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(全教調査)「教育に穴があく(教職員未配置)」実態調査(2025年10月)の結果

全教(全日本教職員組合)・教祖共闘会議は、2026年1月8日に「教育に穴があく(教職員未配置)」実態調査結果(2025年10月)を発表しました。

資料(PDFファイル)は全教のウェブサイトからダウンロードできます。


目次

調査の目的

  • 今回の調査は2025年5月1日時点に続く二次調査で、さらに深刻となっている教職員未配置の実態を明らかにし、改善を求める。
  • 代替教職員の配置は「フルタイム」が基本だが、短時間勤務や時間講師などの非常勤等の教職員が配置される、あるいは配置せざるを得ない実態を明らかにし、改善を求める。

調査方法

全日本教職員組合・教組共闘連絡会に参加する組織を通じるなどし、各都道府県市区町村教育委員会に対して、教職員未配置の実態を明らかにすることを求めるとともに、調査用紙を組合員に配布する等して教職員未配置の実態を集約した。

(1)調査対象日

2025年10月1日

(2)調査項目

  1. 教職員未配置数
  2. 都道府県市区町村、学校種別、未配置数、未配置の職種・教科・担任の有無、校内対応等
  3. 子どもたちへの影響や変化、学校現場での対応の実態や教職員の様子などのアンケート

調査への回答

35都道府県・13政令市から集約した。教職員未配置数は小学校 1907 人、中学校 1350 人、高等学校 477 人、幼稚園・小中一貫校・義務教育学校・中等教育学校37 人、特別支援学校 537 人、校種不明307 人、合計 4615 人となった。

回答自治体と全国の教職員総数から、カバー率は次の通りとなる。

校種回答自治体における教職員総数(人)全国の教職員総数(人)カバー率(%)
小学校305,998417,49773.3
中学校165,428229,61772.0
高等学校86,317158,75754.4
特別支援学校48,00788,03154.5
小中一貫校・義務教育学校6,5308,79174.3
中等教育学校1,4041,94672.1
幼稚園3211,8010.2
合計613,716916,44067.0
※2025 年度学校基本調査〔速報値〕および、公立義務教育諸学校教職員実数調(2024 年5 月1 日現在)から計算

35都道府県・13政令市で少なくとも4600人超の未配置・担任未配置184人

(1)未配置の状況

小中一貫校等には小中一貫校・義務教育学校・中等教育学校・幼稚園が含まれる

①校種別の欠員の内訳

校種定員①中途退職②代替者③不明④加配短時間勤務・時間講師教員以外教職員の欠員合計(①から⑦合計)
小学校289511,07027659151111,907
中学校205315541673534801,350
小中一貫校等9315253037
高等学校14722154827642478
特別支援学校94212851183150536
不明005302000307
校種合計7441282,093947109581134,615
校種別の欠員の内訳
校種産育休病休看休その他・不明合計
小学校440316113031,070
中学校2081633190554
小中一貫校等840315
高等学校6455134154
特別支援学校127103253285
不明05005
校種合計847646175832,093
校種別の代替者欠員の内訳(上表③の内訳)

②未配置に対する対応

(2)教職員未配置の特徴

少なくとも、わかっているだけで担任の未配置が184 人。

  1. 「定数の欠員」が744人と、未配置数全体の約16.1%になっている。
  2. 途中退職者が128人にのぼり、全体の約2.8%になる。高等学校では約4.6%、特別支援学校では約3.9%にあたる。
  3. 「代替者の欠員」が、「産育休」「病休」「看護休」「他、不明」を合わせて2093人と、全体の約45.4%で、「定数の欠員」を大きく上回った。
  4. 産育休代替の欠員が最も多く、定数の欠員、病休代替の欠員と続く。
  5. 未配置に対する対応として、「見つからないまま」が56.3%と、最も多く報告されている。
  6. この中に少なくとも184人の担任未配置が確認されている。(小学校:70人、中学校:20人、高校:7人、特別支援学校:87人)
  7. 事務職員や部活動指導員、介助員等の「教員以外」の職員についても欠員が報告されている。学校現場全体の人手不足が起きている。

(3)教職員未配置の実態(記述欄より抜粋)

