私たちの給与・待遇はどのようにして決まる?
毎年、人事院と人事委員会勧告によって公務員の給与や待遇の改定が行われますが、その引き上げが組合の粘り強い運動の成果であることは、必ずしも正しく認識されていません。給与や待遇の改善は、行政の善意でおこなわれるものではありません。私たちが現場の声を届け、粘り強い運動を展開したことで獲得した権利です。
人事院勧告・人事委員会勧告とはなにか
私たちの給与や待遇は、組合と北九州市教育委員会が交渉して決まります。しかし民間企業のようにストライキを背景に労使交渉で給与や待遇を決定することができません。これは、公立学校の教職員をはじめ公務員は労働基本権が制約(争議=ストライキ等の禁止)されているためです。
公務員の労働基本権を制約するかわりに、国家公務員の給与等を社会一般の情勢に適応した適正なものにするよう人事院が政府と国会に勧告するものが「人事院勧告」です。公立学校の教職員を含む地方公務員については、都道府県と政令指定都市におかれている人事委員会が、人事院と同様に地方公務員の給与等について都道府県知事および政令市の市長と議会に勧告をおこないます。例年、人事院勧告は8月に、人事委員会勧告は9月に出されます。
日本の財政・経済に影響を与える人事院勧告
人事院勧告は政府・国会、人事委員会勧告は首長・地方議会がそれぞれ尊重すべきものとされ、勧告にもとづき給与法・給与条例の改正等を経て給与や待遇の改定が実施されて差額の支給となります。
人事院勧告は人事委員会勧告の参考とされます。また私立学校、農業協同組合、春闘に参加できない民間企業の給与にも影響を与えています。さらに独立行政法人、国立大学法人、特殊法人など公務員以外の公共部門の給与も間接的に影響を受けています。
したがって人事院勧告は日本全体の賃金水準、ひいては日本の財政・経済に大きな影響を及ぼしています。それだけに物価上昇を上回る賃上げを実現するような勧告を出すことが人事院には強く求められます。