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(全教事務職員部緊急声明)「学校と教師の業務の3分類」 指針案の撤回を求める緊急声明

全教(全日本教職員組合)事務職員部は、9月25日、緊急声明『「学校と教師の業務の3分類」 指針案の撤回を求める緊急声明』を発表しました。


私たち学校事務職員は、地域の子どもたちの学びを支える職員として日々学校で働いています。 今回の文科省の「学校と教師の業務の3分類」 指針案は、子どものために現場で働く様々な職種の共同性を無視し、特に事務職員に過大な業務を負わせ、学校現場の声を反映しない一方的に押し付ける施策です。 これは学校教育の持続可能性を損なう危険性があり、以下の理由から撤回を強く求めます。

1. 業務押し付けによる現場の声

今回の「3分類」の提案は新たに5項目を追加し、特に広報やICT管理を「事務職員を中心に実施」と明記したことは、既存業務で手一杯の学校事務の現場に新たな負担を押し付けるものです。 教諭職と比較しても非正規率も高く地方交付税分の未配置も多く、人員不足のまま業務が拡大すれば、過労・混乱・職員間の対立を招き、学校教育活動そのものが揺らぎます。 私たちは、子どもたちの学びを支え、教材や施設の整備、学校財務の専門家として学校事務を担っています。

2. 地域教育資産の破壊

人口減少地域では小規模校が維持困難となり、都市部では効率化の名のもとに高校までも削減が進められています。 今回の指針案は、財政的な補助もないまま校内で業務を押し付けあうものです。 どの地域であっても教育資産を守るどころか、地域から学校を失わせる方向を助長します。

3. きめ細かな教育への逆行

広報業務やICT 保守管理等の事務職員への転嫁は本来専門性を要する分野を「一括処理すれば安上がり」とみなす「規模の経済」を優先した発想であり、子どもたちのために総務・財務面を中心として働く私達事務職員の任務を軽視しなければ成り立たない見解です。 定数も満足させないままの文科省の提言は子ども一人ひとりに寄り添う教育的配慮や小規模校の教育的価値を無視し、教育の質を低下させます。

4. 協働体制の分断

学校では、教諭・講師の他に事務職員・栄養職員・養護教諭・現業職員等様々な教職員が連携し、不登校支援や給食対応、災害時の安全確保を実践しています。 「3分類」による業務細分化は、この協働を分断し、子どもを中心とした教育力を著しく低下させます。

5. 過重労働による病気休職率の深刻化 (令和5年度公立学校教職員の人事行政状況調査)

事務職員は既に教員以上に高い有病率を抱えており、「令和5年度公立学校教職員の人事行政状況調査」の調査でも特に特別支援学校で2.58% と高い病休率を示しています。 これは単なる定数改善では解決し得ず、担いうる業務内容の選択と集中が不可欠であることを示しています。

私たちが守りたい教育の姿は、地域に根ざした教育の継続と小規模校の維持、各職種の専門性を活かした協働による教育の質向上、それぞれの立場からの能動的な教育参画です。

事務職員は保護者や地域と共同し、子どもを真ん中に学校づくりを担ってきました。 労働法制上の趣旨から見ても業務過多の解決は外部専門職の適正配置や定数改善にこそもとめられるべきです。

必要なのは業務の押し付けではなく、教育予算の増額と教職員定数の抜本的な改善です。 子どもたちに寄り添える教育環境を守るため、私たちはこの指針案の撤回とゆとりある就労環境構築を強く求めます。

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