6月4日、改正地方公務員法が成立し、2023年度から定年が段階的に65歳に引き上げられます。この法律には、これまでの全国の運動を反映した附帯決議がつきました。
全教北九州市教職員組合(全教北九州)は、この附帯決議にもとずいて、労働条件・待遇の改善を求める協議を要請し、定年まで安心して長く働くことができる制度となるよう求めます。
働く意欲がもてる定年延長制度設計を求める
改正地方公務員法の概要
改正地方公務員法の概要は、次の3点です。
役職定年制の導入
役職定年の対象範囲は管理職手当の支給対象となっている職とし、役職定年年齢は60歳を基本とする。
定年前再任用短時間勤務制の導入
60歳に達した日以後定年前に退職した職員を、本人の希望により、短時間勤務の職に採用(任期は65歳まで)することができる
情報提供・意思確認制度の新設
任命権者は、当分の間、職員が60歳に達する日の前年度に、60歳以後の任用、給与、退職手当に関する情報を提供するものとし、職員の60歳以後の勤務の意思を確認するよう努める
また国家公務員の給与・退職手当との均衡を保つための措置を2点求めています。
- 当分の間、60歳を超える職員の給料月額は、60歳前の7割水準に設定する。
- 60歳に達した日以後に、定年前の退職を選択した職員が不利にならないよう、当分の間、定年を理由とする退職と同様に退職手当を算定する。
職務給の原則に反する給与の3割削減
同じ職務にもかかわらず、年齢を理由に給与水準を引き下げるのは地方公務員法第24条(「職員の給与は、職務と責任に応ずるものでなければならない」)が定める職務給の原則に反しています。
また、定年前再任用短時間制度も、給与の仕組みは現行の再任用制度と同じで、収入は正規の6割以下、ボーナスも低額で生活関連手当も支給されません。これでは働く意欲が失せてしまいます。
さらに2000年の厚生年金法改正により年金受給年齢が、今年度の退職者から65歳となるため、年金受給開始までの生計の維持が難しくなります。
安心して長く働くことができる制度設計をを求める
定年引上げとそれに伴う賃金・労働条件等の制度設計は今年度中に始めなければなりません。
全教北九州は、新制度はコロナ後を見据え、働き方改革の名に恥じない教職員の勤務・労働条件を提起するものになるべきだと考えています。
7月に3回実施した人事委員会会見でも改正地方公務員法の附帯決議の内容を示し、制度設計に関する協議を要請しました。また、教育委員会とも交渉の準備を進め、教職員が安心して、長く働き続けることができる制度となるよう要求します。