全教北九州市教職員組合(全教北九州)
5Tの組合─楽しく・つながり・ためになる・助け合う・頼りになる─

願いかなえる

2017年4月19日

北九州市教育委員会
教育長 垣迫裕俊 様
教育次長 古賀厚志 様

貴職におかれましては、昨年の労使交渉以降、私たち全教北九州市教職員組合の要求書について鋭意ご検討していただき感謝申し上げます。

さて、教職員の労働条件は、ご存知のように長時間過密・過重労働が改善されることなく現在も継続し、精神疾患等による病休者も減少は見られません。教育委員会も北九州版働き方改革ともいえる「業務改善プログラム」により働き方見直しについての施策や提言を行っていますが、効率的な公務執行体制の確立や厳格な労働時間管理をさらに徹底し、実効あるものになるよう強く要求します。教職員が、その本務である教育実践に希望と情熱をもって取り組める教育、労働環境の改善・見直しを使用者である教育委員会及び管理職が責任をもって行うことも併せて要求します。

教育委員会は「効率的な公務執行体制の確立に努め、時間外勤務縮減に取り組むこと」といってきています。しかし、勤務時間外における在校時間が過労死ラインを超える教職員の数はいっこうに減少していません。この間、産業医の面談を受ける時間を惜しむあまり正確な在校時間を記録しない教職員や管理職が退勤入力を早めに促す事例も多数の学校より報告されています。これは職場がいかに過酷な労働環境に置かれているかという一側面を示しているとともに、労働者の健康・安全を守るための労働基準法、労働安全衛生法がまったく遵守されていない違法且つブラック職場になっていることを如実に示しています。

教育現場は学力・体力向上プラン・対策、土曜日授業、生徒指導、報告書作成、教材研究・成績処理、小中一貫・連携教育等限られた勤務時間のなかでやるべき仕事の量が年々増加し、超過勤務が増え、多忙化がすすむ一方です。このように、「黙示の指示」による長時間過密・過重労働による劣悪な労働環境の放置は、「働き方改革」にも逆行するものであり容認できません。また、定数内、定数外の教職員の未配置も教育条件の問題だけに留まらず、教職員の精神的、肉体的疲労、多忙化に拍車をかける要因にもなっています。一方で、退職金の大幅な削減と再度の見直し、給与の総合的な見直し、権限移譲で給与総額や勤務労働条件の切り下げなどが相まってモチベーションもあがらず、よい教育実践など出来る状況ではないことは教育委員会もご存じのとおりです。

教育委員会は、教職員の時間外勤務などの労働実態から、その原因を明確にし、教育・労働条件の改善並びに効率的な公務の確立を一層推進していただきたいと思います。

以上、下記の内容に関し要求いたします。

法律に定められた教職員定数の配置に関する要求

  1. 定数内未配置をすぐに解消すること。
  2. 学校から希望が出ている定数外加配をすぐに配置すること。
  3. 講師登録をしている人はすぐに任用すること。教職員の欠員が多数あるなか、希望しているのに任用しないということがないこと。任用拒否がある場合は、その理由を組合に明らかにすること。
  4. 学力向上推進教員など定数を剥がして配置している教員を学級担任などに戻すこと。

多忙化、長時間過密・過重労働解消に向けての要求

  1. 使用者の責任において、長時間過密・過重労働の原因でもある各種業務の廃止、縮小など、業務改善にとりくみ、労基法が定める適正な労働時間実現のための具体的施策を講ずること
  2. 教職員の正確な在校時間把握を行うこと。そのため、出退勤は、システムの記録のみではなく管理職による現認も併せて行い、出退勤時間の不正が行えないような仕組み作りをすること。
  3. 部活動の担当決めの際、非民主的な決め方を行わないように指導すること。部活担当教員の労働時間の適正化を図るとともに、長時間勤務を強いられた場合は、その労働の対価に見合った適切な措置を講ずること。
  4. 新規採用者に対する勤務・労働条件の説明を確実、丁寧に行うこと。
  5. 教員の多忙化、及び児童生徒との触れ合いの時間を奪う学力テスト実施後の自校採点を行わないこと。
  6. 過労死ラインを超える教職員が多数在籍する学校は、在校時間を抑制するための方策として学校名を公表すること。
  7. 各学校に平均在校時間の目標を設定させ、実現のための具体的取組を職員合意のもとで作成させること。同様に教育委員会も在校時間削減目標を設定すること。

学校教育の主体性・創造性を尊重のための要求

  1. 教師や子どもを追いつめている全国学力テストや市独自の学力テスト、小学校における単元末テスト、学力テストに向けた練習問題など「学力向上」施策を中止・縮小すること。
  2. 学校の主体性を尊重し、単元末テストの活用の強制を行わないこと。
  3. 「学力向上推進教員」による学校訪問、指導案強要を取り止めること。
  4. 多忙化の要因でもあり、子どもの人間関係を育てる遊び時間も奪っている「体力向上」の施策はすぐに廃止すること。記録の数値を上げるため、教育課程を無視した、行き過ぎた取組を行っている学校の実態を把握し、問題がある学校は教育委員会が指導を徹底すること。

教職員のいのちと健康、労働条件にかかわる資料の要求

  1. 年度当初の定数欠の状況に関する資料の件
    1. 定数欠が発生している学校数、及び不足している教職員の実数。
    2. 定数外加配の未配置状況。
    3. 講師登録の状況。
    4. 講師希望者の任用拒否の実態とその理由。
    5. 校種別の非正規教職員数及びその割合。
  2. 在校時間に関する資料の件
    1. 前年度の校種別、職種別平均在校時間。休日出勤をしている教職員の校種別延べ人数。
    2. 過労死ラインを超える在校時間の校種別職種別教職員数。過労死ラインを超える在校時間が多数いる学校、上位10校の学校別人数。その学校名。
    3. 平均在校時間が長い学校、上位10校の学校ごとの平均在校時間。また、平均在校時間が短い学校 上位10校の学校ごとの時間。その学校名。
  3. 病気休職などに関する資料の件
    1. 前年度の校種別病気休職、病気休暇取得者数、及びその理由
    2. 前年度、インフルエンザなど感染症による出勤停止の教職員数。
    3. 前年度の教職員の産業医面談者数とその面談に起因する内容。

教育条件に関わる資料の件

  1. 本年度の児童支援加配教員配置校及びその数。
  2. 学校図書嘱託職員の人数及び配置校。
  3. 本年度の35人以下学級実施状況。
  4. 専科指導実施校とその教科。
  5. 特別支援学級補助講師、特別支援教育補助講師、特別支援教育学習支援員、特別支援教育介助員の職務内容と本年度の配置校。
  6. 学力テストの自校採点の実施校の数、及びその採点者。また、採点の時間の確保状況。
  7. 単元末テストの実施校の数、及びその割合。教科別単元末テストの実施校数。

以上の回答をよろしくお願いいたします。