全教北九州市教職員組合(全教北九州)
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願いかなえる


2017年5月10日

北九州市教育委員会
教育長 垣迫裕俊 様
教育次長 古賀厚志 様

貴職におかれましては、昨年の労使交渉以降、私たち全教北九州市教職員組合の要求書について鋭意ご検討していただき感謝申し上げます。

さて、2017年度4月より教職員も市費職員となり、勤務労働条件が改定されました。まず、給与に於いては1年間の経過措置があるものの2018年度からは地域手当の減額により給与の年総額が減ります。また、人事院は4月19日に全日本教職員組合等に対し、国家公務員の退職手当の再度見直しで官民格差が3.08%あるという回答を出しました。来年度100万近くの減額になる恐れもあり、公務員全体に退職後の生活への不安をもたらしています。権限移譲と退職金減額で生活設計が大きく狂わされることになりました。また休暇等の見直しでは、病気休暇や、母体保護のための生理休暇や妊娠障害休暇の切り下げは教職員の働き方にいっそうの無理を強いることになりました。また、子育て支援休暇がなくなり子の看護休暇が切り下げられたことは、子どもを育てる教職員にとって大きな痛手となりました。

一方、教育現場では、ご存知のように長時間過密・過重労働が改善されることなく現在も継続し、精神疾患等による病休者も減少は見られません。教育委員会も北九州版働き方改革ともいえる「業務改善プログラム」により働き方見直しについての施策や提言を行っていますが、効率的な公務執行体制の確立や厳格な労働時間管理をさらに徹底し、実効あるものになるよう強く要求します。教職員が、その本務である教育実践に希望と情熱をもって取り組める教育、労働環境の改善・見直しを使用者である教育委員会及び管理職が責任をもって行うことも併せて要求します。

教育委員会は「効率的な公務執行体制の確立に努め、時間外勤務縮減に取り組むこと」といってきています。しかし、勤務時間外における在校時間が過労死ラインを超える教職員の数はいっこうに減少していません。この間、産業医の面談を受ける時間を惜しむあまり正確な在校時間を記録しない教職員や管理職が退勤入力を早めに促す事例も多数の学校より報告されています。これは職場がいかに過酷な労働環境に置かれているかという一側面を示しているとともに、労働者の健康・安全を守るための労働基準法、労働安全衛生法がまったく遵守されていない違法且つブラック職場になっていることを如実に示しています。

さらに、学力・体力向上プラン・対策、土曜日授業、生徒指導、報告書作成、教材研究・成績処理、小中一貫・連携教育等限られた勤務時間のなかでやるべき仕事の量が年々増加し、超過勤務が増え、多忙化がすすむ一方です。このように、「黙示の指示」による長時間過密・過重労働による劣悪な労働環境の放置は、「働き方改革」にも逆行するものであり容認できません。また、定数内、定数外の教職員の未配置も教育条件の問題だけに留まらず、教職員の精神的、肉体的疲労、多忙化に拍車をかける要因にもなっています。一方で、退職金の大幅な削減と再度の見直し、給与の総合的な見直し、権限移譲で給与総額や勤務労働条件の切り下げなどが相まってモチベーションもあがらず、よい教育実践など出来る状況ではないことは教育委員会もご存じのとおりです。

教育委員会は、教職員の時間外勤務などの労働実態から、その原因を明確にし、教育・労働条件の改善並びに効率的な公務の確立を一層推進していただきたいと思います。

以上、下記の内容に関し要求いたします。

教職員の勤務・労働条件の改善に関する要求

  1. 教職員の生活を守ることができるだけの賃金をアップすること。(金額の要求は秋季に行う)
  2. 昨年度まで保障されていた労働条件は元に戻すこと。
  3. 定数内教職員は確実に配置すること。
  4. 雇用と年金の確実な接続をはかるために、再任用希望者は全員希望通り雇用すること。

教職員がその本務である教育実践に希望と情熱をもって取り組むことができる教育環境の見直しに関する要求項目

教職員の超過勤務、過密労働排除のための施策に関する要求

  1. 市独自の予算措置により教員定数を増やし、小、中学校すべての学級を35人以下学級とすること。
  2. 子どもと向き合う時間の確保や学力向上のための教材研究の時間確保、成績・評価、採点の時間、事務処理など教員の本務遂行に必要な時間を確保するための具体的方策として、教員の授業時数を削減すること。全ての教員の授業時数を小学校では20時間以下、中学校では、16時間以下とし、授業時数や校務分掌などで過重な負担を強いられている教員が多数いる現状を改善すること。
  3. 使用者の責任において、長時間過密・過重労働の原因でもある各種業務の廃止、縮小など、業務改善にとりくみ、労基法が定める適正な労働時間実現のための具体的施策を講ずること

勤務時間の適正管理及び超過勤務に対する適切な削減措置に関する要求

  1. 管理職は、出退勤記録をもとに教職員の在校時間を常に把握し、超過勤務や過重労働など健康破壊につながる勤務実態が明らかな場合には、削減のために必要な具体的措置を講じること。
  2. 出退勤時間については、管理職が確実に職員の出退勤時間を把握し、事実と違う時刻の入力などがないようにすること。
  3. 学期末、学年末などに行う成績、評価などの必要不可欠な職務遂行に対しては、勤務時間内で行えるよう短縮授業などを活用し適正な時間を確保すること。また、生徒指導、保護者対応などにより時間外勤務が発生する場合は、その超過分に見合う適切な割り振りを補償すること。

中学校における勤務軽減に関する要求

週1回の「ノー部活動」の日を徹底し、担当教諭や生徒が心身ともに休養できる日をつくること。また、休日の部活動に参加した教職員には適切な手当の支給・割振りや元気回復措置を行うこと。

教育現場にそぐわない競争原理を導入し、学校から豊かに人間関係を 育む土壌をなくす等のゆがみを助長する「全国学力テスト」(全国・学習状況調査)は多くの問題をはらんでいる。また、市独自の学力テスト、単元末テストの導入、過去問対策、裁量制ひまわり塾、放課後の補充学習などで、教師や児童・生徒をさらに多忙化に追い込むことはしないこと。

ますます多忙を助長する新体力テストの全学年での実施をやめること。また。行き過ぎた反復練習をやめさせること。