落ち着きがなくなる、困っている子どもたち

  • 学級担任不在期間、心理面で落ち着きがなくなった。(小学校)
  • 児童が、困ったことを相談できずにいた。(小学校)
  • 担任が1年で2、3 回替わった学年の子どもたちは、落ち着きがなく、保健室の来室も多かった。情緒不安定になる子、不登校になる子もいた。(小学校)
  • 3年生担任が病休で、当該クラスの生徒たちは、担任交代により不安感があった。また授業が遅れ、偏りのある時間割になったため不満が出た。(中学校)
  • クラス担任が3 回変わった(はじめの1か月は算数少人数担当、講師、休職が決定してからは副校長)ため、副校長が入るまでは子どもたちも落ちつかない様子があった。(小学校)

教職員を頼れず、不安定になる子どもたち

  • 教務、教頭が担任業務を兼任することで、常に忙しく子どもたちは近寄りがたい雰囲気。(小学校)
  • 4月から今も担任不在で、交代で教職員が対応しているために、子どもが落ち着かない。未配置が原因で新たな荒れに発展していく。(小学校)
  • 教頭が元栄養教諭の方で、担任初めての方が穴を埋めるために担任に。授業がうまくいかず、学級も荒れていった。(義務制)
  • 先生がどういう状況なのか生徒に説明するわけにもいかなかったので、3年の1学期の大切な時期に生徒を非常に不安にさせてしまって申し訳なかった。(高校)
  • 担任が代わる代わる別の人がきて不安定(小学校)

「教科」の指導さえ難しくなる

  • 美術、技術・家庭科の教諭は未配置が当たり前にある。(専門の免許をもった教師に教わっている生徒に比べると)技・家の知識・技能は明らかに劣る。(中学校)
  • 教員等の余裕が無くなり、授業研究、予備実験などする時間がとれず、行き当たりばったりの教育になってしまう。(高校)
  • 専門外の教員が授業を教えることにより、授業が分からず、子どもたちのモチベーションの低下。(高校)
  • 本来、座学の指導をしてはいけない実習助手が座学を教えないといけない。(高校)
  • 非常勤のツギハギで授業だけはなんとかまわせていても、放課後等に生徒がわからないところを聞きに来ても、非常勤のため、すでに学校内に先生がいない。(高校)
  • 産休に入った先生の代員を、もともと非常勤で来ていた先生にお願いしたため、その部分が未配置に。その代員は本来の「農業」の先生でなく「家庭科」の先生が来られた。当然、専門の授業を担当することはできないので、補佐のみとなっています。(高校)
  • 家庭科を体育科が兼務(中学校)

兼務の負担

  • 兼務発令を受けており、毎日倒れそうです。兼務校のクラスが自校より多いですが、テスト・評価も全て1人で行っています。何より日々の授業に付随する生徒作品進捗管理、生徒個別対応、授業備品、消耗品管理、時間割調整等がものすごく負担です。(中学校)
  • 時間割の変更と時数の増加、学年教員が他校に行っている間対応できる教員が少なくなる、兼務教員は移動の負担と教材準備の増加。(中学校)
  • 2校兼務は負担が大きい、目に見える負担だけでなく、見知らぬ生徒に指導するストレスは計り知れない。(中学校)

保護者の戸惑い

  • 保護者も、問い合わせ先に困ることがあった。(小学校)
  • 保護者は、「誰に聞いたらいいか、頼ったらいいかわからない」と不安になる。(小学校)

特別支援への影響

  • 支援学級を軽視しがちな管理職のいる学校で未配置が起こると、支援学級の担任団だけに任せがちになり、手が回らなくなることで、子どもたちも不安定になり、子どもたちの学ぶ権利が侵害されています。支援学級の子どもは教師が入れ替わることで落ち着かず、教師の手をかんだり、石を投げたりするようになる。そうなると、子どもに対する教員の目も暖かいものではなくなっていると感じる。(義務制)
  • 辞めた先生の学級は、知的学級(児童4名)。そこを、自・情担任の2名でカバーする状態。2名のうち1名休むとワンオペです。(小学校)
  • 産休、育休の代員が来ない。穴が開いたところを部内で回しあって対応。対応しきれないところは、教員が入らないまま(マイナス1で)。授業にはならず、安全面に気を付けて過ごすような授業に。(特別支援学校)

