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(全教談話)このままでは長時間過密労働は解消できない!給特法等改定案の衆議院通過に抗議し、参議院における廃案と抜本的修正のために全力をつくそう

全教(全日本教職員組合)は、5月14日、書記長談話『このままでは長時間過密労働は解消できない!給特法等改定案の衆議院通過に抗議し、参議院における廃案と抜本的修正のために全力をつくそう』を発表しました。


5月14日、衆議院文部科学委員会において、政府の「公立の義務教育諸学校等における教育職員の給与等に関する特別措置法(以下、給特法)」をはじめ、学校教育法、地方教育行政の組織及び運営に関する法律(以下、地教行法)」、教育公務員特例法(以下、教特法)」等の一部を改定する給特法等改定案が一部修正され、可決されました。

4月10日の本会議で審議入りして以来、全教は、政府の給特法等改定案の廃案を求め、本会議や委員会の傍聴行動や国会前集会、議員要請やFAX要請などの国会議員への働きかけ、各地の教育現場から当事者が声を上げる「4.16全国一斉定時アクション」、街頭宣伝や記者会見をおこない、その問題性を広く社会的にアピールしてきました。

2月7日、改定法案を閣議決定した段階では、処遇改善を理由に早期成立を求める声があったにもかかわらず、文部科学委員会の審議は2回に及ぶ参考人の意見陳述や委員外議員発言等を経て、1か月を超えました。その中で、教職調整額増額の一方で、特別支援教育にかかわる「給料の調整額」が半減され、さらに一律全員に支給されている義務特手当を削減し、学級担任に加算するという「メリハリ」ある賃金制度導入、しかも学級担任手当は特別支援学校や学級の担任は対象外などの問題点も明らかになりました。

修正案に「教育職員1人当たりの担当授業時数の削減」や、標準法に規定する「教職員定数の標準を改定すること」が明記されたことは、「せんせいふやそう」を強く訴えてきた私たちの運動とつながるものです。基礎定数改善と持ち授業数の上限設定、教育予算増などの具体的な措置を求めます。

しかし、修正案は、密室での協議という過程も、その不十分な内容も容認できるものではありません。そもそも「平均時間外在校等時間」を「月30時間程度」に削減することも、公立中学での「35人学級」の実現も、昨年末の「大臣合意」にもとづいて政府が掲げていた目標です。なにより、給特法第5条・第6条が、公立学校の教員に対しては原則として時間外勤務を命じないとしているにもかかわらず、「月30時間」の時間外勤務を容認し、超勤手当は支払わないとすることは、明らかな労働基準法違反であり、給特法の根本的矛盾です。委員会審議で「時間外在校等時間は労基法上の労働時間ではない」とする文科省の答弁と、厚労省ガイドラインが「明示的・黙示的指示により労働者が業務を行う時間は労働時間」であり、「就業を命じられた業務に必要な準備行為」や「業務に必要な学習等を行っていた時間」も「労働時間」と規定していることの矛盾が審議の俎上に載りながらも、修正案には何ら反映されていません。

今後、審議の場は参議院に移ります。この改定案では長時間過密労働は決して解消できません。「働かせ放題」の続行は決して許されません。教職員の基礎定数を増やすことなく、時間外勤務時間の縮減を現場任せにするならば、時短ハラスメントの横行や持ち帰り仕事は常態化します。

時間外勤務手当支給を可能とするしくみを設けること、まやかしの処遇改善のままで終わらせないこと、そして、衆議院では十分な議論がされなかった、職場を分断する「主務教諭」の創設の問題点について徹底審議を求めるたたかいが引き続き重要です。修正案で示された定数改善と持ち授業数の削減も、現在の予算措置を抜本的に変えなければ実現できません。

全教は、長時間過密労働解消とすべての教職員の処遇改善のため、参議院において給特法等改定案の廃案および抜本的な修正をめざし、声を上げ、いっそう全力をつくす決意です。

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