全教(全日本教職員組合)は、2026年3月4日、書記長談話『アメリカとイスラエルによるイラン攻撃に強く抗議し、即時中止を求めます』を発表しました。
2月28日、アメリカとイスラエルは、イランへの大規模な武力攻撃をおこない、最高指導者ハメネイ師を殺害しました。アメリカとイランの間で核開発をめぐっての協議がおこなわれていた最中に、相手国を一方的に「テロ国家だ」「核の保有は認めない」として先制攻撃に及びました。さらにトランプ氏はイラン国民へ政権転覆のための蜂起を呼びかけています。イラン国内ではハメネイ師による統治へ反発する市民の運動があり、政権との衝突が起きてきた経緯はありましたが、相手国の国家体制を力で転換する軍事行動を「世界各国の人々に対する正義の実現だ」とトランプ氏は正当化しています。
アメリカとイスラエルは、イランの首都テヘランの情報省、国防省、原子力庁、軍事施設など複数の都市を標的にしました。イラン南部の町ミナブの女子小学校も2月28日の日中、爆撃にさらされ児童や教員ら少なくとも148人が死亡、95人以上が負傷した(3月1日時点)と報じられました。教室で学んでいた子どもたちの命と未来を一瞬にして奪う行為、多くの市民の日常を破壊する行為は、いかなる理由があろうとも、けっして許されるものではありません。
トランプ氏は一国の大統領でありながら、かねてより「私には国際法は必要ない」と豪語することをはばかりませんでした。国連安全保障理事会の決議も経ず、アメリカ連邦議会の承認を得ることもせず、イランへの先制攻撃に踏みきったことは、法の秩序を崩壊させる「力による現状変更」の暴挙です。対するイランのヘゼシュキアン大統領は「復讐は正当な権利と義務だ」と報復の強化を表明しました。実際にイスラエルや中東諸国、米兵の死者が出ています。ホルムズ海峡が封鎖され、経済問題や紛争にも発展しています。
こうした事態に対する日本政府の姿勢は、厳しく問われなければなりません。被爆国であり、平和憲法を掲げる日本は、本来であれば国際法違反の先制攻撃に対し、明確な批判と即時中止を求める立場を取るべきです。しかし高市首相は、3月2日の衆院予算委員会で「イランによる核兵器開発は決して許されないというのがわが国の一貫した立場だ」と指摘し、イランに対して自制を求めたに過ぎず、トランプ政権にあからさまに迎合する態度をとりました。国際法違反や無辜の市民の犠牲が生じている事態に対し、明確な抗議を示さないことは、無法な力による実力行使に加担しているも同然です。
今回の軍事行動に対して、アメリカ国内外で強い批判の声が上がっています。ニューヨークなど各地で反戦デモやトランプ政権への抗議行動が行われ、「戦争ではなく外交を」「戦争や占領ではなく、民衆のためにお金を使え」といった市民の訴えが広がっています。日本国内においても、原爆被災地の広島や日本で唯一の地上戦を経験した沖縄をはじめ、青森、神奈川、京都、愛知など、各地でデモやスタンディングが行われ、多くの市民が武力行使の停止と国際法の遵守を求めて声をあげています。
平和な社会の形成者を育成することが求められている私たちは、すべての当事国に対し、直ちに武力行使を停止し、さらなる犠牲を生むだけの報復の連鎖は断ち切ることを望みます。国連憲章に基づいた、対話と外交による解決へと立ち戻ることを強く求めます。
「教え子を再び戦場に送るな」を掲げてきた全教は、今回のイランへの攻撃に断固抗議し、子どもたちが安心して学び、未来を描ける社会を守るために、日本国憲法の理念をふまえ国際協力の先頭に立つことを日本政府に求め続けます。そして平和を希求する国内外の人たちと連帯し、すべての人が平和に生きることができる社会の実現をめざして、今後も力を尽くす決意です。