日頃の教育活動の維持さえ困難になる

  • 他の教員でカバーしているが、様々な会議、研修会運営など、出席しなければならない出張があり、カバーしきれない場面が度々ある。(小学校)
  • 学校栄養職員の未配置により校長が献立の段取り(昨年度のものを元に)し、事務職員と養護教員が材料の発注をしているそうです。(義務制)
  • 時間講師が増えると時間割変更もほとんどできない。(高校)
  • 代替が来なくて、教頭が担任としてそのクラスに入りました。私はプールの介助員として行っていたのですが、教頭が担任となり忙しかったので、市教委に給料の書類を出し忘れ、6月分の給料は間に合わず、6・7月分が8月に支払われました。教頭の仕事ができなくなる事態はとても困ります。(義務制)
  • クラス担任をもつ教諭が2学期から病休。復帰時期未定だが、常勤でなく非常勤講師2名で曜日ごとに9:30~14:30だけ入っている。担任業務、成績処理、授業準備は残った相担任が一人でやり、学年主任がカバーに入っているが、とても疲弊している。(特別支援学校)
  • 3年生の担任に欠員が出たため、進学、就職のための調査書作成等大変(高校)
  • 常勤の欠員を非常勤で補充。部顧問不足。一人で3つの部を見ている先生もいる。(高校)
  • 教科担任制によって、(未配置が起きるとさらに)時間割が組みにくい。(小学校)

学校に丸投げ

  • 空き時間もなく子どもたちも落ち着かず、疲弊しきっています。学校が代替を見つけるにも限界があります。(小学校)
  • 自分たちで探せと言われたそうです。そのクラスに入られていた学サポさんが、担任がいないなんて子どもたちがかわいそうと臨時免許で担任を受けてくださいました。でも、高学年の空きをそのクラスに取られたり、別の学年の学サポさんが取られたり、教頭が授業を持ったり、大変なことに変わりないです。(小学校)

人あたりへのしかかる業務過多で、専門性を発揮できない

  • 他教科の教師が授業計画を立て、授業実践、指導、評価をつける等、全てやらなければならないので、授業準備から全てに負担感を感じている。(中学校)
  • 一人一人の日記に丁寧にコメントしたい、明日の授業をよりわかりやすくするために準備をしたい、休み時間に子どもたちと思いっきり遊びたい…でも現実は、たくさんの会議や書類作成、しんどさを抱えた子どもたちや保護者の対応で、まず定時に仕事が終わることなんてありません。(小学校)
  • 子どもたちのがんばりを長期的に見守り、自信をもたせる指導が十分にできない。(小学校)
  • 教職員が多いと、生徒対応もゆとりがあると思います。連絡帳を書いたり次の授業の準備等だったりで余裕がありません。(特別支援学校)

再任用、再雇用教職員の思い

  • 再任用や定年後も講師として来られている方の、給与が下がったことでのモチベーションの低下が著しい。(高校)
  • 待機中の私に市教委から電話がかかってきて、臨時で勤めてほしいと言われますが、今の学校の状況を見ていると「行きます」と返事ができません。(義務制)
  • 4月から未配置が続いており、その分の授業や分掌を手分けしてこなしている実態があります。61歳になり、給料が7割になりましたが、仕事は7割になっていません。仕事の量が変わっていないのに、給料が減らされることは不当であり、一人前の給料をいただきたいです。(義務制)

教職を勧められない

  • 生徒の成長を考えることは大切だが、私たち職員のことももっと考慮して欲しいです。この環境だと教員が不人気な現状も変わらないと思います(高校)
  • 現状では卒業した教え子たちを含め、若い世代に教員という仕事を勧められない。(高校)
  • 教職という仕事を現職の私たちが大学生に自信をもってお勧めできない。(高校)
  • 先ずは、教え子達に勧められる職場環境にしていくことが教員確保の第一歩だと思います(高校)

教職員の本音、悲鳴

  • こどもを出産した後、保育園が見つからず、産後休暇の延長をお願いしたのですが、人手が足りない理由で復帰しなければならず大変な思いをしました。(高校)
  • 常にギリギリで何とか日々過ごしているのに、未配置が出るともう無理、みんな諦めたくなります。(義務制)
  • 自分が働いている小学校で、我が子が通っている小学校でも、教員が足りなくて、教頭先生が担任をしたり、専科の先生がいなくて担任が授業をしたり、という現状が当たり前になっています。教員みんな真面目なので、休んじゃいけないとギリギリのところで踏ん張っています。産休や育休や病休で休みになった先生の代わりがいなくて、みんなでカバーしながらやっていますが、本当に本当にギリギリの状態です。もう辞めたいです。しんどいです。仕事が終わりません。(義務制)
  • 我が子をみたいです。関わる児童に余裕を持ってたくさん関わりたいです。どうかどうか、今いる教員を大切にして守ってください。お願いします。(義務制)

