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(就職連声明)規制改革推進会議の答申に対する「高等学校就職問題検討会議」の結論について

就職連(高校・大学生、青年の雇用と働くルールを求める連絡会)は、2026年2月25日、声明『規制改革推進会議の答申に対する「高等学校就職問題検討会議」の結論について』を発表しました。

「高校・大学生、青年の雇用と働くルールを求める連絡会」は、全労連(全国労働組合総連合)青年部、全教(全日本教職員組合)、全国私教連(全国私立学校教職員組合連合)、全労働(全労働省労働組合)、民青(日本民主青年同盟)などで構成されています。


2月16日、第35回高等学校就職問題検討会議が開催され、内閣府の規制改革推進会議の中間答申に対し、各都道府県の高等学校就職問題検討会議での検討結果を踏まえ、結論と考え方を示しました。

結論は、拙速な制度改変を回避し、現行の高卒就職システムの枠組みに押しとどめた点で重要な意義を持つものです。とりわけ、高卒求人票の公開時期の前倒しを行わず、現行の7月1日を維持するとした判断は評価できます。都道府県会議でも、前倒しに否定的な意見が多数を占め、生徒の学業や学校行事への影響、中小企業の採用計画への負担増などの懸念が示されました。日程変更ありきではなく、教育的配慮を優先した点は賢明な判断と言えます。

一方で、前倒しを求める声に対応する形で、

  1. 1・2年次からの企業研究支援
  2. 求人企業説明会の実施
  3. 求人票のデジタル化

を国は進めるとしました。しかし、若年離職の主因が労働条件や職場環境にあることを踏まえれば、公開時期や求人票の形式や利便性向上の議論にとどめず、就業観の形成や労働法教育の充実、働く権利への理解を深める取組こそが必要です。仮に、早期離職をしたとしても、再就職できる支援体制の拡充や、労働組合という選択肢を含めた権利行使の学習など、根本的な課題に向き合う体制を作ることが重要です。

また、高卒WEBの公開範囲について一般公開は行わず、生徒にIDを付与し、保護者との閲覧に限定する方向が示されました。民間職業紹介事業者の参入による営利目的の過度な関与や、保護者・生徒への直接的な営業接触によるトラブル増加の懸念を踏まえ、求人者への連絡は学校を通じて行う原則を維持したことは、高卒就職を教育の一環として位置づける立場を一定守った判断と言えます。しかし、これまで進路指導教育の中で教員が生徒に応じて求人を適格紹介し、教育の観点で丁寧に支えてきた学校側の裁量を設けず、生徒及び保護者に委ねる形となった点は、従来と大きく異なります。生徒の主体性が強調されたこと自体は重要ですが、職業選択における主体性とは単に「自分で選ぶこと」ではありません。自らの置かれた労働環境や社会的条件を理解し、支援や対話の中で判断力を育てていく過程があってこそ、実質的な主体性は形成されます。主体性を理由に自己責任論を強め、支援を後退させることがあってはなりません。より一層、高校とハローワークとの連携は大変重要で、高校の求めに応じるには常勤職員の大幅増員は必須です。

さらに、高卒WEBの改修については、学校推薦や指定校求人、そして一人一社制を前提とした高卒就職の仕組みのもとでシステム改修を行うとしています。また、改修内容については厚生労働省の職業紹介システムに搭載することが適切かどうか等を検証したうえで選定するとしています。高卒求人は一般求人とは異なり、ハローワークが厳格な内容確認を行い、いったん受理・公開した求人は原則として取り消すことができないなど、教育的配慮のもとで特別に運用されてきた公共的制度です。こうした制度の性格を踏まえれば、デジタル化はあくまで現行の公的枠組みを強化する方向で進められるべきです。民間職業紹介事業者の関与を広げる契機とならないか、慎重な検証が求められ、引き続き注視する必要があります。

今回、前倒しと一般公開を退けた背景には、就職連の中央行動や今回丁寧に行われた厚労省のヒアリングなど現場の声が積み重ねられてきたことにあります。拙速な制度改変が見送られたことは、教育現場や労働現場の実態に根差した意見が制度設計に影響を与えた結果であり、この点は大変評価できるものです。

高校生の就職問題の改善には、現場の実態に即した丁寧な議論を重ねるとともに、職業教育の充実を通じて生徒の職業観・進路観を育むための教職員の大幅増員、就職未決定者に対する支援・相談体制の拡充、さらには高校・大学・ハローワークにおける正規雇用の就職支援ナビゲーター等の増員が不可欠です。また、すべての労働者が安心して働き続けられる社会を実現するため、働くルールの確立とワークルール教育の充実が求められます。高卒就職を市場の論理ではなく教育の観点で支える姿勢を、今後も一貫して貫くことを強く求めます。

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