患が原因での病気休職の教職員も後を絶ちません。先の文科省の調査で、中学校教諭の約6割、小学校教諭の約3割が「過労死ライン」ということが明らかになりました。全教北九州の調査では、教員の出退勤が適正且つ正確に把握されていない実態も明らかになっています。このような長時間勤務の常態化は労基法にも抵触する違法な勤務実態と言えます。
第一線で奮闘する教育公務員の労苦に報い、ゆきとどいた教育を提供するためにも、北九州市人事委員会が労働基本権制約の代償機関としての責務と役割をふまえ、下記の要求の実現に尽力されることを要請します。
- 子どもたちの教育のために、日夜献身的に奮闘している教職員を励ますとともに、職務に専念できるように、生計費原則をふまえ、正規、非正規を問わずすべての教職員の賃金・労働条件の改善に向けた勧告を行うこと。
- 民間給与実態調査にあたっては、単に民間の賃金水準と機械的に比較するのではなく、教職員の専門性や労働実態を十分加味すること。
- 地方公務員の賃金引き下げにつながる政府、人事院による給与制度改悪に反対して、人事委員会として意見表明していただくこと。また、人事院が政府に勧告した退職金の引下げは行わないこと。
- 子どもたちのさまざまな困難に対応している教職員のモチベーションを支えるため、職責と勤務実態に応じた教職員の適正な賃金水準を確保すること。
- 教員の異常な長時間過密労働を解消するためにも、必要な正規の教員を増員する勧告をすること。また、労働基準監督機関として適切な労働時間管理が行われているか監督するとともに、適切でない事象が明らかになった場合は必要な措置を講じること。
- 男女共同参画推進、女性の活躍推進の立場から、妊娠、出産、育児・子育て、看護や介護に関する休暇・休業制度等を拡充するとともに、休暇・休業制度が取得しやすい職場環境を整えること。
- 非常勤教職員については、賃金をはじめ休暇制度など労働条件の改善、雇用の安定・均等待遇の実現などに向けて必要な対策を行うこと。さらに、均等待遇に向けた必要な意見表明を行うとともに、賃金・労働条件の改善に向けた勧告を行うこと。
- 「雇用と年金の接続」については、定年延長を大原則に、希望するすべての教職員の任用が保障できる制度を確立し、生計費をふまえた年金を含む所得水準確保に向けて、人事委員会としての役割をはたすこと。
- 勧告に係る内容については、政府・総務省の不当な干渉に屈することなく、第三者機関としての独立性を守り、公平・公正な立場で勧告作業を進めること。
- 人事委員会の勧告に向けた調査や作業にあたっては、全教北九州との交渉・協議、合意にもとづいてすすめ、組合の意向を充分反映し早期勧告に向けて努力すること。