2025年5月調査との比較―わずか5か月間で未配置は約1.38倍に

2025年5月時点の調査にも回答のあった都道府県・政令市の内、今回の調査にも回答のあった32都道府県9政令市のみを抜き出して、比較を行った。

(1)2025年5月調査結果(うち32都道府県9政令市を抜粋)

校種定員①中途退職②代替者③不明④加配短時間勤務・時間講師教員以外⑦教職員の欠員合計(①から⑦合計)
小学校30065101899316641,268
中学校21612671705634411,055
小中一貫校等102151010
高等学校142677480477333
特別支援学校907138550516347
不明0015700058
校種合計74920995520160609183,071
校種別の欠員の内訳
校種産育休病休看休その他・不明合計
小学校2351275143510
中学校12769269267
小中一貫校10012
高等学校243002377
特別支援学校6041135138
校種不明01001
合計4472688272995
校種別の代替者欠員の内訳(上表③の内訳)

(2)2025年10月調査の結果(うち32都道府県9政令市を抜粋)

校種定員
中途退代替者③不明④加配⑤短時間勤務・時間講師⑥教員以外⑦教職員の欠員合計(①から⑦合計)
小学校2804296916534141111,268
中学校196254911382230901,055
小中一貫校等9334253010
高等学校14622153827642333
特別支援学校92202731183150347
校種不明00530200058
校種合計7231121,90581471532133,071
校種別の欠員の内訳
校種産育休病休看休その他・不明合計
小学校4042827276969
中学校1791392171491
小中一貫校830314
高等学校6454134153
特別支援学校12395253278
校種不明05005
合計778578125371,905
校種別の代替者欠員の内訳(上表③の内訳)

(3)未配置に対する対応の比較(32都道府県9政令市を抜粋)

(4)比較の結果

高等学校、特別支援学校で顕著な未配置拡大。途中退職者による未配置や代替未配置も好転せず。

  1. 未配置総数は過去最多の未配置数だった昨年(24年)度の約0.98倍で、ほぼ横ばいである。校種別では高等学校で約1.27倍、特別支援学校で約1.13倍増加している。小学校は約0.84倍で、205年5月と2024年5月比較同様の傾向が見られる。中学校で約1.02倍と横ばい。
  2. 定数の未配置が約0.88倍と減っているが、小学校・特別支援学校が減らしているのに対して、中学校で横ばい、高等学校では約1.35倍と、校種による差が大きい。
  3. 途中退職者数が過去最多だった昨年(24年)度のほぼ横ばいであり、依然として学校現場は働き続けるには厳しい状態であることが伺える。
  4. 代替者未配置の総数は約1.02倍と横ばいだが、中学校で約1.20倍と顕著に増えている。産育休や病休、看護休等の休職に入る教職員の代替者がおらず、教職員が安心して休みに入れない、授業が十分に保障できない等、問題がある。病気休職者の多さ、病休代替未配置の増加は学校現場の労働環境の厳しさを改めて示している。なお、「その他・不明の代替者未配置」が約1.55 倍へ増加した背景には、算出や公表の方法を変えた自治体があるためで、この中には産育休代替未配置や病休代替未配置も一定含まれていると考えられる。このことから、産育休代替未配置が横ばいや、病休代替未配置が減少傾向にあると考えるのは、慎重さを要する。
  5. 未配置が起きた時の対応として、「見つからないまま」が昨年の39.9%から61.0%へと割合が大きく増えており、5 月と同様の傾向が見られる。
  6. 短時間勤務や時間講師などの非常勤教職員の未配置が全体に占める割合は、約13.5%で、約13.3%の昨年度とほぼ同水準となっている。
  7. 極めて深刻だった昨年(24年)度10月調査と比較しても、学校現場の実情は好転しておらず、子どもたちの学習の保障や、教職員の健康が懸念される。昨年(24年)度10月調査より未配置総数が減ったのは23自治体。小学校で減ったのは24自治体、中学校で減ったのは16自治体、高等学校で減ったのは10自治体、特別支援学校で減ったのは13自治体。全校種で減ったのは3自治体。

