全教北九州市教職員組合(全教北九州)
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願いかなえる

2020年2月18日

北九州市教育委員会
教育長 田島裕美 様

貴職におかれましては、私たち全教北九州市教職員組合の要求について鋭意ご検討していただいていることに感謝申し上げます。

さて、昨年の「働き方改革」関連法の成立を受けて、政府は同年2月1日に人事院規則の「改正」によって国家公務員の勤務時間の条例の上限を定めました。文部科学省も、同年3月18日に「学校における働き方改革に関する取組の徹底について」(通知)を発出し、その取組みの重要性並びに方策についての論点整理を行っています。

同年1月の文科省・中央教育審議会にて策定された「公立学校の教師の勤務時間の上限に関するガイドライン」では、「超勤4項目」だけでなくそれまで自主的・自発的な勤務とされてきた授業準備や部活動の業務が「在校等時間」とされ、「勤務時間」と整理されました。また、在校等時間の目安時間も定められ、1カ月の在校等時間については超過勤務45時間以内、1年間の在校等時間については超過勤務360時間以内としました。しかし、この目安時間の定着により、各職場において法定労働時間=勤務時間と解釈され、教員が無定量な長時間勤務を強いられることも危惧されます。労基法、給特法において各種制約がある教員の働き方に、国家公務員の「超過勤務の上限時間」を当てはめること自体労働者側からすると合理性、整合性に欠ける部分が多く、まったくメリットがありません。さらに教職調整額の支給には全く言及もない「定額働かせ放題」の制度改悪であり容認することはできません。また、心身の健康維持の観点からも業務量を削減し、長時間過密労働を改善することは労働安全衛生法の観点からも必要ですが、今回の上限規定はそれとも相いれない制度です。

長期間勤務是正、過重労働縮減は労使双方の課題であり、目標です。教育委員会は、長時間過密労働の常態化・定着を拡大し、さらなる長時間勤務・過重労働を招く国主導の「働き方改革」とは一線を画し、児童生徒やそこで働く教職員のため、北九州に根差した施策を進めていただきたいと思います。

そこで、以下の要求をいたします。

  1. 「原則として時間外勤務を命じない」とした給特法の原則に照らして、教育職員についてはこれまでと同様、法定労働時間を「勤務時間」とし、超時間労働の常態化・定着化にも繋がる「在校等時間」を勤務時間から除外すること。また、勤務時間条例等の上限規定を適用しないこと。
  2. 上限規定を設けなくても、法定労働時間内に仕事が終わるように教育委員会の責任で各種方策を講じること。
    1. 新学習指導要領全面実施にともなう教育課程において、大幅な余剰時数など、多すぎる授業時数を見直し、授業準備・改善や触れ合う時間確保など児童生徒に対し効果的な教育活動を行うための十分な時間を確保すること。また、成績処理、学校行事の準備、進路指導、生徒指導等の時間も必要に応じて確保すること。そのための時間として、毎日最低でも2時間以上(休憩時間除く)確保できるようにすること。
    2. 教師本来の仕事に専念できるよう、調査・統計の回答や清掃指導、部活動等教師が必ずしも行う必要のないものは外部指導員(講師)、スクール・サポート・スタッフ、ボランティア等の外部人材や民間企業等に委託すること。
    3. (1)の時間を確保するため、早急にすべての学校に専科教員を複数人配置すること。
    4. 法定労働時間を守るため、スクラップ・アンド・ビルドの原則を堅持し、「児童生徒のために必要な教育活動なのか」「教師の専門性が発揮できる業務なのか」等の視点から優先順位をつけ業務改善を進めること。その際も、現場の事態等を十分考慮すること。
    5. 業務改善の実効性を担保するため、教育委員会内に業務改善を統括、コーディネイトする専門の部署を作り、大きな権限を与えること。また、現在の長時間勤務縮減のための具体的方策を優先順位の上位に据え、業務改善プログラムで実現できなかった縮減を達成させること。また、検証結果は公表すること。
    6. 学校での業務の在り方、見直しについては職員間で共通理解、意思統一をする機会や場を設定させること。上からの押し付けるようなやり方ではなく、当事者でもある教職員が意欲をもって主体的に取組む業務削減の見通しや環境整備等の取組を実施すること。
  3. 法律で定められている休憩時間が確保できない背景・原因を検証すること。また、休憩時間には心身共に休息するための休憩の時間であり、法の趣旨に則りこれを確保できるようにすること。そのための方法として、休憩時間を児童生徒下校後の後付けとすること。
  4. 教職員がまとまった休暇を取りやすい環境を作るため、夏季休業日期間中の研修は必要最低限に留めること。また、年休の行使率を向上させるため年休の切り替えの月を8月とすること。
  5. 勤務時間にかかわる労働条件の変更については交渉事項であり、議会提出前に組合との交渉を行うこと。