人事異動に関する要求(2025)
教職員が安心して働ける環境を目指して
基本方針
合意と納得
教職員の合意と納得に基づいた人事異動を実施する。
負担軽減
通勤時間短縮と超過勤務削減を人事異動に反映させる。
事務補助員配置
学校事務補助員を全校に配置する。
異動における配慮事項
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個人の事情を最優先
妊娠、出産、育児、介護、傷病など、本人・家族の事情を確実に把握し、意向を反映する。
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本人の希望を尊重
異動は本人の希望や意向を優先する。校種間異動、学校事務職員の割愛採用も本人の希望や意向を尊重する。
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居住地への配慮
原則として居住地に近い勤務校とし、新規採用教職員の赴任校も同様に配慮する。
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専門性の尊重
特別支援学校・学級は専門性を配慮し、本人の意向を尊重する。
適正な人員配置
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免許外教員の配置をしない
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定数内はすべて教諭とする
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特別支援学校の担任に、短時間勤務の再任用教職員を充てない
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中学校での兼務発令をしない
プロセスと内示後の対応
異動プロセス
- 1人事異動の方針を確認する場を設ける。
- 2担当者と直接対話の機会を設ける。
- 3希望調査票に基づき、本人の希望に沿う。
- 4日程を明確にし、進捗状況を報告する。
内示後の対応
- 1苦情には誠意をもって対応する。
- 2苦情交渉には責任者が同席する。
- 3苦情交渉最終日を明示する。
- 4異動先での打ち合わせは出張扱いとする。
2025年9月4日
貴職におかれましては、私たち全教北九州市教職員組合の要求について鋭意ご検討していただいていることに感謝申し上げます。
さて、8月20日福岡労働局の最低賃金審議会は、2025年度の福岡県の最低賃金を昨年度プラス65円(6.55%)、1057円に11月16日から引き上げることを発表しました。私たちが求めている全国一律1500円には遠く及びません。物価高騰による生計費の不安に期待を寄せていましたが十分なものとはいえません。一方、9月24日北九州市人事委員会は、月例給の改善、期末勤勉手当0.05月の引き上げを勧告しました。感染拡大が始まって以来、教職員は今まで以上の過密労働となっています。また、同時にGIGAスクール構想も引き続き大きな負担になっています。引き続くコロナ対応等ですべての教職員が奮闘しているにもかかわらずこのような勧告では到底納得できません。特に教員には6月に改訂された給特法によっても給与は改善されず、残業手当も出ず、共に奮闘している自治体職員とは立場が違うことを改めて強調するところです。
今や教員の長時間過密労働が教員不足を生み、教員不足が益々現場の教職員の長時間過密労働を増進するという悪循環に陥っています。何としても教員を確保するために労働条件の改善が求められます。また、青年世代の教員確保と並行して、退職世代の活用も重要です。今の再任用教職員への給料は、労働に見合ったものとはいえず改善が求められます。定年延長が始まった現在でも制度の再構築は喫緊の課題といえます。
一方、臨時・非常勤の教職員の処遇改善も急務です。現在、学校には多くの臨時・非常勤の教職員が働いています。教育現場は、このような方々の働きなくしては一日たりとも学校運営、教育活動は成り立ちません。
また、適正な労働時間と勤務内容等の改善を求めます。それどころか、時短ハラスメント(早い退勤を迫る、在校時間からの削除を迫る等)はさらに悪化し、学校現場では常態化しています。それが市教委の労働時間の正確な把握の妨げの要因となっています。業務改善プログラムの実施により改善されてきた部分もあります。しかし、勤務実績の乖離の主な原因は、学力・体力テストの対策や部活動に追われる学校現場から目を背け、多忙の根本的要因に手を付けていない市教委に主要因があります。北九州市の教育が、それを支えている現場の教職員のいのちと健康、家庭や人間らしい生活の犠牲の上に成り立っていることは、教職員組合として看過できません。
6月11日「公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法等の一部を改正する法律案」が参議院本会議において可決され、成立しました。われわれは、この法律では「学校がもたない」と考え、教職員定数増・残業代支給の仕組みを・教育予算増を、新しい職の導入を許さないとりくみを行っていきます。 以下、給与改定交渉にあたり、趣旨に沿った諸問題・課題の改善・解決に取り組んでいただくことを要求いたします。
人事異動基本要求
- 教職員の合意と納得を得られる人事異動とすること。(教育委員会への割愛人事を含む)
- 通勤時間短縮による教職員の負担軽減、及び労働条件改善による超勤削減を人事異動方針に位置づけ、人事異動に反映させること。
- 学校事務補助員を全校に配置すること。
要求
人事異動方針では、教職員が健康で安全、安心して働くことができる環境や施策を整えること。また、勤務・労働条件改善の観点から教職員の生活・健康実態を十分配慮した、合意と納得の得られる人事異動とすること。
- 妊娠、出産、育児、介護、傷病など本人や家族にかかわる諸事情、状況を確実に把握し、異動にその意向を反映させること。
- 異動は、原則として居住地に近い勤務校とし、教職員が本務である仕事の充実や児童生徒と向き合う時間確保のための教育環境整備を実現するための人事異動とすること。
- 異動は、本人の希望や意向を優先させること。人材育成に名を借りた区間異動や、教科担任制や専科授業などの理由による、小学校、中学校、特別支援学校等の相互の校種間異動は、本人の意向を尊重すること。
- 臨時免許を出すなどして免許外教員の配置を行わないこと。
- 特別支援学校と特別支援学級については、専門性の配慮や本人の意向を尊重した異動を行うこと。
- 新規採用教職員の赴任校は、本人の居住地を配慮すること。
- 新規採用後最初の異動は、本人の意向を充分に配慮すること。
- 再任用教職員の異動は、本人の意向を尊重すること。
- 定数内の教員はすべて教諭とし、未配置もなくすこと。
- 特別支援学校の担任に、再任用短時間勤務を充てないこと。
- 学校事務補助員を全校配置に戻すこと。すぐにできない場合は、学校事務職員の意向を十分に聞いたうえで配置すること。
- 学校事務職員の教育委員会割愛採用は本人の希望によることとし、一方的に決定しないこと。教育委員会へ割愛採用された者が学校事務職を希望する場合は希望を実現すること。
- 現在中学校において実施している兼務発令は行わないこと。
労働条件の改善・整備の観点から、人事異動の基本方針について確認の場を設けること。
教職員の合意と納得が得られる異動となるよう、以下の事項については組合と合意の上、人事異動の具体的作業を行うこと。
- 人事異動作業を行う担当者に直接要求を伝えられるようにすること。
- 人事異動希望調査票をもとに、本人の希望に沿う異動を行うこと。
- 人事異動の日程を明らかにし、作業の進捗状況を適宜求めに応じ報告すること。
- 内示後の対応についての要求
- 苦情が発生するような異動があれば、誠意をもって対応し、「内示即発令」とならないようにすること。
- 苦情の交渉には、担当課長、教職員課長、教職員部長が同席すること。本人が同席を求めた場合は、希望に沿うこと。
- 交渉最終日は、いつ、何時までかを明示すること。
- 内示発令直後に、次年度の校内人事のために連絡を取ることはしないこと。
- 年度内に異動先での打ち合わせが生じた時には、出張扱いとすること。