2024年10月調査との比較―未配置はほぼ横ばい

2025年5月時点の調査にも回答のあった都道府県・政令市の内、今回の調査にも回答のあった31都道府県9政令市のみを抜き出して、比較を行った。

(1)2024年10月調査結果(うち31都道府県9政令市を抜粋)

校種定員①中途退職②代替者③不明④加配短時間勤務・時間講師教員以外⑦教職員の欠員合計(①から⑦合計)
小学校379581,0843337914162,080
中学校1953644416839337101,228
小中一貫校等130190324059
高等学校9815144280512338
特別支援学校12419250326115447
不明0022110180231
校種合計8291271,943772127582234,383
校種別の欠員の内訳
校種産育休病休看休その他・不明合計
小学校476375192141,084
中学校191162586444
小中一貫校680519
高等学校6466311144
特別支援学校11098438250
校種不明02002
合計847711313641,943
校種別の代替者欠員の内訳(上表③の内訳)

(2)2025年10月調査の結果(うち31都道府県9政令市を抜粋)

校種定員
中途退代替者③不明④加配⑤短時間勤務・時間講師⑥教員以外⑦教職員の欠員合計(①から⑦合計)
小学校277491,00620659149111,757
中学校197315331083534801,252
小中一貫校等9314253036
高等学校13222148547642429
特別支援学校9321278953140504
校種不明005302000307
校種合計7231261,984767109578134,285
校種別の欠員の内訳
校種産育休病休看休その他・不明合計
小学校44229082881006
中学校1981652178533
小中一貫校830314
高等学校6455129148
特別支援学校125100251278
校種不明05005
合計815608135481,984
校種別の代替者欠員の内訳(上表③の内訳)

(3)未配置に対する対応の比較(31都道府県9政令市を抜粋)

(4)比較の結果

高等学校、特別支援学校で顕著な未配置拡大。途中退職者による未配置や代替未配置も好転せず。

  1. 未配置総数は過去最多の未配置数だった昨年(24年)度の約0.98倍で、ほぼ横ばいである。校種別では高等学校で約1.27倍、特別支援学校で約1.13倍増加している。小学校は約0.84倍で、今年度5月と昨年度5月比較同様の傾向が見られる。中学校で約1.02倍と横ばい。
  2. 定数の未配置が約0.88倍と減っているが、小学校・特別支援学校が減らしているのに対して、中学校で横ばい、高等学校では約1.35倍と、校種による差が大きい。
  3. 途中退職者数が過去最多だった昨年(24年)度のほぼ横ばいであり、依然として学校現場は働き続けるには厳しい状態であることが伺える。
  4. 代替者未配置の総数は約1.02 倍と横ばいだが、中学校で約1.20倍と顕著に増えている。産育休や病休、看護休等の休職に入る教職員の代替者がおらず、教職員が安心して休みに入れない、授業が十分に保障できない等、問題がある。病気休職者の多さ、病休代替未配置の増加は学校現場の労働環境の厳しさを改めて示している。なお、「その他・不明の代替者未配置」が約1.55倍へ増加した背景には、算出や公表の方法を変えた自治体があるためで、この中には産育休代替未配置や病休代替未配置も一定含まれていると考えられる。このことから、産育休代替未配置が横ばいや、病休代替未配置が減少傾向にあると考えるのは、慎重さを要する。
  5. 未配置が起きた時の対応として、「見つからないまま」が昨年(24年)の39.9%から61.0%へと割合が大きく増えており、(25年)5月と同様の傾向が見られる。
  6. 短時間勤務や時間講師などの非常勤教職員の未配置が全体に占める割合は、約13.5%で、約13.3%の昨年(24年)度とほぼ同水準となっている。
  7. 極めて深刻だった昨年(24年)度10月調査と比較しても、学校現場の実情は好転しておらず、子どもたちの学習の保障や、教職員の健康が懸念される。
  8. 昨年(24年)度10月調査より未配置総数が減ったのは23自治体。小学校で減ったのは24自治体、中学校で減ったのは16自治体、高等学校で減ったのは10自治体、特別支援学校で減ったのは13 自治体。全校種で減ったのは3自治体。

