全教は11月25日、全教は標記の書記長談話を発表しました。
11月15日、中央教育審議会「『令和の日本型学校教育』を担う教師の在り方特別部会(第5回)・初等中等教育分科会教員養成部会(第126回)合同会議」は、「教員免許更新制を発展的に解消することを文部科学省において検討することが適当である」とする審議のとりまとめをおこない、同日、末松信介文科大臣に報告しました。末松文科大臣は、翌日の記者会見で「次の通常国会に向けた法改正や必要な予算の確保を努めてまいりたい」と述べ、その中で「教員免許更新制の発展的解消のタイミング」を取り扱うと説明しました。
さらに、19日の記者会見では「教員免許更新制の発展的解消、…国の指針の改正について、次期通常国会で法改正をお認めいただいた場合、時間を置かずに速やかに施行する方向で検討・調整を進める」よう事務方に指示したことを明らかにし、「法改正が実現した場合、来年度、法律が施行されて以降に免許の有効期限を迎える先生は、大学における免許状更新講習の受講や免許の更新の手続の必要がなくなります」と述べました。これが報道され「教員免許『更新制』、来年度中に廃止へ…期限迎える10万人が講習不要に」(読売新聞オンライン11月19日)などの見出しが躍り、ついに廃止確定だと、全国各地から歓迎の声が上がりました。全教がとりくんできた長年の文科省要請や廃止を求める署名、とりわけ今年度わずか2カ月足らずの期間で3万7000筆を超える「教員免許更新制の廃止を求める『私のひとこと』署名」で「全国の教員の声を聴け!」と文科省に強く迫り、ついに廃止に向けた流れを確実なものとさせてきました。
しかし、末松文科大臣は記者から「(教員免許法改正案の)成立日が教員免許更新制の廃止日になるのか」と問われると「それはない」と否定し、「成立日イコール廃止日ではない」ことを強調しました。1日も早く法改正をおこない、「時間を置かずに速やかに施行」させるよう、いっそうのとりくみが必要になると考えられます。全国の教職員のみなさんをはじめとする国民的な運動で、教員を長年苦しめてきた教員免許更新制をきっぱり廃止に追い込みましょう。
一方で、免許更新制廃止と引き換えに、「新たな教師の学びの姿」を実現するとして研修の押しつけと強化を行おうとしている点は大きな問題です。教員免許更新制廃止の理由として教員の負担軽減をあげているにもかかわらず、研修強化で新たな負担を教員に被せようとすることで、本当のねらいがむき出しになりました。末松文科大臣は「審議のまとめ」について、①教員免許更新制の発展的解消、②研修について主体性を有しない教師に対する対応(受講の奨励、職務命令、処分・・・)についての国の指針改正、③任命権者に対する、研修受講履歴の記録管理や、受講の奨励の義務づけなど、の三点を強調しました。「新たな教師の学び」の中身は明らかに国による教育への介入、教職員の管理統制をすすめる「国定」研修の押しつけにほかなりません。
国会での法改正審議を早期に行わせ、教員免許更新制の即廃止を実現し、2021年度末に期限を迎える教員にも適用させること、これまでに不利益を受けた教職員の救済を図ることなどを決定することを最優先でとりくむべきです。少なくとも、法改正までの間は教員免許更新制および更新講習を凍結すべきです。全教は、研修等の強化とセットで「発展的に解消」するのではなく、「教員免許更新制の廃止」を一刻も早く行うことを強く求めるものです。