2021年4月、定年を70歳まで段階的に引き上げる「70歳定年法」が施行されます。施行と同時に年金の支給年齢が70歳に引上げられます。しかし、賃金制度や労働条件の改善なしに70歳まで働き続けることはできません。コロナ禍の経験を「働き方改革」に活かした賃金制度や労働条件の改善が求められています。
「職務の明確化」を長時間過密労働解消につなげよう
コロナ禍を経験してわかったこと
全教北九州は、業務内容の明確化、精選等について教育委員会と協議を進めてきました。しかし、教員の業務内容が明確にされることはなく、長時間過密労働は改善しませんでした。
今年度は、コロナ禍で校時表の見直しや少人数による授業の実施、学年、学校行事の縮小・中止、各種研修、研究授業等の簡素化や負担軽減等これまでできなかったことを経験しました。
このことから、少人数学級が過重労働の改善につながること、児童生徒の下校が早くなれば長時間勤務削減に有効なこと、研修や研究事の削減は教材研究など子どもたちに向けられる時間確保に有効なことなどを知ることができました。
「コロナ後はこれまでの日常には戻らない」といわれます。短期間に社会構造が変わる中で、労働条件を後戻りさせるわけにはいきません。
教育委員会は8月、「新しい生活様式」を踏まえた業務改善の取組みを策定しました。これは本年度に限った取組をまとめたものです。来年度以降も業務改善の取組みを注視するとともに、教職員の働き方改革の趣旨を十分反映した業務の適正化、改善につなげさせることが必要です。
「職務の明確化」への期待と危惧
文部科学省は7月17日付で「教諭等の標準的な職務の明確化に係る学校管理規則参考例等の送付について」を通知しました。今後学校管理に係る規定が見直され「教諭の標準的職務内容や職務施行に関する要綱」が作成されます。
全教北九州は、私たちの働き方と関連する「教諭等の標準的職務の明確化」に期待する一方で、本来教師が担うべき業務(どこまでが教師の仕事か)に納得できる線引きができるのか危惧しています。
今後の交渉等では、「職務の明確化」が長時間過密労働の解消につながるよう主張していきます。