調査結果のまとめ

「未配置隠し」とも言える対応が行われ、実際はさらに深刻と考えられる。未配置問題の解消は、正規教職員を増やすことのみ。

(1)今年度の調査結果

  1. 全教・教組共闘連絡会の調査で、35都道府県13政令市で4615人の教職員未配置(教員未配置は4602人)が起きており、依然として改善されず、さらに深刻な実態が明らかになった。
  2. 代替者の未配置合計が10月1日時点でも2093人確認されている。まだ年度の後半を残している状態であり、教職員未配置のさらなる増加や、教職員を取り巻く環境のさらなる悪化が懸念される。
  3. 担任の未配置が少なくとも184人確認されており、子どもたちに安心した学校生活や学習環境を保障できていない懸念がある。
  4. 教職員未配置への対応として「見つからないまま」の状態は、常に未配置分の授業や仕事を校内で負担するよう強いているため、既に長時間過密労働に置かれている教職員の負担をさらに増大させるものであり、労働環境の更なる悪化が懸念される。子どもたちにとっても少人数指導や少人数学級の見送り、取りやめ、授業の詰込みや教科外の教職員による指導など、教育を受ける権利が侵害され、学校生活そのものや心的な不安などにも影響を及ぼしている。「非常勤等」で「授業の穴のみ」を埋める対応も多い。非常勤講師は授業のみが業務であり、生活指導や部活動など校務分掌は業務外となる。それらの負担は常勤の教職員が負うしかない。

(2)25年5月調査との比較から

  1. 今年(25年)度5月にも回答のあった32都道府県9政令市で比較したところ、わずか5か月で未配置は約1.37倍に拡大している。産育休代替未配置が約1.74倍、病休代替未配置は約2.15倍と、代替未配置全体で約1.91倍に増え、前年度5月調査と前年度10 月調査の比較である約1.89 倍と比較してほぼ横ばいになっている。5月時点の未配置を埋められないまま、新しい未配置が発生している。
  2. 未配置が起きた時の対応は、5月に引き続き「見つからないまま」が依然として最も多く、6割に近い。5月以降の新たな未配置に対して、新たに非常勤等を配置することが困難になっている状態がうかがえ、非常勤等による授業の「穴」埋めさえも難しくなっていることが推測される。教職員1人1人にかかる負担の大きさ、そして子どもたちの学習権の保障が懸念される。

(3)過去最多だった昨年(24年)度24年10月調査との比較から

  1. 昨年(24年)度10月にも回答のあった31都道府県9政令市で比較したところ、総数は過去最多だった昨年度10月の約0.98倍で、ほぼ横ばいである。校種別では小学校で未配置数が減少しているが、高等学校で約1.27倍、特別支援学校で約1.13倍増加している。
  2. 途中退職者数がほぼ横ばいだったことは、依然として学校現場が働き続けるには厳しい状態にあることを示していると考える。
  3. 代替未配置者の総数が過去最多だった昨年度からほぼ横ばいであることから、教職員が安心して休むことができない状態であることを示していると考える。
  4. 過去最多だった昨年(24年)度10月と同水準の教職員未配置は、教職員の心身の健康保持と子どもたちの学習権に対する侵害の上で、極めて深刻な状態にあることを懸念する。

(4)考察

  1. 自治体によっては、担任の未配置を起こさないために、年度当初から小学校で35人以下学級ではなく、40人以下学級などを認めている自治体もあり、子どもたちの教育条件を後退させている。苦肉の策だと思うが、これは未配置隠しとも言える対応である。昨年(24年)度10月との比較で、数字上は全体で横ばい、小学校で約0.84倍だが、実際はより深刻と考える。
  2. 昨年(24年)度10月との比較で、定数の未配置が全体で約0.88倍、割合も全体では18.5%から16.5%へ減少(101人減)し、小学校では約0.73 倍で割合も18.2%から15.8%(102人減)と顕著になっている。この調査からその原因について明らかにすることはできないが、全教の各構成組織からは「産育休代替の正規化が、未配置の減少に大きく影響している」「県教委や校長会も、産育休代替の正規化は効果が大きいと言っていた」との声が複数寄せられている。今年(25年)度5月調査と10月調査の比較でも定数の未配置が微減している一方で、産育休代替の欠員は約1.74倍に増えている。これは、年度当初段階で産育休を取得する見込みの人数分を事前に正規採用できたのに対して、年度途中から新たに産育休代替として常勤講師を探すことの困難さ、人手不足と推察できる。総じて、教職員未配置の解消には、正規教職員を増やすことが効果的であることの証左と考える。

