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(全教中央執行委員会声明)2024年人事院勧告について

人事院が2024年8月8日におこなった人事院勧告 に対して、全教(全日本教職員組合)は中央執行委員会声明を発表しました。


  1. 人事院は本日、公務員人事管理に関する報告、給与勧告・報告、育児休業法に関する意見の申出を、内閣総理と両院議長に対しておこないました。
  2. 職種別民間給与実態調査の結果にもとづき、今年4月における官民較差は、民間給与が国家公務員給与を1万1183円(2.76%)上回っており、初任給は一般職について高卒2万1400円、大卒2万3800円引き上げるとともに、人材確保の観点等を踏まえ若年層(概ね30歳代後半まで)に重点を置きながら、再任用職員をふくむすべての号俸にわたる俸給表の改定を勧告しました。一時金については、昨年8月から今年7月までの民間の支給割合が4.60月分であるとして、現在の4.50月分を0.10月分引き上げ、引き上げ分は、期末手当及び勤勉手当に均等に配分することとしています。
  3. 昨年の3869円(0.96%)を大きく上回るベースアップであり、ストライキを背景に「たたかう労働組合のバージョンアップ」を掲げてとりくまれた24国民春闘の粘り強いたたかいと10万7000筆(全教分2万9040筆)を超える「公務労働者の大幅賃上げ等を求める署名(人勧署名)」のとりくみなど、官民一体となった社会的な賃金闘争前進の成果と言えるものです。
    しかし、モデル試算による定期昇給分を加えた給与改善は、月収で約4.4%増にとどまっています。春闘の賃上げ率5.33%(厚労省調査)、7月24日に示された最低賃金引き上げ目安額50円(5.0%)には及ばず、国民のいのちとくらし・教育のため、長時間労働のもとでも必死に奮闘する公務員の労苦に報いるものとはなっていません。官民較差の率2.76%は32年ぶりの高水準となっていますが、若年層へ傾斜した配分のため、高齢層の賃上げは生活改善につながる十分な引き上げにはなっていません。今こそ、生計費原則に則ったすべての世代にわたる賃上げが必要です。
  4. 私たちはこの間、職種別民間給与実態調査の官民給与比較方法である民間企業規模の引き上げを強く求めてきました。現在の民間比較企業規模は、地域手当が創設された2006年給与構造改革の時に100人以上から50人以上に引き下げられ、公務員賃金が低く抑えられる原因となってきました。今回の公務員人事管理に関する報告では、公務における人材確保が危機的となっている大きな要因として、官民給与の比較を行う際の企業規模があげられ、企業規模について検討を進めていくことが盛り込まれました。これは、この間の粘り強い要求が動かした成果であり、次年度の調査から比較企業規模の引き上げを行うことを求めます。 
  5. 「社会と公務の変化に応じた給与制度の整備(給与制度のアップデート)」については、「若年層の採用等におけるより競争力のある給与水準の設定」「職務や職責をより重視した俸給体系等の整備」と、能力・実績主義の強化を給与制度整備の中心に置いた改定であり、より一層の競争を煽るもので撤回を求めるものです。
    地域手当の「大くくり化」については、地域間格差の是正の方向に期待が寄せられましたが、官僚を意識した中央の地域手当率固定化を前提に「大くくり化」された結果、多くの地域では引き下げとなり、結果として大都市圏と地方との地域間格差は広がっており、断じて容認することはできません。
    10年に一度の大幅な給与制度の変更であり、私たちは当事者として再三にわたり具体的な説明と協議を求めてきましたが、人事院は不誠実な対応に終始しました。これは、労働基本権制約の代償機関としての役割を放棄するものであり強く抗議するとともに、あらためて労働基本権回復に向けたとりくみを強めていく決意です。
  6. 「公務員人事管理に関する報告」では、「業務量に応じた要員の確保」について、各府省アンケートから45府省等中「現在、恒常的な人員が生じている」との回答数が37あり、主な改善要望として「定員合理化目標数の緩和」「定員要求上限数の拡大」が挙げられているにもかかわらず、「各府省において業務量に応じた柔軟な人員配置や必要な人員の確保に努める必要がある」という表現にとどまっています。教育現場と同様に公務職場全体に長時間労働や慢性的な欠員が生じています。その解消のためには大幅な定員増が必須です。「公共の再生」をさらに進めるためにも、公務全体の課題として定数改善の運動を一体的にすすめていくことが必要です。
  7. 人事院は6月29日に、非常勤職員の「3年公募要件」を撤廃する通知を発出しました。これは国だけでなく、私たち教育現場で働く臨時・非常勤教職員のたたかいの重要な成果です。また給与制度のアップデートにおいて、再任用職員への生活関連手当支給の拡大が示されたことは重要です。今後、適正な運用を求めるとともに、病休の有給化をはじめ、さらなる臨時・非常勤教職員の要求実現をめざします。
  8. 今後、各地で人事委員会に対し、実質賃金引き上げにつながる勧告を求めるとりくみがすすみ、確定闘争がスタートします。地域手当「大くくり化」に対する対応をはじめ、再任用職員や会計年度任用職員をふくむ臨時・非常勤教職員の待遇改善、ハラスメントの根絶、「先読み加配」をはじめ妊娠、出産、育児等と仕事の両立支援の前進など、教職員が生活の不安なしに、力を合わせ、子どもたちの教育に専念できるよう、深刻な長時間過密労働と教職員不足の解消と待遇改善を地方教育委員会にあらためて求めるものです。                                        

全教は、新自由主義的政策から憲法が生きる社会への転換をめざし、長時間労働の解消のため教職員定数の抜本的な改善と残業代を支給可能とする給特法の改正、能力・実績主義賃金の拡大を許さないたたかいに引き続き全力を挙げる決意です。

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