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教職員の給与改定、勤務・労働条件に関わる要求

2019年9月6日

貴職におかれましては、私たち全教北九州市教職員組合の要求について鋭意ご検討していただいていることに感謝申し上げます。

さて、政府が労働者の「賃上げ」を政策課題に据えるなど、賃上げは喫緊の課題になっています。昨年度の給料表の改定や期末手当の職務別加算割合の改定等で若干の改善はあったものの、満足のいく額には達していません。10月に予定されている消費税率の改定を見越した料金値上げが続いており、さらに家計を脅かすものとなっています。このような状況の中、地方の公務員賃金は地場の賃金にも影響し、賃上げによる家計の改善は、地域の活性や市民のくらしの向上に寄与します。

北九州市の学校現場で働く教職員の賃金・待遇は権限移譲後悪化し、不足する生計費に対し賃上げの要求の声も聴かれます。また、過密・過重な長時間勤務のなか、「労働の対償としての適正な給与」の支給を望む職員が多数いることも全教北九州が実施した「教職員要求・意識アンケート」の結果で確認されています。一方、臨時、非常勤の職員の待遇改善も急務です。現在、学校には多くの臨時・非常勤の職員が働いています。教育現場は、このような先生方の働きなくしては一日たりとも学校運営、教育活動は成り立ちません。

このような願い、要求を代表し全教北九州は、給料、報酬の大幅な増額など、待遇の改善を要求します。

また、全教北九州は、労働の対償としての給与に見合った適正な労働時間と勤務内容等の改善を求めます。全教北九州の調査では、今でも長時間勤務は解消されていません。それどころか、一昨年度の北九州市人事委員会の勧告が指摘した、「時間外勤務の自己抑制」「退勤時間と時間外勤務実績の乖離」が今でも学校現場では常態化しています。それが教育委員会の労働時間の正確な把握の妨げの要因となっています。業務改善プログラムの実施により改善されてきた部分もありますが、勤務実績の乖離の主な原因は、学力・体力テストの対策や部活動に追われる学校現場から目を背け、多忙の根本的要因に手を付けていないところに主要因があります。北九州市の教育が、それを支えている現場の職員のいのちと健康、家庭や人間らしい生活の犠牲の上に成り立っているというあり方は、教職員組合として看過できません。

全教北九州は、教職員の適正な賃金の保障、並びに長時間過密労働の是正、解消に向けた実効ある施策の実施で、現場の一線で教育、子どもたちのために奮闘している教職員の切実な願いに応えて、本年度の給与改定において大幅な賃上げ及び各種休暇制度、勤務条件等の待遇改善を要求します。

以下、給与改定交渉にあたり、趣旨に沿った諸問題・課題の改善・解決に取り組んでいただくことを要求いたします。

目次

職責と勤務実態に応じた教職員の適正な賃金水準及び手当を確保するための要求

  1. 月例給の改定は、教職員の専門職性や勤務の特殊性、労働実態を十分加味し、安心して職務に専念できるようにするため教職員の賃金を月額5万円以上、臨時・非常勤職員の時給を170円以上引き上げること。
  2. 地域手当を福岡県の教職員の水準に戻すこと。教育職2級(55歳以上)の職務段階別加算割合をそれまでの10%に戻すこと。
  3. 一時金の引き上げ分は、成果主義賃金の定着・強化につながる勤勉手当への配分ではなく、期末手当に配分すること。
  4. 生計を支える重要な収入の一部である配偶者の扶養手当削減実施を凍結すること。
  5. 「雇用の安定」「均等待遇の実現」等の観点から、臨時教職員の給与及び一時金等の手当を改善すること。そのため、教育職2級の適用をすること。改正地方公務員法・地方自治法にもとづく総務省「マニュアル」をふまえ、年度末に設定されている雇用の空白期間を撤廃すること。空白期間を設けていることによって生じている年金・健康保険の継続、年次有給休暇の繰り越し、6月期一時金などの不利益を解消すること。
  6. 来年度の会計年度任用職員制度への移行によって、非常勤の職員の勤務条件が低下しないようにすること。
  7. 再任用は、希望するすべての教職員の任用を保障し、生計費をふまえた所得水準確保とその職責、勤務実態を反映した給与、一時金等(年収ベースで60歳前の80%以上)を支給すること。
  8. 休日の部活等の引率は、休日労働の対償及び教員の本務外の労働に対しての報酬として教員特殊業務手当、第4号が規定している手当を支給すること。またその予算を確保すること。

