全教北九州市教職員組合(全教北九州)
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私たちについて


2017年11月15日

全教北九州市教職員組合
執行委員長 中村賢太郎

本年度の賃金、休暇制度確定に向けての最終回答を受け、全教北九州市教職員組合を代表して意見を述べます。まず、今回の確定交渉では、私たち全教北九州の要求に対し、真摯に検討し回答、対応していただき感謝致します。また、「病気休暇承認方法の一部改正」「妊娠障害休暇」等県費負担教職員の条件に戻ったことは評価しています。

さて、先の権限移譲交渉で、市費教職員へ移管された折、県費負担の際の勤務労働条件の水準をそのまま維持することを要求してきました。また、教育委員会側からも教職員のモチベーションが低下しないようにしたいとの言葉も受けていましたが、実際ふたを開けると、子育て支援休暇の廃止や生理休暇の短縮など子育てや女性の権利の切り下げなど健康の維持、安心して働き続けるための生活にかかわる労働条件が切り下げられたほか、労働の対価であり、生活の糧でもある賃金・手当に関しても1年の経過措置はあったものの、来年度からは地域手当、職務別加算などによる給与や期末勤勉手当の減額が教職員の生活を直撃することになり、教職員は不安を隠せません。

この確定交渉でも、私たちは、教職員が健康を維持、増進し、安心して生活が保障される中で、教育、子どもにもしっかり向き合い、充実した、よりよい教育実践ができる環境の実現を要求し、そのための教員の働き方の見直しや休暇制度の充実、さらに今大きな社会問題になっている教員の長時間過密労働に対する適正な報酬を含めた総合的な待遇改善を求めました。

組合は、この確定交渉に向け「くらし・働き方アンケート」を実施し、現場の教職員の思いや願いを集約し、その結果も交渉に反映してきました。子育てをしている先生からは、このような不満・不安の声が届けられました。

児童を返し、そのあとの終礼や職員会議などで5時になり、明日の準備や打ち合わせなどしていたら、公務支援システムにデータを入力する時間もなくなり、いそいで子どもの待つ自宅へ帰宅。もちろん、子どものノートや明日の授業の準備、教材研究は持ち帰り仕事となる。土・日は、システムへの入力のため出勤せざるを得ない。子育てしながらの、このような働き方をするのには無理がある。それがなぜ問題にならないのか。

という不満、疑問です。ほかにも生徒指導や給食指導などで昼休みも取れない違法な働き方をせざるを得ないことへの不満、労働時間に見合った待遇が保障されていないことへの不満、独身の先生からも仕事が忙しく、休日も仕事で生活に余裕がないことへの不満、やる気のない働き方改革への不信、適正な在校時間把握が行われていないことへの問題とそもそも長時間働かないとおわらない仕事の量が与えられているなかで、待遇改善にもつながらない勤務時間把握にどのような意味があるのかという疑問など、アンケートをとると不満、不信、問題点の一端が見えます。

教育委員会の皆さん想像してみてください。児童・生徒の下校は4時過ぎ、時には4時半を過ぎることもあります。昼休みの休憩も取れず働き続け、子どもを下校させた後は、各種会議、研修、生徒指導が毎日のようにあり、自分の仕事が始められるのは、5時を過ぎてから。そこから8時、9時までさらに仕事です。基本、長時間勤務が命じられない教員の仕事ですが、所定労働時間では到底終わらせることができない、子どものために本当に必要なのか疑問を感じるような半端ない大量の仕事が押し付けられているのです。さらに、近年はさらにその働き方に追い打ちをかける学力・体力テストの点数競争のための各種施策、取り組みも押し付けられ、教員はさらに多忙になり、疲弊しきっています。

そこへ今回の回答です。教育の最前線で家庭や個人の生活を犠牲にしてまで北九州の教育、子どものために必死に働き頑張っている教職員に対する最終回答がたったこれだけですか。先のアンケート結果にある待遇への不満をどう解消させ、仕事へのモチベーションをどう高めるのか、それをきちんと総括した議論の結果や将来への改革の方向性が、今日の回答からは教職員に伝わってきません。

また、労基法、給特法などの法規に照らし、このような働かせ方は適正と胸を張って言えるのでしょうか。 北九州市政が推進しているワークライフバランスの推進の視点や、子育て支援プログラム、職員ダイバーシティ推進プログラムなど数々の取り組みに照らしてみて、教職員の働き方は市が推進しようとしている働き方と合致しているのでしょうか。推進の結果が目に見え、実感できないとせっかくの施策も意味がありません。

職員の大量退職がピークです。数年間は大量採用の期間が続きます。これから若い教職員が増えるなか、そのような先生が結婚、出産する際に子育てしながら安心して働ける環境を今から整備していくことは必要不可欠です。人材確保の面からも最低でも県費負担教職員の勤務労働条件に戻すことは人材の獲得競争の上からも重要と考えます。そのような観点からも、賃金や休暇制度を県費負担の条件、水準に戻し、今以上に働きやすい職場が実感できるように要求します。

今日のこの回答を最終とせず、これからの教育条件、労働条件見直し、改善に向けた実効性のある協議を全教北九州と継続していくことを要求し、私からの見解とします。