今日は、ゆきとどいた教育をすすめる全国署名に臨むにあたり、北九州市の状況を報告したいと思います。
北九州市は、政令都市ではありますが、2005年に人口が100万人を切り、現在約91万人となって高齢化率31.3%になっています。
北九州市では、2021年度まで、小学校3年生までと中学校1年生が35人学級で、他の学年は学校の裁量で行ってもよいとなっていました。しかし、改正義務教育標準法が施行された、2022年度4月に、小学校全学年と中学校1年生が35人学級になりました。コロナ禍で、前年、5年生40人の3クラスを急遽教科担任制にして4クラスで授業を行ったN小学校では、6年生で1クラス30人になったと大喜びでした。
しかし、今年35人2クラスの1年生を担任しているI小学校からは、「1年生の35人は大変。子どもは落ち着かないし、保護者の連絡帳に対応する時間がない。」といった声が届いています。
今や教科書がA4版になり、机のサイズも大きくなりました。タブレット保管庫や大型テレビなど場所を取る物も増え、教室は手狭になってきています。先ほどの1年生35人のクラスでは、机が横に8個で列の間が30センチもなく、教員はカニ歩きになると言っていました。横に6個くらいでないと机間巡視もしづらいし、習字の作品を置くスペースも十分とれません。多くても横に6個、縦に4個、計24個くらいが限度ではないかと思います。このクラスで「橋の上のおおかみ」というお話で道徳の授業をしていたところ、「こんな橋みたいなところがこの教室にもある(通路)」「くまさんみたいに友達を持ち上げられない」と大笑いになったそうです。
35人学級は増えましたが、結局担任外の配置を減らして担任にあてているので、ゆとりがなくなった感が否めません。担任外が減ったうえに、産育休の代替が来ないなど人手不足の状況です。私が一昨年まで勤めていた学校に昨年寄りますと、スクールサポートスタッフが水泳の監視の手伝いに行っていて驚きました。いろいろ重なって他に人がいなかったとはいえ、良くない状況だと思いました。また、確たる証拠はありませんが、現場の印象として、中学校教員の兼務が増えている感じがするそうです。この場合の兼務は、2校掛け持ちということです。その教員も大変だし、今までだと空きコマで学年のことや生徒指導をしてくれていたのに余裕がなくなったと現場では話しています。
次に学校給食無償化の問題です。今まで相手にされなかったこの問題。6月議会で日本共産党が「学校給食費の無償化を求める意見書」を提案したところ、自民党や他の会派が賛成し、可決されました。日本維新の会だけが反対しました。
北九州市では、6月17日に「北九州子どもと教育のために手をつなぐ会」で京都の元学校事務職員岡崎利夫さんに「給食費無償化の運動」のお話をしていただき、明日は「学校給食を考える会」が開かれ、遅ればせながら運動が大きく始まろうとしています。北九州市の給食費は、小学校4,300円、特別支援学校中・高等部5,100円、中学校5,400円です。結構負担だと保護者は言っています。北九州市もやろうと思えばできるとは思いますが、国が異次元の少子化対策を謳うなら、給食費の無償化はまずやるべきことだと思います。また、北九州市では中学校の修学旅行費を積立ではなく一度に支払うため、保護者の負担を考えて行かないと決めた生徒がいるそうです。給食費が無償であれば、保護者の負担はかなり軽減されます。
最後に学校の施設についてです。児童数の多い学校にトイレの数が少なくて休み時間に列ができ、低学年の子どもが間に合わないことがあったという話を聞きました。また、コロナ禍で気になったのが、廊下にある手洗い場の数の少なさです。この児童生徒数で蛇口がこれだけ?と改めて驚いた学校もありました。児童生徒数に対して必要なトイレや手洗い場の数は見落とされているのではないでしょうか。
全国の小中一貫校や義務教育学校のことを調べていると、素敵な学び舎に目を見張ります。学校統廃合と引き換えにしか、こんな学び舎では学べないのでしょうか。すべての子どもたちに、生活しやすい学びやすい理解しやすい学び舎となるよう、教育条件の整備を求めます。北九州では、今年、もっと楽しく遊び心を持って署名に取り組もうと話しています。
ともに頑張りましょう。