適正な労働時間、待遇の実現、及び業務改善に関する要求

時間外勤務を制限した給特法、法定労働時間を規定した労基法を守り、違法な長時間勤務を職場から排除するために具体的施策を講じること。

  1. 長時間過密労働に対する対償としての手当等の待遇改善の措置が困難な場合は、当然の措置として労働時間を縮減するための施策を講じること。
    1. 長時間勤務削減に向け、教職員の年間総労働時間の削減計画と段階的削減目標を設定すること。計画立案に際しては、労使間で協議の場を設け、合意のもと削減計画を行うこと。
    2. 中教審「緊急提言のまとめ」でも出された、担当授業時数の軽減を実施すること。また、すべての教員が小学校週20時間、中学校週18時間の授業時数(道徳・学活・総合等を含む)を上限とする施策を実現すること。
    3. 勤務時間内に業務を終えることができるよう、業務量の削減、少人数学級・専科授業等を推進すること。また、そのための予算を講じること。
    4. 校外での研修、校内研修(時間・場所・期日・報告・授業案形式等)の実施方法を更に改善すること。
    5. 職場でしか使えず、超勤、休日出勤の原因になっている校務支援システムによる報告書の作成、成績処理・通知表等は、他都市の状況も勘案し簡素化すること。また、校務支援システムを利用しなければいけない業務とそうでない業務を明確にわけ、過重な負担を軽減すること。
  2. 校外行事や学校行事等の諸行事を大胆に見直し、行事そのものや前後の準備や後片付けに要する時間を減らし、超勤を削減すること。

勤務時間の適正管理及び超過勤務に対する適切な削減措置と健康で安心して働くことができる職場環境を実現すること。

  1. 中教審で言及された、法律に定められた休憩時間が確保できているか職場の実態を検証すること。当然確保するための適切な措置を講じなければならないが、条件が整うまでの当面の措置として、取れなかった休憩時間に対しては割振り等の措置を講じること。休憩時間に休憩がとれていないのに、実労働時間が削られている状況を改善すること。
  2. 所定労働時間が守られるよう、始業時刻等の実態を調査し、守られていない学校に対しては改善のための指導を行うこと。
  3. 勤務時間内に終えることができない労働を命ぜられている教職員※には、職場に拘束された超勤分の労働時間に見合った割振り等の対償の措置を講じること。 (※「黙示の指示・命令」も労働にあたるとする厚労省見解・今年度の北九教教教第338号「勤務時間等の適正管理について」(通知)でも言及)
  4. 実労働時間の縮減が伴わないなか、長時間勤務削減の結果のみを問題にするような職員に対する「時短ハラスメント」は改めること。
  5. 夏休みのまとめ取りではなく、日常的に健康の維持、疾病予防のための年次有給休暇が取得しやすい環境を整えること。
  6. 病気休暇後や、妊娠している教職員のための勤務軽減の措置(時短勤務・体育授業の代替講師完全実施・宿泊を伴う学校行事への参加禁止等)を講じること。

妊娠、出産、育児・子育て、看護や介護に関する休暇・休業制度に関する要求

  1. 子育て支援休暇の対象を中学校と特別支援学校高等部に在籍する子にも拡大すること。または、子育て、子や親の看護、介護を合わせた家族支援休暇を新しくつくること。
  2. 児童生徒の学習保障の観点から、病気休暇取得単位1日を1時間単位にすること。できないならば、病休の代替の教員をすべての学校に加配すること。
  3. 自己負担が伴う医師の診断書の提出(4日以上)を、これまでの7日以上に戻すこと。
  4. 不妊、悪性新生物(癌)等の治療について、働きながら安心して治療ができる休暇制度をつくること。
  5. 病気休暇の期間を、1年につき90日を権限移譲前の水準に戻すこと。
  6. 臨時教職員の産休、病気休暇等にも、正規職員と同様に代替教員の配置をすること。
  7. 仕事と育児の両立に向け、男性教職員の育児休業、育児短時間勤務の取得しやすい環境を整備するため、教職員を増やし理解ある風土づくりに努めること。

教職員の管理・統制を廃除する要求

  1. 協働の職場に、職員間の不信感を助長が危惧される業績評価の結果を賃金に反映させる人事評価制度は導入しないこと。
  2. 教員評価システムは協働が必要な教育現場に馴染まない制度であり、廃止を前提に検討すること。

その他の要求

  1. 安全衛生委員会の委員構成の公平、公正を担保するため、北九州市の総括労働安全衛生委員会と北九州市教育委員会の安全衛生委員会に全教北九州市教職員組合を加えること。
  2. 要求書に基づいた交渉や意見交換がさらに実効あるものになるようにするため、教育長、教育次長、教職員部長、教職員課長との意見交換の場を設けること。
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