「教育に穴があく(教職員未配置)」の改善・解決のために

(1)改定給特法等では解決されない深刻な実態

教職員未配置は国が正規教員を抜本的に増員するための「定数改善計画」を策定してこなかったこと、人件費抑制のための「定数崩し」や「総額裁量制」によって、正規で配置すべき教職員が臨時的任用教員や非常勤講師に置き換えられ続けた結果、引き起こされている問題である。

教員採用試験は、ついに小学校で1倍を切る自治体が複数出るなど、募集倍率低迷が一層深刻化している。これは、募集段階で示されていた給特法等改定案の「処遇改善」策が、募集増につながっていないことの表れと考える。採用倍率回復策としての採用試験前倒しは、教職志望者が減り続けている中での牌の奪い合いに過ぎず、大量の辞退者を出すなど効果は見込めない。今年度も多数の辞退者があった自治体について報道されている。採用する自治体側は見通しが立てづらい状態になっている。

特別免許状の授与は、教員免許状における専門性との矛盾を孕んでいる。臨時免許状は「普通免許状を有する者を採用できない場合に限り、例外的に授与する」ものであるにも関わらず、年間1万件前後の授与を行わざるを得ない状態にある。また、免許外教科担任制度は、担当する教職員に過重な負担を強いている。

(2)求められているのは教職員を増やすことであり、「主務教諭」の設置ではない

改定給特法等により、新たな職として「主務教諭」を置くことができる、とされた。主務教諭は「児童等の教育をつかさどるとともに、学校の教育活動に関し教職員間の総合的な調整を行う」とされている。しかし、モデルとされる「主任教諭」を設置している東京都は、2022年度に全教の行った勤務実態調査で、月の時間外労働が114時間と、全国平均を18時間も上回っている。今年度全教が行った「時間外労働に関するアンケート」調査結果でも、東京都が他道府県よりも時間外労働が長時間になっている傾向が示されている。さらに、2024年度に新規採用された教員の内、5.7%も1年以内に離職している。新たな職を置くことが労働環境改善に資する根拠はどこにもない。必要なのは新たな職ではなく、教職員増である。

(3)現場の声を真摯に聞く姿勢を

早急に抜本的な改善策を講じなければならないことは明白であり、義務・高校標準法改定による基礎定数からの抜本的な教職員定数改善を行うことをはじめ、学校現場で働いている各種スタッフの正規化など、働き続けられる環境整備が必要である。

学校現場で常態化している過労死ラインを超える長時間過密労働、教育の自由を奪う管理・統制の強化、ハラスメントの増加等によって、教職員の早期離職や、教員志望者の減少も背景にある。教職員不足による教職員の働き方は限界を超えており、子どもたちへの影響も深刻である。直ちに改善・解消が求められる。

全教が今年度行った「時間外労働に関するアンケート」の自由記述で多く見られた教職員の願いは「正規の教職員増」「少人数学級の実現」「持ち授業時数の削減」「残業代を支給する仕組み」である。国や文科省に対しては「現場の声を聞いてほしい」「現場を見てほしい」という、「現場に対する理解」と「現場の実態や声に基づいた教育政策」の必要性を、悲痛な叫びを通して寄せられている。

教職員を増やし、少人数学級化を図ることで、学級事務や校務分掌など1 人あたりの業務量を削減することこそ行うべきである。教職員が心身や時間的に余裕を持って、子どもたちとかかわり、授業や学校行事、自主的研修など行えるよう、国が責任をもって教育予算を増額して、教育条件整備を行う必要がある。

教育を取り巻く諸問題解決に向けた全教提言「このままでは学校がもたない!子どもたちの成長が保障され、せんせいがいきいきと働くことができる学校をつくる」(全教7つの提言)、及びILO/ユネスコ教員の地位勧告適用合同専門家委員会(CEART)の第15期最終報告書(2025年2 月)も踏まえ、「教育に穴があく(教職員未配置)」問題を改善・解消するよう以下求める。

