全教(全日本教職員組合)は、12月25日、書記長談話「2022年度公立学校教職員の人事行政状況調査の公表にあたって」を発表しました。
12月22日、文部科学省は2022年度公立学校教職員の人事行政状況調査 の結果を公表しました。
それによると、2022年度の精神疾患による病気休職者数は過去最多だった前年度より642人増の6539人となりました。6539人は病気休職者全体の74%にあたり、公立の小中高、特別支援学校などの教育職員の合計91万8987人の0.71%にあたります。
6359人の校種別の内訳および校種ごとの在職者に占める割合は、小学校3202人(0.77%)、中学校1576人(0.68%)、高校849人(0.49%)、特別支援学校872人(0.96%)、義務教育学校25人(0.41%)、中等教育学校15人(0.80%)となっています。
病気休職者に1か月以上の病気休暇取得者を加えると2万376人、このうち1万2192人が精神疾患によるものです。前年度よりも1248人増で、20代3096人、30代3380人、40代2627人、50代以上3089人となっており、20代では2.02%、すなわち50人に1人の割合になっています。
復職に向けた手厚く効果的なサポートが求められます。同時に、病気休職者、とりわけ精神疾患による休職者を増やさない対策が必要です。
文科省は調査結果公表の際、業務量の偏りや保護者の過度の要求などを背景として考えられると指摘しています。加えて登校拒否・不登校、「いじめ」、暴力件数の増加、貧困と格差の拡大、日本語を母語としない児童・生徒の増加などを背景にした多様な子どもたちへの対応、管理的で競争主義的な教育政策の影響のもとでの長時間過密労働などを直視することが重要です。
様々な背景をもち、それぞれの思いを抱え、日々成長している子どもたちに教職員は向き合います。保護者の願いや思いにていねいに向き合うことも必要です。学校現場の教育活動は教職員の心身に緊張を強いる仕事であることは事実です。とりわけ、一人ひとりにゆきとどいた教育をしたいという願いを持ちながら、それができないとき、教職員のこころとからだに深刻な影響を及ぼすことが推察されます。
管理職や同僚の支えがあるとともに、教材研究など十分な準備をして自らの創意や工夫を発揮して授業に臨むことができるような時間が確保される労働環境が準備されていることが、教職員が笑顔で子どもたちの前に立つために必要です。
学校現場でゆとりを持って子どもたちに向き合うことのできる環境をつくることこそ教育行政の責任です。具体的には、教育予算を増やし、少人数学級の推進や、持ち授業時間数の上限を設け。それに基づく教職員定数改善などの教育条件整備をすすめること、全国学力テストの悉皆実施の中止や賃金リンクの教員評価制度をやめることなど教育政策の転換が求められます。また、各学校の労働安全衛生体制の充実によりハラスメント等がない職場をつくること、上意下達で言われたとおりにやれというのではなく、管理職を含む教職員の民主的で集団的な議論を通じた教育課程編成や学校運営をすることが必要です。
学校は、学ぶよろこびを伝え、子どもの成長を目の当たりにして、未来の社会のあり方が展望できる職場です。
全教は、学校が長く働き続けられる職場となるようとりくみをすすめるとともに、学校職場で悩んでいる教職員に寄り添い、組合の存在が希望となるように全力をつくす決意です。