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2020年度「ゆきとどいた教育」請願での口頭陳述

北九州市議会教育文化委員会での2020年12月9日に行った請願「小・中学校全学年での20人以下学級の実現等について」に対する口頭陳述です。()内は掲載にあたり補記しました。


今年(2020年)は新型コロナウィルス感染症の感染拡大で、少人数学級への要望が全国の自治体の長や教育長、校長会、PTA会長等からも文科省に提出されました。文科省も少人数学級の実現に向けて「不退転の決意で臨む」と大臣が決意を述べられ私たちも期待しているところですが、11月25日に財務省財政制度等審議会が出した「令和3年度予算の編成等に関する建議」では、「特定の事例やエピソードのみを持ってその政策に効果があるような主張は厳に慎まなければならない」と述べ、少人数学級に込めた父母・保護者や教職員、地域住民の子どもたちの教育への切実な要求を切り捨てています。

資料裏面に6月に出された文科省の20人学級の座席配置がありますが、5月末からの学校再開時北九州市でも20人学級がしばらく行われました。この期間、子どもの発表回数が増えた、一人ひとりの子どもに寄り添う時間が増えた、少人数で落ち着いた学習ができたと教員は初めての経験に感動を覚えたほどです。感染防止の上からも十分ディスタンスがとれ安心して教室での時間を過ごすことができていました。その後元の学級規模に戻り、1メートルも感覚を取れない、不安だが教員が足りないので簡単に小集団をつくることはできない、そんな状況で今現在を過ごしています。

少人数学級の良さは、感染防止や学力向上、子どもの様子のみとり以外にも必要です。

今年度(2020年4月)から小学校でスタートした、新学習指導要領の目玉は「主体的対話的深い学び」です。自らが学ぶ、これは一斉授業よりも本来さらに指導と評価にかける時間を要するものです。また、中教審の中間素案では、これからの教育は児童生徒の学習進度、生徒指導、保健情報などあらゆるデータをもとに行われるようになり、「誰一人取り残さない、個別最適の学び」を保証していくとあります。ならば一層、学級のサイズダウンを図り教師にも児童生徒にも時間と空間の保障が求められます。

政府がいうように、少子化で児童生徒数は自然減少している。しかし、そのうち学級規模が小さくなることを待ってはいられません。今の子どもたちが40人学級で置き去りにされたままです。議員さん、学校視察等でご覧になっていると思いますが、35人でも多いです。教室はいっぱいです。36人になれば2学級になりますが、一人違いで大きな違いなのです。

また、今回の請願では特別支援学級の編成基準を8人から6人に下げることも求めています。特別支援学級は障害の重複、多学年構成で担任の負担は大きいものがあります。個別の授業準備を想像してください。8人いたら8通りの学習の準備と指導がいります。それぞれの交流学級の担任との打ち合わせも必要です。

養護教諭については今回のコロナ禍で、業務量が大幅に増えました。それでなくても規模の大きい学校では、児童生徒の健康診断、発育測定、保健指導、病気やケガへの対応、さらには保健室登校への指導など多大な業務を担っています。

少人数学級、特別支援学級、養護教諭の複数配置、いずれにしても、国の基準の改定を待つのではなく、市独自の予算配置を行っていただけるよう求めるものです。子育て日本一をめざし、全国の政令市のけん引役になっていただくことを大いに希望します。

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