①すぐにできる職場環境改善を行い、教職員の負担を減らすこと。

  1. すべての都道府県・政令市・市区町村に組合代表も含めた総括衛生委員会を、すべての職場に衛生委員会等を確立し、実効あるとりくみをすすめること。(提言5)
  2. 教育の専門職としてふさわしい適正な賃金水準を確保すること。(提言4)
  3. 各学校において行われる各種とりくみについて、教職員が納得して行えるよう、トップダウン型の学校運営から、民主的な学校運営へ切り替えること。(提言7)
  4. 教員1人あたりの持ち授業時数を軽減すること。そのために授業時数の点検を行い、「余剰時数」が過剰になっている場合は速やかに2・3 学期の授業時数を減らすこと。来年度の教育課程編成においても過剰な「余剰時数」の確保を行わないことを徹底すること。また、各校でとりくめるよう各教育委員会は励行、尊重すること。(提言1)
  5. 管理職や同僚間のあらゆるハラスメントの根絶を行うこと。各教育委員会は現場に負担を求めることなく実効ある対応をするために、ハラスメント窓口への相談内容の匿名性の確保や、ハラスメント根絶に向けて徹底的な対応を行うこと。教職員組合に寄せられたハラスメント相談に対して、解決に向けて協力してとりくむこと。
  6. 観点別評価を機械的に押し付けず、「通知表」の簡素化や面談への置き換えなどのとりくみについて、必要に応じて各校で行うこと。また、各校でのとりくみや判断を各教育委員会は尊重すること。
  7. 国・教育委員会による学校現場への調査や報告書等のさらなる削減・簡素化を行うこと。
  8. 官制研修や年次研修を見直し、教職員の負担軽減を行うこと。
  9. 教員採用試験において、常勤講師などで現に学校現場で働いている教職員の負担を軽減すること。
  10. 病気休職者を増やさないために、人事異動については機械的でなく、本人の希望を尊重すること。
  11. 病気休職者の復帰に当たっては、現任校に限らず、異動しての復帰をひろく認めること。
  12. 文部科学省は教職員の欠員に関する調査を毎年行い、その結果を公表すること。その際、2022年1月に公表した『「教師不足」に関する実態調査』で除かれた養護教諭や学校栄養職員・栄養教諭、事務職員等、学校現場で働いている全ての職種を対象にすること。また、非常勤講師、再任用教員(短時間)をフルタイム勤務に対する勤務時間数に応じた人数(換算数)として計算しないこと。調査結果をもとに適切な教職員数が配置できるような予算要求を行うこと。

②中・長期的に、教職員不足を解消し、また「20人以下学級」を展望した少人数学級の段階的実現に向けて教職員を確保すること。そのための予算確保と職場環境改善、待遇改善を図ること。

  1. 教育予算の対GDP 比をOECD諸国平均並みに引き上げること。
  2. 教職員にも残業代を支給し、見合った給与を支払うとともに、必要な人数の教職員を配置すること。(提言4)
  3. 義務・高校標準法改正による抜本的な定数改善を行うこと。(提言1)
  4. 「定数くずし」「総額裁量制」を見直すとともに、義務教育費国庫負担金を2分の1に戻すこと。(提言1)
  5. 管理的・競争的な教育施策を見直すこと。(提言3)
  6. 全国学力・学習状況調査の悉皆調査を中止すること。(提言3)
  7. 教職員評価制度見直すこと。(提言3)
  8. 学習指導要領を見直し、過大・過密な内容を改めるとともに、学校現場に押し付けないこと。(提言3)
  9. 教員が受け持つ授業時間(コマ数)の上限を定めること。(提言1)
  10. 定年延長に係り、高齢期雇用者の処遇を抜本的に改善すること。
  11. 臨時的任用教員、非常勤講師等の処遇を抜本的に改善すること。
  12. 学校にかかわるスタッフを正規化、処遇を抜本的に改善すること。
  13. 教員がより多くの時間を教育に関する活動に充てられるように、十分な学校職員数を確保するための措置を講じること。(CEART 第15期最終報告書164(e))
  14. 教育政策を議論、決定する場に、全教・教組共闘連絡会をはじめとする複数の教職員組合を参加させ、現場の声を反映させる仕組みへ変えること。(CEART 第15期最終報告書 164(f))

余剰時数

各教科で定められている「標準授業時数」が、休校や学級閉鎖などの措置が取られても下回らないように、多めに確保された授業時数のこと。

定数くずし

2001年の義務標準法改正で、正規教員の代わりに短時間勤務の非常勤教員に置くことができるとしたことによる、教職員の非正規化が進んだ要因のこと。

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